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2025年夏 最新版 カタルーニャ美術館 =世界最大のロマネスク美術コレクション=

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スペイン広場から見ると、まるで宮殿の様に見えるのがカタルーニャ美術館。この巨大な美術館を徹底解説します。

 

概要

国立カタルーニャ博物館(MNAC)は、1929年に開催されたバルセロナ万博の政府館として作られた建物を利用する形で、万博後の1934年に美術館としてオープン。

1992年バルセロナオリンピックの際に、大ホール、ラ・グラン・サラ・オバルがリニュアールオープンされると共に、1995年よりロマネスク様式の美術品の展示が開始され、現在世界最大のロマネスク美術が保存されてに至っています。

収蔵品はカタルーニャのロマネスク美術以外にも、ゴシック美術・ルネッサンス芸術、バロック様式、近代美術と多岐に及び素描・版画・コイン・メダルのコレクションなど種類、量ともに多彩を極めます。

更に豊富な資料を揃える図書館があり、正にカタルーニャの芸術を知る上で最も重要な美術館と言えます。

展示品の中で特に有名なのが、ロマネスク時代の教会壁画「全能のキリスト」。

現存するロマネスク絵画のなかでも最高傑作として美術書に必ず紹介され、スペインの近代絵画の3巨匠とも言われる、ピカソ、ダリ、ミロらもこの絵に大きな影響を受けたほどです。

また、彼ら三人と同時代にバルセロナで活躍したカタルーニャ人、アーティストの絵や彫刻も多く展示されています。

 

建物

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モンジュイックの丘に建つ美術館からは街が一望
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巨大な柱はカタルーニャの旗の4本線を表しています 旅行者に大人気の夜に開催される噴水ショー

モンジュイックの丘にそびえる美術館。

街が一望できる場所に建つその威容はスペイン王室の宮殿とも見間違う程で、空港から市への入り口ともなるスペイン広場からの眺めは、正にバルセロナのシンボルの一つとなっています。

また、夜は100年続くの無料のマジカ噴水ショーが開催されていて、バルセロナに訪れる旅行者にも大人気で夏は数万人の見物客でにぎわいます。

funsui (2) 【マジカ噴水ショー】★★★★☆
1929年5月にここバルセロナで開催された万国博覧会。それに合わせて作られ….

 

建物内部

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メインドームのフレスコ画
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ルネッサンス様式の王座の間 1,300席の大ホール

建物の内部はルネッサンス様式に基づき建てられたもので、中央にドームと、その左右に延びる2つの建物からなり総面積32.000㎡。

東京ドームの約2/3の巨大な建物は美術館、また1,300席を要する大ホール「ラ・グラン・サラ・オバル」は会議場、コンサート、授賞式、プレゼンテーション、あらゆる種類のイベントに利用されています。

 

3つのセクション

1階

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美術館は、大きく分けて3つのセクションからなります。1階(地上階)の正面入り口から左にあるのが、ロマネスク様式芸術。

その反対の正面右側にあるのが、ゴシック、ルネッサンス、バロック各様式をまとめた展示場で、更にその中にカンポー遺産、ティッセン・ボルネミッサコレクションがあります。

 

2階

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次に2階には近代芸術。その中にはデッサンと版画のコレクション、更にカタルーニャ貨幣も含まれます。

回る順番は自由で、好きなように見ていかれれば良いと思いますが、時代の古い順から見るのが分かり易いはずです。

なので最初にロマネスク様式芸術 ➡ ゴシック、ルネッサンス、バロック様式芸術 ➡ 近代芸術と見て回って下さい。

 

ロマネスク美術

【ロマネスク時代】

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時代区分としてはおおよそ1000年から1200年頃までのビザンティン美術様式以降、ゴシック美術様式以前までを指します。

ビザンティンとロマネスクは、時代的には重なる部分もありますが、ゴシック、の3つを含めた時代で中世美術を構成しています。

また、その3つが独立した呼び名ではありますが、ロマネスクはビザンティンに、ゴシックはロマネスク、ビザンティンの2つに大きく影響を受けています。

 

【ロマネスク美術の特徴】

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教会建築がメイン 聖堂ドームのフレスコ画
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絵はコミュカルで稚拙 こんな可愛いものまで

ロマネスク美術様式とは、中世西ヨーロッパの建築様式の一つであるロマネスク建築様式の中においての、主に教会の聖堂を装飾するための壁画、彫刻、装飾などを指します。

なので、それらの芸術はあくまでメインの教会建築に付随する、二次的な扱いになっていて、建築あっての美術と言うのが大きなポイントになります。

また、ロマネスク美術はスペイン、イタリア、フランスなどの南欧によく見られますが、それだけに留まらず大陸全体、ドイツ、イギリス、ベルギーなどでも見られます。

尚、ロマネスクという言葉は、美術史・建築史において、19世紀以降使われるようになった用語で、直訳すると「ローマ風の」という意味です。

ただ、このローマ風と言う言葉ですが、決して良い意味で使われていたわけでなく、当初「堕落し、粗野になったローマ風の建築様式」という蔑称としての側面が強くありました。

その理由としては、上に示した画像でも分かるように、宗教画とは思えないコミカルな絵、またそれは稚拙ともとれるもので、ロマネスク後のヨーロッパの美の規範となる「写実性」や「遠近法」などには程遠かった故に、全くそれまで評価されていなかったからです。

尚、軽蔑の目で見られていた、そのコミカルな絵、稚拙ともとれる表現が一転し、自由で魅力に溢れたロマネスク美術として再評価されるようになるのは、20世紀になってからのことです。

それは当時ヨーロッパで大きなうねりとなっていた美術界の変革、スペインで言うとピカソやダリが出現して来た時代。

反古典・反写実主義という、近代美術が求めようとしていた方向性と多くの共通点があり、ロマネスク美術は脚光を浴び始めました。

 

個性的な展示手法

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聖堂内を美術館に再現 木製のドーム

カタルーニャ美術館では、教会の壁面を飾ったフレスコ画を非常に珍しい形で展示しています。

それは元々ピレネー山中の教会にあった、内部のフレスコ画を引き剥がし運んで、美術館の壁、柱に貼り付けて再現し、展示していることです。

中でも特筆すべきは、教会のアプス部分(教会の一番奥の半円ドームになってる部分)を木枠で作り、あたかもそこに聖堂があるようなバーチャル空間を創造していることです。

その前に立つとピレネー山中の教会において、実際にどの様にそれらが配置されていたのかが、直感的に分かる様に工夫した展示がされています。

ところで、ピレネー山中の教会の壁画を剥がして、都会のバルセロナの美術館に展示すると言うのは、何とも荒っぽいと思えますが、それには理由がありました。

1906年より派遣された文化財調査によりピレネー山中で殆ど見捨てられ、手入れもされることが無かったロマネスク教会の貴重な壁画を後世に残す為に必要だったからです。

また、1906年の調査の後に「Les pintures murals catalanes (カタルーニャの壁画)」としての内容が出版されると、数年後には外国の骨董商らのグループがピレネーの村に訪れるようになります。

彼らは、米国などのコレクター向けに持ち出そうとしますが、当時それを止める法律がなかったこともあり、早急の対策として美術館自らが買い取り、保存することになりました。

1919年から始まった保存事業。

その作業は、まず壁画を漆喰ごと慎重に剥離し、はぎとられた壁画は専門家の手により時間を掛け丁寧に修復された上、先ほど述べた様に美術館内に教会の空間構成を忠実に三次元で再現しました。

動画は、1978年に実際に行われた壁画の剥離の様子を解説しています。

 

サント・クレメント聖堂壁画

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サント・クリメント大聖堂 教会の後陣のフレスコ画
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ロマネスク美術の最高傑作の一つ、全能者キリスト

現在、世界遺産に指定されているピレネーのボイ渓谷の教会群の中でも、その中心となのがタウル集落にあるサント・クリメント教会。

その聖堂から運ばれ、展示されているフレスコ画がこそが、カタルーニャ美術館の最大の見所です。

また、これは現存するロマネスク美術の中でも、最高傑作として世界的に広く知られています。

この壁画「全能者キリスト」。右手は祝福のしるし、左手の書物は「我は世の光」と表しています。

キリストの像は一応、左右対称になってはいますがポーズに関してはわざと崩し、それにより生き生きとした動きを表現しています。

またキリスト上半身は二等辺三角形、下半身は台形で構成され椅子に座った形になっていて、更によく見ていくと

キリストの上には神を表す手と7つの目をもつ子羊が描かれ、キリストの下にはキリストの象徴である朝日(復活した太陽)が差し込む窓があり、これらが一直線上に位置すします。

また、キリストを囲むのは、天上でキリストのことばを聞くことを許された4人の福音書記者である聖人で右上の聖ヨハネは鷲、右下の聖ルカは牡牛、左上の聖マタイは翼を持つ人間。

左下の聖マルコはライオンと、それぞれシンボルとなる動物を伴い、更にその外側をとりまく天使の羽にはたくさんの目が描かれています。

ちなみに、ジョアン・ミロはこの目に対する感動を生涯に渡り語り続け作品の中にも取り入れました。

また、後のピカソにも影響を与えたと言われるビビットな色使いは必見です。

 

ロマネスクの衰退

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ところで、ロマネスク時代以降、時間の経過とともに、ロマネスク様式は廃れていきます。

その理由は既に述べた通り、宗教画とは思えないコミカル、稚拙ともとれる絵のせいです。

上の写真は、世界遺産のカタルーニャ音楽堂の建設で知られるドメネク・イ・モンタネールが、1904年にサンクレメンテ教会を訪れた際に撮影されたものです。

ここで見てとれるのは、ロマネスク美術の最高傑作と呼ばれる壁画「全能者キリスト」がなんと、5つの塔からなるゴシック様式の祭壇画の背後に隠されていることです。

このことから「堕落し粗野になったローマ風の建築様式」という蔑称まで付けられたロマネスク様式が当時、人々からどの様に扱われたいたかが垣間見れます。

また写真では分かり難いですが、絵画の一部は剥がされた上に白塗りされ永久に失われてしまっていました。

 

フレスコ画の特徴

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アネウの後陣礼拝堂 羽に目玉、目玉、目玉 ….

ここで、ロマネスク美術の特徴として壁画について解説します。

まず、さして大きくもない小規模な田舎の教会にも関わらず大きな壁画が描かれた理由はその建築様式から来ています。

ロマネスク時代は、その後に起きるゴシック建築の様な高度な建築手法が未だ育っておらず、厚い石屋根を支えるためには太い柱と厚い壁を必要とし、そのため窓も必然的に小さくなりました。

窓が大きく取れないと言う事は教会内が暗いと言う決定的な欠点にですがその反面、窓が小さいと言う事は壁が広いと言う事であり、壁画を描く上でのスペースの制限は無きに等しく、その意味で教会の規模のわりに大きな絵(フレスコ画)が描かれ普及することになったわけです。

 

【フレスコ画】

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フレスコ画の最高傑作と言われるミケランジェロ最後の審判

14~16世紀に流行した壁画の代表的な画法で、このフレスコとはイタリア、スペイン語で共に新鮮という意味。

実際、バルセロナの魚屋さんでフレスコと言えばその日の朝に水揚げされたばかりの鮮魚を指します。

フレスコ画の特徴としては耐久性が非常に高く、また水性顔料で描くことによって透明感のある明るい発色が得られ、それが数千年も保たれています。

ここで具体的な画法を紹介すると、まず漆喰を壁に塗りそれの乾かないうちに水性の絵の具で直に絵を描ます。

すると漆喰の主成分である石灰の層の中に絵の具が染み込んでいき、漆喰は乾燥が始まると表面に固い透明な皮膜ができ、それが絵の保護層となって非常に堅牢な画面となるわけです。

ただし、フレスコ画にも欠点がありそれは漆喰が濡れているうちに全て描いてしまわなければならなず、やり直しが効かないため高度な計画と技術力を必要とすることです。

フレスコ画はルネサンス期に最も盛んに描かれ、その代表作としてはラファエロの『アテネの学堂』やミケランジェロの『最後の審判』などがよく知られています。

 

【板絵】

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ドウーロ サンキルゼ教会
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鋸挽き 釜茹で

ロマネスク美術の絵画は壁画以外にも板絵があり、これらは木製の祭壇の周りを飾っていた絵です。

その中でもキリスト教の宗教絵画につきものの殉教の残酷な様子を描いたものもありますが、その残酷シーンですらなぜかコミュカルに見えるのがロマネスクらしさとも言えます。

また、日本人でロマネスク美術を好む人の多くがヨーロッパを旅行し幾つもの教会を見ていくうちに、疲れてしまった経験を持った人です。それはバロックに見られる過剰とも言える教会装飾、重くリアルな宗教画。

それはまるで脂っこい料理を食べて食あたりしてしまうのにも似ています。

そんな時に見るロマネスク美術は日本人の気持ちをほっこりさせてくれるのです。

上の絵を見ても分かりますが稚拙で不恰好でコミカルで表現が子どもっぽいですが、ロマネスクならではのこの安らぎが、現在でも人を魅了し続ける要因となっています。

 

稚拙でコミカルな理由

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威厳に満ちたキリスト なすび

では、稚拙でコミュカルな絵や彫刻になった理由は、技術が貧弱であったのかと言うとそうばかりではなく聖アウグスティヌスの言う「美は物質的な塊の中に求めてはいけない」という思想などがその時代は強く影響していたからです。

すなわち、物質的な塊であるところの自然・人間の外観のなかに宿る美を追求してはいけない。

その中では、かつてのギリシア・ローマ的な写実性に富んだ美意識は否定されます。

なので元々、写実的である必要性が無かったわけで、その縛りがなかった分だけより自由奔放な表現が許されたとも言えます。

尚、基本的にはロマネスク絵画、彫刻の作者は無名となっていて画家・彫刻家など現在の芸術家と言うものでは無く、いわゆる職人にの手によるものでした。

 

柱頭装飾

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カマサラ城 サンミケル教会の柱頭
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リポールのアーチ 沖縄のシーサーにも見える…

ロマネスク美術のもう一つの見どころとなるのが、聖堂の柱や梁に施されている数々の彫刻。

大きな特徴としては、身体が不自然に押しつぶされ3頭身だったり、身体が変に曲がっていることがあったりすることです。

フランスの美術史家アンリ・フォション(1881-1943)は、この奇怪な造形の秘密を「枠の法則」というルールで説明しました。

既に述べましたが、ロマネスク美術と言うのはあくまでもメインの教会建築に付随する二次的な扱いになっています。

なので建築の構造に全てが支配され、例えば柱頭と言う限られたスペースの場所では、その中でしか彫刻表現が出来ないことにより必然的にデフォルメされることによると言うことです。

ただ、枠・スペースと言う制限があるから身体がデフォルメされていると言い切れるかは微妙で、ロマネスク美術の研究家の金沢百枝氏が「ロマネスク美術革命」でも言及されていますが、一概にそうとも言い切れないほどの自由奔放な表現を見せるのがこのロマネスク様式です。

柱に色々な動物や化け物までが登場する柱頭彫刻は、ロマネスク美術を観賞する上での最大の醍醐味の一つともなっています。

また、以下の真鍮製の神具などは東方的な要素を多分に含んだビザンティン美術の影響が色濃く表れています。

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モンドニェドの司教杖
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聖体の白鳩 セルダーニャの聖体容器

 

ロマネスク美術アドバイス

何の前知識なしにロマネスク美術を見ると殆どの人が、ただコミカルで面白い絵で終ってしまいます。

実際、特に印象に残らなかったと言うのが、これまで訪れた日本人の方達の正直な感想です。

そうならない為には紀元前のギリシャ、ローマから続く西洋美術において、このロマネスクだけが時代を逆行する様な他に類を見ない特殊な時代だったことを理解してその特殊性を見ていくと、きっと興味が沸き貴重な体験をしたと思えるはずです。

言い換えればこの点を理解できる、出来ないかで、カタルーニャ美術館を訪れた意味の半分が決まってしまうと言っても過言ではありません。

 

3つの様式コレクション

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ロマネスク時代に続く、ゴシック、ルネッサンス、バロックそれぞれの様式の美術品もスペイン以外の作品も含め豊富に展示されています。

他に有名な作品こそありませんが、グレコ、ベラスケス、ルーベンスなどの巨匠の作品も幾つかあります。

 

【ゴシック様式】

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聖アゴスティンの聖別式(ジャウム・ウゲート) キリストの復活(バルトロメ・ベルメホ)
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キリストの頭 

 

ルネッサンス、バロック様式芸術

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聖ペテロと聖パウロ
(エル・グレコ)
聖パブロ
(ディエゴ・ベラスケス)
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マルメロと柘榴の実の籠(ファン・デ・スルバラン)
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聖バルトロマイの殉教
(ホセ・デ・リベラ)
聖母子、聖イサベルと
聖ファニート(ルーベンス)
 
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キリスト昇天祭のブチントローの帰還
(ジョヴァンニ・アントニーオ・カナール)

 

カタルーニャ近代芸術

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日本では殆ど知られていない作家ばかりと思いますが、地元カタルーニャの画家、彫刻家、写真家などの作品において量、質共に一番を誇っています。

 

ピカソ、ミロ、ダリに代表される近代芸術

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公表展示会の描写(ジョアン・ミロ)
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学術研究
(パブロ・ピカソ)
帽子と毛皮の襟を付けた女性(パブロ・ピカソ)

スペインを代表する近代絵画の巨匠の二人、ピカソ、ミロ、ダリの作品が少数ながらあります。

もちろん、ピカソ、ミロ共に専用の美術館がここバルセロナにあるので、わざわざこれらの作品を見に行く理由はありませんが、メインとなるロマネスク美術鑑賞のついでとしては決して悪くありません。

そのなかでも興味深いのはミロの作品「公表展示会の描写」。

抽象画のイメージが強いミロですが、初期にはこんな写実的な絵も描いていました。

 

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二人乗り自転車に乗るラモン・カザスとペレ・ロメウ
(ラモン・カザス)

ダリやミロが有名過ぎて日本ではあまり知られていませんが、カタルーニャの近代芸術の作家の中には、世界的に知られたラモン・カザスなどの作家の作品も多数含まれています。

 

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IBMの壁画(ジョアン・ミロ)

彫刻作品の中での見物の一つは、ミロの巨大壁画。バ

ルセロナの IBMの支店にあったものが、このカタルーニャ美術館の2階の大広間に展示されています。

 

ガウディの家具

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ガウディがデザインした家具が展示されています
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カサバ・トリョ コロニア・グエルの椅子

美術館には思いがけず、ガウディがデザインした、扉や椅子などの家具も置かれています。

また、一番弟子でガウディの右腕だったマリア・ジュジョールの制作した家具などもあり、その中ではガウディが作ったコロニア・グエル教会の礼拝堂の椅子が見物です。

現在、教会にあるものは全て作り直されたレプリカですが、現存するオリジナルの8つの椅子のうちの一つがここに展示されているものです。

 

ショップ

見学の最後はショップになります。

中は広くそれなりに品ぞろえがありますが特にお土産にするものは見当たりません。

ただ興味があればロマネスク芸術の思い出に何か探されのも良いかと思います。

尚、ショップは美術館の外、入り口の手前にももう一軒あるので入場チケットを持っていなくてもそちらに入ることが出来ます。

 

まとめ&アドバイス

美術館の立地は主なガウディ建築がバルセロナ市内の中心部に位置しているのに比べると最寄りの地下鉄駅から遠く、また丘の上にあるのでアクセスには時間が掛かります。

ただ、それに反して美術館からはバルセロナの街が一望でき、それだけでも来た価値があったと思えるかも知れません。

また、建物の外観は王宮を思わす様な威容で館内も1階ロビーから2階のドームまで、歴史こそ浅いですがルネッサンスを元に建てられただけあり荘厳な雰囲気漂う中を鑑賞ができる空間になっています。

所蔵作品数は膨大、また展示もゆったりしていて日本の美術館の混雑とは雲泥の差と言えます。

ただし欠点を敢えて挙げると展示作品数が膨大なこともあり、一日で全部見切るのにはかなりの時間を要します。またその間集中力を持続するのは不可能。

丹念に見ていくのなら、最低でも2日は必要です。

また一方で規模の割には訪問者も多くなく、ここがどの国のガイドブックにもお勧め上位に入らず、マイナーな美術館になっているのには理由があります。

それは展示は一応ロマネスク芸術から時代順に、ゴシック、ルネッサンス、バロック、そして近代芸術と見て行けますが、巨大な建物に並べれるだけ並べたと言える展示は、その数とジャンルが多いだけに雑多な感じが否めないところ。

更に悪い言い方をすると、それはまるで食べ放題のビュッフェ料理を食べた後の様な食後感に似たようなものもあります。

もちろん入場料とその展示作品の数から言えばコスパは悪くは無いと思いますが、もう少し絞った展示が行われると見やすいはず。

マドリッドのプラド美術館の様な中世の巨匠の画家、彫刻家の有名作品があるわけも無いのですから余計、展示作品を厳選するべきです。

あと、これは個人的ですが昔は確かにピレネーの山の教会では保存が難しかったかも知れませんがスペインも経済的に豊かになり、例え田舎でも現在なら技術的にも十分保存は出来る様になっています。

なので、ロマネスク壁画は本来あるべき場所である教会に戻してあげるのが、最良かと思いますがどうでしょう? 

元々あったところで時代に関係なくそのこにたたずんで、もし絵の具の色が劣化して消えてしまってもそれはそれ。

現在、生きる私達のエゴで自然に消えていくものまで残す必要はないと思います。

 

【入場チケット手配】

現在、手数+2.5€で入場チケットの手配をしています。
自分でご購入される場合と違い、チケットの取り間違いリスクがゼロ。
よろしければ是非ご利用ください、詳細は以下。
バルセロナウォーカー、格安チケット購入代行。

 


お勧め度:14点/20点
★★★★☆(3.5)


 

住所 Parc de monjjuic   【地図はこちら】
URL  http://www.museunacional.cat/en
TEL 933 19 57 40
開館時間 10月-4月 10:00~18:00、5月-9月 10:00~20:00 日曜、祝日 10:00~15:00
閉館日:月曜日、1/1, 5/1, 12/25
料金 €12(2日間有効/最初の入場から一か月以内で2日入れます)、16歳未満無料 
※お得情報※
毎週土曜15:00~、毎月第一日曜、5/18, 9/11, 9/24は無料(要オンライン事前予約)
最寄駅 地下鉄1,3号線 España(エスパーニャ)駅から徒歩10分

 

 


記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。

 

この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。。 記事最終更新 2023.010.17

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2025年夏 最新版 完全解説 ピカソ美術館 =バルセロナで一番人気の美術館=

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スペインが生んだ偉大な芸術家パブロ・ピカソ。キュービズムに代表される難解な作品が多い中、子供の頃から晩年までのピカソ作品の変化と成長が時代系列で見れるこの美術館を徹底解説していきます。

バルセロナとピカソ

スペインが生んだ偉大な芸術家パブロ・ピカソ。1881年にアンダルシアマラガに生まれたピカソは、その生涯において一万点を超える油絵とデッサン、更に10万点にも及ぶ版画、数百点の彫刻や陶器作品を製作するなど、非常に多作な芸術家としても知られ、それはギネスブックの世界記録にも登録されているほどです。

また、キュービズムと呼ばれる芸術動向の創始者とされ、従来の遠近法(一点透視図法)によらず、異なる複数の視点からとらえた物体の形を一つの画面に描写し、断片化された平面として再構成する独自の表現方法を確立したことで、世界で最も著名な画家の一人となりました。

そんなピカソが1895年から1904年にかけて、多感な10代を過ごしたのがバルセロナです。

ここで紹介するMuseu Picasso(ピカソ美術館)は、バルセロナのゴシック地区の東に位置するMontcada(モンカダ通り)に13~14世紀に建てられた貴族の邸宅を含む5軒の建物を改装し1963年に開館しました。美術館のある狭いモンカダ通りには昔のお屋敷跡が並び、今でも中世の雰囲気が色濃く残っています。

 

パブロ・ピカソ年表

スペインの南のアンダルシア地方のマラガ市で生まれたピカソですが、実際にスペインに住んでいたのは若い頃だけです。

ここで彼の軌跡をたどってみると、バルセロナには 1895~1904年 の9年間過ごしましたが、その後92歳で亡くなるまでの人生の殆どをフランスで過ごしました。



1881年 10月25日、南スペイン・マラガで絵の教師の子として生まれる。
1892年 ラ・コルーニャにある父の教える美術学校に入学し、美術の基礎を学ぶ。
1896年 バルセロナの美術学校に入学。
1897年 「科学と慈愛」がマドリードで開かれた国展で佳作を受賞。*ここバルセロナに展示
同年 「科学と慈愛」がマラガの地方展にて金賞を受賞。
同年 秋、マドリードのサン・フェルナンド王立アカデミーに入学。のち中退。
1899年 バルセロナに居を構え、絵に専念する。
1900年 初めてパリを訪問。バルセロナとパリを行き来する。
1901~1904年 青の時代】親友カサジェマスの自殺にショックを受け、青く暗い色で売春婦や乞食などを描く。
1904年 パリ・モンマルトルに住みはじめる。
1904~1907年 バラ色の時代】恋人フェルナンド・オリヴィエと知り合い、明るい色調でサーカスの芸人などを描く。
1907~08年 【アフリカ彫刻の時代】アフリカ彫刻の影響を強く受ける。
1909~1912年 分析的キュビスムの時代】ジョルジュ・ブラックと二人で立体派=キュビスムを追究。
1912~1918年 総合的キュビスムの時代】コラージュ技法を開発。
1918~1925年 新古典主義の時代】古典的写実に向かって量感のある母子像を描く。
1925年~ シュールレアリズムの影響を受け、スペインの闘牛図を描く。
1937年 ナチスによるゲルニカの町の爆撃に憤って世紀の大作「ゲルニカ」をパリ万国博覧会にて発表。
1945年~ ムルロー工房にてリトグラフィーを本格的に取り組む。
1950年 過去の巨匠の作品をアレンジし、新たな作品を描く。
1968年 47点に及ぶエロティックな銅版画を制作。
1973年 4月8日、南仏ムージャンの自宅にて92歳の生涯を閉じる。

 

代表的な作品

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ゲルニカ(Guernica) 1937作
代表的なピカソの作品としては、日本の学校の教科書や授業などでも取り上げられる絵画「ゲルニカ Guernica」が最も知名度が高いと言えます。

この絵はドイツ軍によってスペイン北部のビスカヤ県のゲルニカが受けた都市無差別爆撃(ゲルニカ爆撃)を主題として、ピカソがスペイン内戦中の1937年に描いた絵画です。

発表当初の評価はそれほどではありませんでしたが、いつからか反戦や抵抗のシンボルとなり、20世紀を象徴する絵画とされ非常に高い評価を得ています。

現在、この絵はマドリード市内の国立フィア王妃芸術センターで見ることができます。

 

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アビニヨンの娘たち(Les demoiselles d’Avignon)1907年作
次に代表作と言われるのがこの作品で、描かれているのはバルセロナの売春宿があったアビニヨン通りの5人の裸の娼婦です。

他にも、ピカソの愛人ドラ・マール(Dora Maar)をモデルにした絵画「泣く女」(1937年)も有名な作品の一つで「泣く女」をモチーフとしたバリエーションは100種類以上存在すると言われ現在この作品は、ニューヨーク近代美術館で見ることができます。

 

時代で変化していく作風

巨匠と言われるピカソですが、しかし彼の絵を見て「これはすごい」と心の底から思える人はあまり多くなく、実際の所は「このくらいの絵なら、もしかして子供でも描けるんじゃないか」と思う人もいるでしょう。

あまり知られていませんが、実はピカソは幼少時代から大変絵が上手で、その写実的な絵は写真の様な完璧さでした。それが彼が歳を重ねると共に作風が変化し、現在私達のイメージするピカソ作品になって行きます。

ここではその変化の過程を、時代ごとにまとめてみようと思います。

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【青の時代】 1901-1904

ピカソが二十歳を過ぎた頃の薄暗く陰気な青を主に用いた作品が続いたこの頃が「青の時代」と呼ばれます。一説には1901年2月に親友カルロス・カサジェマス(Carlos Casagemas)が、恋愛沙汰でピストル自殺を図った事件に影響を受けたとも言われます。

この時代を象徴する代表作は、親友カサジェマスと恋人のジェルメーヌが抱き合う姿が描写された「人生 La Vie(ラ・ビィ)」。

また、その他にこの時代の代表作には、ギターを弾く老人を描いた「老いたギター弾き」、暗い表情を浮かべ海辺で身を寄せ合う家族を描いた「悲劇(海辺の貧しい家族」「盲人の食事」などがあります。

 

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【ばら色の時代】 1904–1906

恋人フェルナンド・オリヴィエと同棲を始めたピカソ。この頃、彼女からフランス語を学んだり、ひたすら絵を描けるようにと精神的な安定を与えられ、彼の人生に変化が訪れることになります。

以降は「青の時代」の表現は影を潜め、ピカソは彼女の美しい裸像や身近な人々の肖像画を初め、彼女の仲間たち、俳優、サーカスの芸人たちをバラ色を基調とした暖かい色で描くようになりました。画像:パイプを持つ少年 1905年

 

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【アフリカ彫刻の時代】 1907–1909

1907年ごろからパリではアフリカ彫刻が流行りはじめ、ピカソもその影響を受けます。代表作の一つとして既に述べたキュビズムの原点となる絵画、アヴィニョンの娘たち( Les demoiselles d’Avignon)は、そのアフリカ彫刻・古代イベリア彫刻などの影響を受けて製作されたものです。

また、この時期に醸成されたアイディアは次のキュビズムの時代へ直接結びついてゆきます。

 

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【キュビスムの時代 】 1909-1912

ピカソは1917年から、それまで何が描かれているのか判別がつきにくかったキュビスムによる表現、それを一変させたのがこの時代です。

その中でもセザンヌに強い影響を受けたのが、セザンヌ的キュビスムの時代と呼ばれ、またジョルジュ・ブラックと共にキュビズムを創始したのが、分析的キュビスムの時代と呼ばれています。

そして、最後にファインアートで初のコラージュ技法を用いたのが、総合的キュビスムと呼ばれるものです。画像:マンドリンを持つ少女 1910年

 

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【新古典主義の時代】 1918-1925

第一次世界大戦(1914-1918)中の1917年、バレリーナのオルガ・コクローヴァと知り合い、翌年に結婚したピカソは、この頃から古典的で写実的な描法を次々と生み出していくことになります。

1917年作の「安楽椅子のオルガ」では、奥行きの描写にキュビズム的な要素を残しつつも、オルガの顔や腕は丸みを帯びていて、それまでの作品と一目で違いがわかるほどに写実的に描かれています。画像:母と子 1921年

 

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【シュルレアリスムの時代】 1925-1936

この当時のピカソは新しい表現を模索していた頃で、そんな中、シュルレアリスム(超現実主義者)たちから大きな刺激を受けます。

その結果、人物を現実には存在するはずも無い、非現実的な形態に変えて描くようになっていきます。想像力が駆使された超現実主義的な手法でピカソ独自の世界が展開されたこの時代を「シュルレアリスムの時代」と呼びます。

また、妻オルガとの不和で精神的にも不安定となったこともあり、非現実的で怪物のようなモチーフを数多く描くこととなりました。画像:マリー・テレーズの肖像 1937年

更に詳しい解説は、この後バルセロナ・ピカソ美術館の所蔵する代表作品の紹介と共にしていきます。

 

バルセロナピカソ美術館

概要

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/picasoentra.jpg
美術館は1963年、貴族のバランゲー・ダギラル邸跡に作られました
http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/callemonn.jpg http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/IMG_20200802_184903.jpg
狭い通り 貴族の邸に似つかぬピカソ作品

この美術館の始まりは、ピカソがその青春時代をバルセロナで過ごし少なからず縁があったと言うのもありますが、バルセロナ生まれで幼いころからピカソの親友であったジャウマ・サバルテスの尽力によるところが非常に大きく、彼の長年に渡るバルセロナ市との粘り強い交渉が実り1963年に美術館の開設に漕ぎつけました。

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/picamu.jpg オープンにあたっては、サバルテス自身が所有していたピカソのコレクションを全て美術館に寄贈。オープン初期は、それらの作品を中心に美術館の展示の全体構成を行いました。
その後、1968年に亡くなったサルバテスに敬意を表し「ラスメニーナス」の連作をピカソ自らが寄付。また1970には、ピカソのバルセロナに住む家族の家に保管されていた作品921点も寄付されます。

 

更にあの奇才、サルバドールダリも自身が所有していた30点のピカソ作品を寄付。美術の教科書で見るような有名作品こそありませんが、徐々にそのコレクションを充実させて来ました。

【ジャウマ・サバルテス】
バルセロナ生まれの詩人、作家でピカソ8歳からの友人でありまた良き理解者。1935年よりピカソとの仕事をを始め、秘書となります。

美術館にはピカソが描いた彼の肖像画が幾つもあります。ちなみに彼の親戚にはカタルーニャを代表する芸術家の、あのミロがいました。

 

所蔵品の特徴

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日本人がイメージするピカソ作品と言えば、「ゲルニカ」のようなキュビスムの時代の絵となります。ただ、ここバルセロナのピカソ美術館は3800点の展示を誇りこそしますが、既に述べた通り残念ながらあまりメジャーな作品はありません。

ただ、その代わり私達が教科書で見たこともないような、あまり知られていないピカソの少年時代や、その後の「青の時代」の作品が多く見ることが出来、それらは以下の様に年代別に非常に分かり易く展示されているので、ピカソの生涯の絶対像を知る上ではまたとない機会になるはずです。

 

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/IMG_20200802_181346-001.jpg

バルセロナでの修業時代  →青の時代  →薔薇の時代  →キュビスムの時代  → 晩年

作品は時代順に並んでいるので、特に考えることなく館内に示されている矢印通りに進んで観て行って下さい。

尚、作品のボリュームは結構あります。目安の見学所要時間は約1時間ほどですが、日本語のオーディオガイドを聞いて、丹念に見ていくと更に時間が掛かります。

また、季節によって展示内容が変わる「企画展」に関しては、展示内容にもよりますが、15分~20分あれば十分に網羅できる見学ボリュームです。

では、これより美術館所蔵の作品の中でも特に佳作と言われる、主な作品を以下紹介していきますので、稀代の天才画家のルーツを時代ごとに追ってみて下さい。

 

少年時代

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15歳の時の作品「初聖体拝受」や、16歳で数々の賞を受賞した「科学と慈愛」(画像上)は、伝統的・写実的な手法で描かれた人物画です。

キュビズム以降のいわゆるピカソらしい絵、言い方を変えると意味不明とも取られかねない絵と違い、ある意味誰が見ても普通に絵がうまいと感じられる作品。初めて見られる方は、きっと当時のピカソ少年の絵に驚くことでしょう。

学校での創作活動以外に、余暇として家族や親せき、知り合いなどの肖像画を描き、また風景画なども描いていました。特に「ベレー帽の男」と題した作品では、モデルの男の肌合い、白髪交じりのたくわえた髭、そして何よりも鋭いまなざしを通して、田舎者らしいその寡黙で粗野な雰囲気を僅か14歳の少年が描き出したとは驚きです。

ちなみに、14歳でこの絵を描いた息子の上達ぶりに驚いた美術教師の父のホセは、自分の絵の具と筆をピカソにゆずり、絵画において息子が既に自分を越えたことを認めたと言われています。

 

バルセロナ前衛運動

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19世紀の末のバルセロナでは、建築、絵画、文学などあらゆる芸術分野において伝統の価値観から脱すことを目指すモデルニスモと呼ばれる文芸運動が流行していて、その中心となっていたのが今も現存するカフェレストランの「Els 4GATS」。日本語で4匹の猫と言う意味のパリのカフェの雰囲気を再現した店は、当時のカタルーニャ前衛主義を代表するアーティストのたまり場となっていました。

その当時、マドリッドのサン・フェルナンド王立アカデミーに在学中に猩紅熱(しょうこう熱)にかかったピカソは学校を一旦休学してカタルーニャに戻り田舎の村で静養します。

静かな環境で一人になって気付いたのは、これまでの決まりきった美術学校の授業に自分が満足出来ていなかったこと。最終的にはスペイン屈指の美術エリートと言われた学校をやめてしまい、17歳で現在で言うところのニートとなってしまいます。

そんなニートのピカソの心を惹きつけたのが、前衛アーティストのたまり場であった「Els 4GATS」。瞬く間にその常連の1人となったピカソですが、同時にカフェにあふれるボヘミア的雰囲気がピカソの画風を変えていきます。(上の絵はピカソが書いた店のメニュー)

19世紀の末のバルセロナでは、建築、絵画、文学などあらゆる芸術分野において伝統の価値観から脱すことを目指すモデルニスモと呼ばれる文芸運動が流行していて、その中心となっていたのが今も現存するカフェレストランの「Els 4GATS」。日本語で4匹の猫と言う意味のパリのカフェの雰囲気を再現した店は、当時のカタルーニャ前衛主義を代表するアーティストのたまり場となっていました。

201501222343088d7 【Els 4Gats】 (クアトロ ガッツ)
バルセロナ下町、ピカソが通い詰めた、パリの雰囲気ただようカフェレストランは….

 

それまで描いていた家族や親戚の肖像画は、ピカソが通っていたバルや売春宿の人々を描いたものになります。

例えば「エル・ディパン」と題した絵は売春婦と客の姿、そしてその二人の背後から眺める売春宿の主人の姿、グレコ風に書いた見知らぬ人の肖像画、ふざけているか真面目なのか分からない、白髪のかつらをつけた自画像など、これまでとは全く違った筆遣いとテーマで描かれています。

 

パリへ2度の訪問

当時、数多くの画家、詩人、作家、作曲家、ダンサーが世界中から集まって来た、自由でコスモポリタンな街パリ。カフェ「Els 4GATS」で年上の芸術家達から、パリという街の魅力について常々さんざんに聞かされていたピカソ。実際、いつか行ってみたいとピカソ自身も思っていましたが、その機会は19歳の時にやって来ます。

1900年4月から11月にかけてパリで開催された万国博覧会。

そこで行われた「最後の瞬間」と言う芸術見本市にピカソの作品が展示されたのを機会に、同年10月に初めてパリを訪れます。2か月の滞在中はバルセロナのカフェで何度も聞かされていた念願のパリのキャバレー、ダンスホール、カフェに行き、そこでショーのダンサーや、高級娼婦など、モンパルナスの夜を彩どる人達と実際に触れ合う機会を得ます。

ためらわず人前で愛情表現する、オープンで屈託ない人間関係を目にピカソは驚き感動します。それもそのはず、ナポレオンにピレネー山脈を越えると、そこはアフリカと言われたぐらい、当時スペインはヨーロッパでも辺境地に属し、それ故に保守的で昔ながらのモラルに厳しかったからです。この後、一旦スペインに戻りこそしますが、翌年4月には魅了されたパリに再び戻ることになります。

 

【2度目のパリ】

最初のパリ訪問から4か月後、今度は同じスペイン、バスク地方出身のフランシスコ・イトゥリーノとのパリでの共同展示会の話が舞い込み、パリ行きが決まりました。2度目の訪問となる今回は、闘牛、競馬、花束、裸婦などの当時の人々の好む作品を中心に、合計64枚以上の油彩画とデッサンからなる作品を展示会用に描き上げ用意します。

その中でもピカソが世界的に知られるようになった出世作が、「マルゴット」と呼ばれる作品で、ゴッホに影響を受けたと言われる点描法を使った娼婦の絵です。黄色、赤、緑、黒などの原色を使った点描法を用い描いた背景の中、華やかな赤い洋服を着た娼婦に漂う、どことないけだるさを上手く描いています。

この作品は、ピカソが国際的に知られるきっかけとなった非常に有名な絵画でしたが、展覧会での作品の売り上げは低くこの後ピカソは経済的に困窮していきます。またそれは次の青の時代に徐々に移行する予兆でもありました。

 

青と薔薇の時代

2度目のパリ滞在も数か月が経ち、パリの生活で感じた最初の興奮も過ぎたちょうどその頃、親友の自殺を経験します。また、展覧会以降も思ったほどの収入を得られず、余裕のない生活に落ち込んでいたピカソ。

「マルゴット」に見られた、黄色、赤、緑などの華やかな色使いは次第に影を潜め、逆にそれまでの作品とは打って変わり、青い色調での作品が多くを占める様になっていきます。これがいわゆる”青の時代”の始まりでした。

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/salasa.jpg この時代の初期作品としては「頭巾を付けた女」をはじめとする囚人達を描いたシリーズが有名。
パリの北部にある女子刑務所(サンザラール刑務所)は当時数千人を収容していたと言いますが、ピカソはここを何度も制作の為に訪れます。

ただしこれらの作品は、犯罪者と言うテーマ、陰鬱な青色の寒色系トーン、更に舞台設定の欠如と言う事で当然ながら絵が全く売れず、これが自身のパリで困窮生活に決定的なとどめを刺すことになります。

ほどなくして、一旦バルセロナに引き揚げることになったピカソですが、バルセロナに戻ってからも”青の時代”は続き「バルセロナの屋上」や「身寄りのない人」などの、飢えや寒さ、失明や病気を繰り返しテーマにしたを描き続けました

【パリ3度目の訪問】

http://i2.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/default4.jpg http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/default26.jpg
質素な食事 1904 カナルス婦人 1905

一旦バルセロナに戻っていたピカソですが、1904年に3度目となるパリへ再び向かいます。ただ、これまでと違ったのは、今度はパリに定住することにしたことです。また、ピカソは19世紀以来様々な若き芸術家が住んでいた「洗濯船」と呼ばれる、日本で例えると、あの有名な漫画家アパート「トキワ荘」と言える、伝説のアパートにアトリエを構えます。

そこで出会った若き才能豊かな絵描、作家、詩人や知識人達から様々な刺激を受けたこと。更に、モデルのェルナンド・オリヴィエと恋愛関係をもったことで生活が落ち着き、”青の時代”に見られた苦悶や不安から解放されます。それ以来バラ色を基調とした絵を描きだし、これがいわゆる”バラ色の時代”の始まりとなります。

ただ、一般に1904年から1906年を”青の時代”から”薔薇の時代”に呼び分けていますが、この2つは昔は同じ時代と認識されていたようです。なので同時代の「カナルス婦人」は確かにそうなのかと思えますが、「質素な食事」などは”青の時代”とどう違うのか? と言う程で時代の名前ほど作品に明るさは感じられず、実際この分け方は非常に微妙です。

ところで、詳しくは後で述べますが、この「洗濯船」で知り合った詩人のギョーム・アポリネールと共に、ルーブル美術館のモナ・リザ盗難事件で犯人の1人として、後にピカソはパリ警察に逮捕されています。

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/senataku.jpg 【洗濯船とは】
パリ18区のモンマルトル地区にあったアパートのニックネームで洗濯船という名前は建物が暗くて汚く、その外観はセーヌ川沿いに浮かぶ船を人々に想起させたことによります。
当時、パリへ上京してきたさまざまな外国人文化人が洗濯船を住居にしたり、また会合の場所として利用しそんな中でもピカソが入居して、芸術家たちの注目を集め、多くの貧しい芸術家が入居するようになりました。

また1904年以後は、洗濯船は非公式のクラブのような場所になり、アンリ・マティス、ジョルジュ・ブラック、アンドレ・ドラン、マリー・ローランサンなど多くの芸術家、画商などが集まります。

 

キュービズム

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ルネッサンス以降のヨーロッパ絵画の世界では、遠近法を利用して目に見えるものを忠実にキャンバスに再現することが基本とされて来ましたが、写真の発明によりそれまでの画家の地位が根底から覆されることになります。

また同時にこれまでの、現実をただ写し取ることの虚しい執着に多くの芸術家が疑問を持ち始めた中で、ピカソは対象を色々な視点から見て、それを一つにまとめるキュービズムと言う芸術様式を始めます。そして出来上がったのが、残念ながらバルセロナにはありませんが、あの「アヴィニョンの娘達」です。

1906年に制作を開始、翌年の夏まで何百枚の下書きを描いて出来たと言うピカソ渾身の作。尚、このキュビスム黎明期に制作した作品と、後の「ゲルニカ」により、ピカソは20世紀の最大の芸術家と言う地位を不動のものにします。

尚、1907 ‐ 1917年のピカソのキュービズム時代初期の有名作品は、バルセロナのピカソ美術館には殆どありません。一応、美術館がその所蔵作品の中で佳作としているのが、ここにある上の絵「贈り物」と下の絵2枚「フランキータ・スアレス」「コロンブス大通り」の3つの作品。

 

古典からピカソ主義へ

決定的な転機となった「アヴィニョンの娘達」、それ以降もピカソは、キュービズムを更に分析キュービズム、総合キュービズムと進化させていくのですが、その途中に第一次世界大戦が勃発します。ヨーロッパ全土を巻き込み、4年に及んだ戦争は民間人を含め1,600万人の死者を出した末に終了はしますが、戦争中に多くの秩序が失われました。

戦後の芸術界は、やみくもに前衛、革新を求めるのでは無く、確固とした永続的な価値観に回帰しようとする時代の逆回転とも言える流れがここで起きます。ピカソもその例外ではなく、戦後はキュービズムから一旦、古典的なフォルムを多く使った作品へと方向転換。

ここバルセロナのピカソ美術館には、その時代の代表作と言える「アルルカン」と「マンティーリャをつけた女」を見ることが出来ます。

また、好奇心から….

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ミノタウロマキア1935

あのサルバドール・ダリにより、広く知られるシュールレアリスム(超現実主義)。その提唱者であった、アンドレ・ブルトンとも交流。ピカソはブルトンが率いるシュールレアリスム運動に正式に参加こそはしませんでしたが、パリで初めて開催されたシュールレアリスム展覧会にも作品を出展するなど、積極的に作品の中に取り入れていきます。

中でもバルセロナ・ピカソ美術館の銅版画作品「ミノタウロマキア」は、ギリシャ神話に出てくる頭が牛で身体が人間と言う怪物ミノタウルスを、人間の残酷性のシンボルとしてピカソはシュールレアリスム的に表現しました。

また、この「ミノタウロマキア」は、2年後に描かれた「ゲルニカ」と、いくつもの共通する要素が含んでいて、「ゲルニカ」の構想を先取りしたものとみなされています。

第一次世界大戦が終了し、ヨーロッパに束の間の平和が訪れますが、ただそれも長くは続かず1939年に第二次世界大戦が新たに勃発。スペインではフランコ独裁政権が敷かれ、これ以降二度とピカソは母国スペインの地を踏むことなく一生を終えます。

また、パリが陥落、ドイツ軍の侵攻により多くの友人が亡命を余儀なくされ、ピカソは孤立の時代へと入ります。アトリエに籠ってひたすら創作活動を続ける中、具象派やキュービズム、ゆがんだ人物像、ゆがんだオブジェと言う、誰が見ても一目でピカソ作品と言う特徴がこの時期に完成されていきました。尚、この時代はキュービスム表現主義時代とも言われます。

ちなみに、ドイツ軍がパリに侵攻した際にはドイツ軍の戦争犯罪を厳しく批判した「ゲルニカ」を制作したピカソに対しては作品の発表を禁止した以外、迫害は加えませんでした。ピカソも公然たる反抗はしないで、静かに絵を描いていたのもありますが、彼の世界的名声がドイツ官憲の手を控えさせたと言われています。

 

名画の再解釈

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/08/sandaime.jpg 【世界三大絵画とは】
世界三大絵画と言いながら実は4つあります。ベラスケスの『ラス・メニーナス』レンブラントの『夜警エル・グレコの『オルガス伯の埋葬』そしてレオナルド・ダビンチの『モナ・リザ
このうちの3点が世界三大西洋絵画となりますが『ラス・メニーナス』だけは確定していて、残り2つは『オルガス伯の埋葬』『夜警』『モナ・リザ』の3つのどれかで、それらは諸説により異なります。

 

気晴らしの絵

「ラスメニーナス」シリーズの制作期間中に、ピカソは何度か休息を挟みます。英気を養う意味でお気に入りのテーマで気晴らしをしました。その中で描かれた「小鳩」は、カンヌのアトリエに作った鳩小屋をテーマにした連作です。また、恋人ジャクリーヌの肖像画なども描きました。

ところで、普通なら気晴らしと言うと散歩だったり、他の趣味となりますが、ピカソは気晴らしにも絵を描きました。そこが常人とは大きく違い、生涯に10万点を超える作品を残した所以と言えるでしょう。

あと、ピカソは絵画が有名ですが、戦後かなりの時間を陶芸制作に注ぎました。このラスメニーナスの制作時にも、休息がてらに「闘牛と魚」の様な楽しい皿を焼きます。これら陶磁器は美術館の中でも、特に中世の貴族の邸の雰囲気が色濃く漂う部屋に展示されていて、そのアンバランスな対比は絶妙です。

 

晩年

ピカソは芸術家としてのキャリアの終わりを前にして、絵画以外の仕事もします。その一つが18世紀の闘牛士、ぺぺ・イリョが書いた書籍の再刊プロジェクトで、そこではイラストレーターとして「槍でジャンプ」とその連作を、アクアティントと言う版画手法を使い27点残しています。作品は黒いインクの濃淡だけのシンプルなものですが、ピカソの他の作品とはまた違った味があります。

尚、巨匠作品の再構築や、仮面、画家とモデルと言った過去に取り上げたテーマも、継続してこの時期も描いていますが、そんな中で亡くなるまでの数年の特徴として言えるのが、作品の色づかいとタッチ。「腰掛けた男」「絵を描く画家 」で見られるように、この時期は以前にもましてキャンバスに占める色彩が明るくなり、バラ色、青、グレー、白が組み合わされ、輪郭は黒を使った太い線と素早いタッチで仕上げました。

 

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最後に、ピカソが亡くなる前年に描かれた自画像を紹介します。

92歳と言う長寿、20世紀最大の芸術家、残した全作品の価値は数兆円と言われ、死後にようやく評価されたゴッホなどと違い、生前時に既にセレブ中のセレブで、歴史上最も成功したと言われる芸術家ピカソ。

それにも関わらず、なんとも寂しげな顔です。人間としては既に人生のまとめ、その境地に当然達しているはずの年齢91歳の老人が、到達したのがこの顔だったと言うのは、いかにもピカソらしい気もします。

数々の女性のスキャンダルを重ね、自由奔放に生きた人生も気が付いたら「あらら、もう終わるの?」だったのでしょうか…

 

充実のショップ

見学の後はショップを覗いてみて下さい。中は広く結構、充実していてお土産探しに良いかもしれません。尚、ショップは入場チケットを持っていなくても入れます。

 

 

【行き方解説】

行かれた方から「迷った、入口が分かり難かった」と言う声が何度もありましたので、行き方動画を作りました。参考にしてみて下さい。

 

まとめ&アドバイス

美術館を訪れた多くの人の感想は「ピカソは、まともな絵も描いていたんだ」「子供の頃にあれだけの絵を描けたのはやはり天才だ」。

20世紀最大の芸術家ピカソの評価として、まともな絵も描けるんだ、と言うのも可笑しな話ですが、それが本当のところではないでしょうか?

ピカソの特にキュービズム以降の絵を普通に理解するのは、まともな精神の持ち主では無理でしょう。例えば代表作の「アヴィニョンの娘たち」を見たマティスをはじめとする当時、同じ芸術運動をしていた天才画家にしてピカソの親友だった美術仲間でさえ理解不能で、それはあまりにも突飛過ぎた、それ故に彼らから怒りを招いたとまで言われます。

そんな難解な作品を私達素人が無理に理解しようとしても無理ですし、分かったふりをしたところで何の意味がありません。

ただ何度も見る、その都度考えながら見てみる、更に自身の人生経験を積み重ねいくうちにいつしか何かの拍子に分かる日が来るかも、と言う様なスタンスで見ていくのが無難なところです。そんなピカソを知り理解を深める意味で子供の頃から晩年までのピカソ作品の変化と成長を、時代系列で見れるこの美術館は非常にお勧め。もし、時間があれば是非一度訪れてみて下さい。

アドバイスとしては、季節と時間によっては非常に混むので予約必須になります。そのチケットの予約方法や行き方、注意点などは以下のリンク記事に詳しく解説していますので一読下さい。
また、ピカソにまつわる面白話を最後に付けましたのでそれもご覧ください。

pica2 【チケット予約の仕方】
ピカソ美術館のネット予約の仕方や行き方注意点を日本語で徹底解説しています。

 

ピカソの面白ばなし

【生まれたときは死産と思われた】
ピカソは大変な難産で生まれ、また非常に弱々しかったため助産婦は既に死産と思い込みピカソをテーブルに放置して、ピカソの母親の介護に当たっていました。このとき奇跡的に助けてくれたのが医師であった叔父。当時は葉巻を医師が当たり前に吸っており、この叔父がピカソの顔にその煙を吹きかけると、ピカソが反応したことにより一命をとりとめました。
【非常に長いクリスチャンネーム】
これはよく知られていることですが、ピカソは非常に長い名前で全部書くと
pikacahn
「パブロ・ディエーゴ・ホセー・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・マーター・パトリシオ・クリート・ルイス・イ・ピカソ」となります。

 

【最初の言葉は、えんぴつ】
画家になるために生まれてきた様なエピソードと言えるのに、スペイン語で鉛筆のことを”lápiz”といい、その短縮形の”piz”と言いますが、彼が生まれて最初に発した言葉がそれでした。また、芸術家であり美術の先生だった父親のルイスは、ピカソが7歳になったときから芸術の教育を施しましたが、13歳になる頃には既に追い越されたと父親自身が気付き、それ以降は自ら描くことは無かったと言われています。
ピカソは問題児だった
ピカソは子供の頃から指導されることを好まず、先生から処罰を受けることも度々ありました。後年、その当時の事をピカソはこう語っています。。。「たしかに、問題児として真っ白な壁に囲まれたベンチが一つあるだけの処罰室によく送られたけど、実はそこが大好きだったんだ。なぜって、スケッチブックを持っていって手を止めることなく、延々と絵を描き続けることができたからさ。」
pikacahn 【モナリザ盗難事件で逮捕される】
1911年にルーブル美術館からモナリザが盗まれたとき、警察はピカソの友人であり、詩人のギョーム・アポリネールを犯人として逮捕。
その際に彼が容疑者としてピカソの名を上げたのがきっかけで、ピカソも逮捕されました。ただし、二人は無関係と言うことで一週間後に釈放されています。

 

キュビスムはただの立方体と言う批判から名づけられた】
1909年にピカソとフランスの画家のジョルジュ・ブラックと創始したキュビスムという名の由来は、フランスの批評家ルイ・ボークセル(Louis Vauxcelles)が名づけたもので、彼が「ピカソらの作品を、立方体(キューブ)以外の何でもない」と批判したところから来ています。
最も多作で、最も作品総額の高い画家】
絵と素描で13,500点、版画で100,000点、挿絵で34,000点にも及ぶ、最も多作な画家としてギネスブックに載っています。バルセロナの美術館で実際に、展示された絵の横の日付で確認してもらと良いですが、ラスメニーナスの連作は、なんと同じ日に描かれた5作品が横一列に並んでいます。また、2015年のサザビーズの競売で、「アルジェの女たち」は史上最高額の215億円の値がつきました。尚、彼の10万点を越える作品を全て合わせた総額は、一説には100兆円とも言われています。
【プレイボーイ】
有名画家であったことでピカソは女性に困りませんでしたが、知られている妻や愛人だけでも数多くいて、まずピカソ23歳の時の最初の恋人フェルナンデ・オリヴィエから始まり、最後の妻となった27歳のジャクリーヌと79歳の時に結婚するまで、数十人にのぼります。
【岡本太郎と親交があった】
岡本太郎がパリ滞在中ピカソ作品に出合い強い衝撃を受け、そして「ピカソを超える」ことを目標に絵画制作に打ち込むようになるのですが、同時にピカソとも親交を持つようになりました。詳細は、テレビ番組の中の「私とピカソ」で自ら語っていますので是非ご覧ください。

 

実は発達障害

諸説はあるものの、ピカソは実はADHD(注意欠陥・多動性障害 )だったと言われています。このアスペルガー症候群と並ぶ発達障害の一種のADHDは症状として不注意(集中力がない)多動性(じっとしていられない)衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられ、具体的には以下の特徴があります。

picasso-g ・忘れ物が多い。

・何かやりかけでもそのままほったらかしにする
・集中しづらい、でも自分がやりたいことや興味のあることに対しては集中しすぎて切り替えができない。

・片づけや整理整頓が苦手。


・注意が長続きせず、気が散りやすい。


・落ち着いてじっと座っていられない。


・順番が待てない。


・会話の流れを気にせず、思いついたらすぐに発言する。


・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする。


・etc….

では、幼少の頃の様子、また家族や友人などの証言による生前のピカソはと言うと。。。

ピカソにまつわる話でも書きましたが、ピカソは出生時、重度の仮死状態であったために、それがADHDの発症と関連していると言われています。また、これも既に述べましたが問題児だったピカソは小学校のころから落ち着きがなく、勝手に席を立ったり、授業中ひたすらノートに落書きしたりしていましたが、ただ絵を描くことに関してだけは超人的な集中力を発揮できました。

つまり、興味の無い事には全く見向きもせず、好きなことにはずば抜けた才能を発揮できたわけです。

そして、ピカソはいくらでもアイデアを思いつく人で、次々と新しい魅力的なアイデアが正に空から彼の頭上に降って来て、それ故に何かをやり遂げる前に次のことへ移ってしまうこともしばしばでした。また、ピカソは自由な生活スタイルを好み、それは因習にとらわれない自由奔放なもので、アトリエの中に画材やさまざまながらくたを置き、更に犬一匹、シャム猫3匹、サルなど珍しいペットを飼っていました。

更にピカソはいわゆる「捨てられない」人で、まったく整理整頓ができず部屋は無秩序。小物、ガラクタ、食べ物、服、芸術作品などがうず高く積み上げられていたと言い、それは現在で言うゴミ屋敷状態。実際、自分でも物がどこにあるかわからず、同居人に大事な手紙や本などを見つけてくれるように頼んだと言われ、彼のズボン服のポケットはに色々な物を中に詰込み過ぎて破れることもしばしばあったそうです。

ちなみに、ピカソの名言として「明日に延ばしてもいいのは、やり残して死んでもかまわないことだけだ。今日できることは今日すべき。」と言うのがあります。世間では偉大な芸術家の素晴らしい言葉だと認識されていますが、実はそうした意味ではなくピカソはただ約束を守れないどうしようもない人で、本当のところは急ぎで頼まれた肖像画や挿絵をよく先延ばしにし、その際の言い訳に苦し紛れに言っていただけでした。

つまり彼にとって、たとえ大事な仕事でも自分が興味を持てないものなら「やり残して死んでも構わないこと」だったと言うわけです。

また、ピカソは絵のスタイルがころころ変わったことでも有名で、青の時代→ばら色の時代→アフリカ彫刻の時代→セザンヌ的キュビスムの時代→分析的キュビスムの時代→総合的キュビスムの時代→新古典主義の時代→シュルレアリスム→ゲルニカの時代→晩年の時代と、数年単位で変化し続けました。ピカソが次にどんな絵を描くかは誰にも予想不可能で、熱心なファンだったダグラス・クーパーでさえ、晩年の作品群にはついていけないと思ったほどでした。

こうしためまぐるしく変わるテーマ性は、ADHDの症状の一つ「新奇性探究」の特徴と言われています。簡単にいえば、飽きてしまうと集中できないため一箇所にとどまることはできず、常に新しいことを追い求め冒険し続けないと生きられないからです。また、ピカソは、一つのことで完璧を目指すより、適当に切り上げて、次々に新しいことに取り組むことのほうが、はるかに得意でした。

だからこそ、ピカソは生涯におよそ1万3500点の油絵と素描、10万点の版画、3万4000点の挿絵、300点の彫刻と陶器を制作し、最も多作な美術家としてギネスブックに記されているのです。もしピカソが、一つの絵に完璧を求めて微修正を繰り返したり、構想に悩み続けたりするタイプだったら、こんなに多作にならなかったのは間違いありません。

これまでの述べた通り、ピカソはまるでわがままで無邪気な子どもそのものでした。ただ、その裏を返せば自己中心的で協調性がなかったので、友だちとなかなか親密になれませんでした。しかし、一方では一人でいることには耐えがたく、対人関係には積極的で常にいろんな人と会っていたそうです。

結局のところ人間関係やコミュニケーションが苦手だったわけではなく、積極的に人と関わりましたがピカソがあまりにも子どもっぽかったので、大人としての深い付き合いができなかったのでしょう。

前章で紹介した番組で岡本太郎さんも述べていますが「彼と話していると途中、話があっちいったりこっちいったり、まるで無邪気な子供がしゃべるそんな感じだった…」と言うのが、よくそれを表していると思います。

ただ、ピカソ自身も自分の子どもっぽさを意識していたものと思われ「子供は誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」と述べており、晩年にはさらに子どもらしくなったピカソは「この歳になってやっと子供らしい絵が描けるようになった」と喜んでいたそうです。

子どもらしいことはピカソにとって恥ではなく、むしろとても意味のある勲章だったわけで、実際ADHDの人は子どもがそのまま大人になったような人だと形容されることがよくあります。

尚、あの地元カタルーニャのサルバドール・ダリも同じADHDであったと言われ、近年研究家の間で彼もそうではなかったのかと言われるのがガウディ。

時代こそ違いますがゴッホも実はアスペルガー症候群だったと言うこれらの事実は、天才芸術家たちを知る上で興味深いところです。

 

【最後に…】

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お勧め度:18点/20点
★★★★★(4.5)


 

 

住所 Montcada 15-23   【地図】
URL http://www.museupicasso.bcn.cat/en/
開館 10/14-4/13:10:00~19:00、4/15-10/12(火水日):9:00~20:00, (木金土):9:00~21:00
※1/5:10:00~17:00、12/24, 12/31:10:00~14:00
休館日:月曜(祝日の場合も)、1/1、5/1、6/24、12/25
料金 常設展のみ 一般15€、18~25歳・65歳以上7.5€、18歳未満無料
常設展+特別展は展示により料金が変わります。
日本語オーディオガイド付きは上記料金に+5€
最寄駅 地下鉄 4 号線 ジャウマ・プリメJaume Iから徒歩5分
お得情報 毎月第一日曜日は終日、10/14-3/13の木曜日16時以降、4/15-10/12の木金土19-21時、1/4,5,2/12, 5/18, 9/24は無料。そのチケットは4日前からWebで受付。6つの美術館に入ることができるArticket BCN アルティケット・バルセロナ(38€)も利用可能です。

 

 


記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。

この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。。 記事最終更新 2025.3.17

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barcelona (100) 【王の広場】(徒歩6分)
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近くレストラン&バル、カフェテリア

20131115160709865 【Cal pep】(徒歩3分)
行列のできる人気レストランバル。だみ声Pepシエフがお待ちしています。
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2025年夏 最新版 完全解説 カサ・バトリョ ~海をイメージとしたガウディ建築の傑作~

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数あるガウディ作品の中でも最も完成度が高いとも言われるのがカサ・バトリョ。

ここではバルセロナのメインストリートに建ち海をイメージしたと言う建物を徹底的に解説していきます!

概要

バルセロナのメインストリートであるパセジ・ダ・グラシア通り沿いに建つカサ・バトリョの歴史は、1877年に建築家Emilio Sala Cortésによって建てられた建物をその当時、繊維業で財をなしたD.Josep Batlló i Casanovaが1903年に購入したことから始まります。

当時のバルセロナでは「目立つ家」が富豪のステイタスシンボルだったこともあり、それまでに無い個性的な改装を求めガウディに依頼したのが1904年。

5階建ての建物の地下1階と地上6階、そして屋根裏を増改築し2年後の1906年、ガウディが54歳の時に完成させた集合住宅がこのカサ・バトリョです。

ガウディが完成させた当時から、別名「骨の家」「あくびの家」とも呼ばれる、ユニークな外観の建物も長い間、個人所有だったため未公開でした。それが初めて公開されたのがガウディ生誕150年にあたる2002年のこと。

尚、2005年にカサミラ、サグラダ・ファミリア、グエル邸などと共にアントニオ・ガウディ作品群の一つとして世界遺産に登録されました。

ちなみに現在のカサ・バトリョの所有者は、地元バルセロナの企業で世界的に知られた、あの飴玉のチュパチャプス社となっています。

http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/07/batllofamil.jpg  【バトリョ家】絹織物の製造業者の息子として生まれたジョセップ・バトリョ。1884年に繊維業を営む同業者の娘と、いわゆる政略結婚により更に資産を増やしその財力を使いバルセロナのメイン通りにこの邸宅を建てました。
彼の同業者仲間としてガウディが建てた「カサ・ミラ」のオーナーのペレ・ミラ、並びにガウディの大スポンサーだったエウセビ・グエルがいます。当時は繊維業が現在のIT企業と同じく何よりも儲かる商売でした。

 

デザインの起源

ところで、この建物の屋根の造形には諸説があるのをご存じでしょうか?

①カタルーニャの聖人サンジョルディの伝説にちなんで、ドラゴンに見立てている説。

石柱が骨、バルコニーが骸骨に見えるので「骨の家(Casa dels Ossos)」とも呼ばれドラゴンの犠牲になった人たちの骨を表していると言う説。

②屋根をアルルカンの帽子に見たて、バルコニーは仮面、ジュゼップ・マリアジュジョールの手に寄る様々な色の破砕タイルが祭りの紙吹雪を表しているとする謝肉祭説。

③外側の外壁を含めて海をイメージしている説。
@
個人的には壁面が太陽の陽を浴びてキラキラ光っているのがバルセロナの海に通じるところがあり③の説を採用したいと思いますが、カサ・バトリョのHPで屋根にドラゴンが乗っているのを見るともしかして①の説が有力かも知れません。

ちなみに、ガウディ自体が生前あまり多くを話さなかったこともあり、記録が殆ど残っておらず一体何をモデルにしたか、イメージにしたかは実際は誰にも分からず。

ガイドブック、専門書にはまるで真実の様に多くのことがそこに書かれていますが。専門家と呼ばれる人がこうであろうと勝手に想像したものです。

あのサグラダファミリアですら、本当のモデルは何だったのか実は未だに分かっていません。

もしガウディが生きていて本当の意味を話てくれたら、その多くは全く別の解釈だったと言うのも十分ありえます。

jujol 【ジュゼップ・マリア・ジュジョール】建築家でアントニ・ガウディの協力者として家具デザインや絵画などの分野で才能を発揮した総合アーティスト。「彼はあなたの助手か?」と聞かれた際に「助手ではない兄弟だと」答えたと言う逸話も残るほどガウディの信頼が厚く正に右腕と言う存在でした。
ガウディの裏方とし、顔に似合わずその天才的な色彩感覚はこのグエル公園のモザイクに遺憾なく発揮され、非常に大きな役割を果たしました。

 

外壁のテーマは海

屋根については諸説があると言いましたが、建物全体のテーマはと言うとずばり「海」と言う事でこれに関してはほぼ間違いないようです。ここではそれを前提に解説していきます。

まず、ファサード(建物正面)は海面のように波打ち、その表面には青を基調としたトレンカディス(破砕タイルのモザイク)に加え、ガラスの破片も同時に大量に使うことによって壁面全体がキラキラと輝くまるでサンゴ礁の海を表現しています。

建物の最上部にある小さな穴は屋根裏部屋の窓で、その左右横にある2つの鉄のアームは大型の家具を入れる際に滑車を取り付けてクレーンの様に使った昔の名残。

また、その間にある小さな窓と白いチューリップ型囲いは屋根裏部屋のバルコニーです。

 

トレンカディスとは?


カタルーニャ語で破砕タイル又は破砕仕上げ全般を指す言葉です。

元々は降雨から壁を保護する目的に始まり、次第に装飾するために利用され一種のモザイクとして使われました

。低費用にも関わらず高い装飾効果を生むことから、ガウディは特に好んでこの技法を使用。

様々な色のタイルやガラスの組み合わせは無限とも言われ、作る上で一番重要なのは色彩感覚。

ガウディは自ら大通りの歩道に立ち、制作にあたっては職人達に細かな指示をしました。

 

骨の家

次に建物の下部を見ていくと、まず目につくのが開口部が異常とも言えるほどに大きな窓。

ガウディは改装するにあたり可能な限り陽の光を取り入れるため、元々あった2,3階部分の外壁を大胆に取り壊しました。

建物の端から端まで広がり波打った窓枠その上部を見るとちょうど、それはコウモリが羽を広げた様にも見えます。

ちなみに、このデザインは当時バルセロナに住む人々に大きなインパクトを与え、その芸術性が分からなかった市民からは賞賛よりもむしろからかいの対象となり、大きな窓の姿から「あくびの家」とか、また人によっては窓に並ぶ石柱のその独特の形から「骨の家」などと揶揄しました。

【2階は建物のオーナー】
現在は無くなりましたが、かつて習慣としてバルセロナの街の古い建物に共通していたことがあります。
それは2,3階の窓が他の階より広かったり出窓だったり、またバルコニーが大きかったり。取り敢えずそこが建物で一番豪華に作ってあって、その理由はと言うと建物のオーナー家族が住むフロアー2階と上階に住む借家人との差を強調する差別化するためのものでした。
ところで日本人には理解できない点が一つあると思いますがどうでしょう
富豪と呼ばれるお金持ちが自分だけの一軒家に住まず、家の上の階を煩わしいはずの他人に借家として貸すのか?

と言う疑問が沸くかと思いますが、それは法律でバルセロナ市内の中心には土地の有効利用の観点から、当時から一軒家の建設は許可されていなかったからです。

なので別に家賃が欲しかったと言うわけでは無く、法律の縛りの中でそうなったわけです。

 

不協和音の一画

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壁を接して真横に並ぶカサ・アマトリエールと少し離れてカサ・リェオ・イ・モレラ

 

ところでグラシア通りのこの一画には、カサ・バトリョを始め左横にはカサ・アマトリェール、またその左にあるのがカサ・リェオ・イ・モレラと言う当時のモデルニスモを代表する3大建築家(写真左からガウディ、モンタネール、プッチ・カダファルク)によって作られた歴史的建造物が100メートル程の距離に横一列に並でいます。

ここは、三者三様に異なる建築を一度に観賞することができる稀なスポットですが、その統一性の無さにより建築好きの人達からは「不協和音の一画」と揶揄されてもいます。

と言っても特に三人が仲が当時悪かったと言うような記録はありませんし、年上のモンタネールは建築学校ではガウディの先生でもあったので多分大丈夫だった、かと..。

ちなみに、実際に見比べてもらえれば分かりますが三人の中で他二人にはない全く別次元の個性を放っている人、それは間違いなくガウディです。

【不協和音とは?】
1. 二つ以上の音が同時に出された時に、全体が調和しないで不安定な感じを与える和音。
2. 人間関係の場合、心を合わせて仲良くせず不調和となっている様

casa amatller (10) 【カサ・アマトリエール】★★★☆☆
チョコレート製造を生業としていたアントニ・アマトリェール
….
979 【カサ・リェオ・イ・モレラ★★★☆☆
バルセロナ市の目抜き通りパセジダ・グラシア通りに位置する….

 

 

見学スタート

ここでは一般的なチケット、Blueチケットを利用しての入場から見学ルートにそって、徹底解説していきます。

尚、3種類ある入場チケット、それぞれの比較は以下の記事。

【徹底検証】カサ・バトリョのお勧めチケットは一体どれだ⁈

また、チケットのオンライン購入は以下の記事をご覧ください。

最新版 カサ・バトリョ 入場チケット予約購入方法

 

入場

入り口でのチケットチエックの後、オーディオガイドが渡されます。

その際に言語を聞かれるのでジャパニーズと言うと、日本語で聞けるようセッティングしてくれます。

ここのオーディオガイドはサグラダファミリアやカサ・ミラなどとは違い、専用のスマホを利用したオーディオ+ビジュアルのハイブリッドタイプ。

ハイテク仕様のオーディオガイドは、もちろん使い方も簡単で見どころ毎に振られてる番号があるので、その前に立って書かれている番号を押すと音声ガイドと共にアニメーションがスマホに写しだされます。

 

2つの階段

オーディオガイドを受けとり先へ進むと右手に階段、左手にもう一つの入り口が見えます。

これは、この建物のオーナーのバトリョ家と上階に住む借家人(店子)の入り口が、それぞれ独立しているからです。

また、バトリョ家の入口横には管理人の小部屋があり、その右手には掃除用具などを入れる収納スペースとして物置が配置されています。

ちなみにそこには特別にあつらえた専用の縦長楕円形の扉が2つあって、ただの物置にも一切手抜きしない、さすがはガウディといきなり感心させられます。

次にバトリョ家の入り口を中へ進むと、まず目に入るのがケロヨンを思わせる不気味な置物。そしてその横の木製の階段の手すりの下に通称ドラゴンの背骨と呼ばれる波打つ板が見えます。

これは、手すりの間から幼児が落下するのを防止するためのものです。

さてここからいよいよ、カサ・バトリョの内部見学が始まりますが、注目して頂きたいのはこの先にある直線を排した曲線の世界。

そう、いよいよガウディー・ワールド第2部の始まりです。

螺旋の階段を上がっていくと、頭上に見えてくるのが天窓。

これは日中、建物中央吹き抜けのパティオに降り注ぐ太陽の光を、本来最も暗くなるこの空間に取り込むようにしたものです。

楕円の窓枠はトネリコと呼ばれる木を使ったもので、テーブルや椅子などの制作にもガウディはこの木材を好んで使いました。

さて、階段を登りきるといよいよ住居になります。。。

http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/07/toneriko.jpg 【トネリコ(西洋トネリコ)】
ガウディが愛したこの木は、スペインからロシアにかけて自生する木で成長が早い上に、用途の広い材木で昔から重要な資源として建物の柱、木工品など多岐にわたって利用されてきました。その特徴としてはトネリコの材は固く丈夫で耐久力がある上に曲げやすく、初期の飛行機のフレームにも使われた程です。

 

暖炉には仕掛が..

階段を上がって最初に目にするのが「暖炉の部屋」と呼ばれるものです。

ここは、屋敷のオーナーのバトリョ氏の執務室として使われていましたが、ガウディはここが下の入り口から階段までのパブリックスペースと、この部屋の奥にあるバトリョ家のプライベートスペースへの移行空間として位置付け、その様な役割を与えていました。

部屋を見ていくと壁一面に施されたモザイク模様には金箔が使われていて、まるで秀吉の黄金の茶室かと思わせます。

ただし、ガウディが作っただけあって成金の悪趣味とは程遠く、スペイン南部で取れるコルクが壁一面に貼られているのかと思える程シックなものです。

ところで、この部屋の暖炉に注目して下さい。暖炉と部屋を壁に埋め込んでしまうと言う発想は、その奇妙なキノコの形と共に理解し難いところですが、逆にこれこそガウディらしいと言えるでしょうし、きっと何らかの意味を秘めているとも取れます。

更に両脇の木製のベンチをよく観察すると、片側が2人掛けで反対側が1人掛けと変則的になっています。これには理由があって、暖を取ることはもちろんですが昔は同時に一寸した談話室にもなっていて、時に閉ざされた小さな空間で年頃の男女が2人きりになることもあり、その際は間違いが起きる心配もありました。

そんな時のために暖炉を挟んで向いのベンチにお目付け役の女中が座る、そのための1人掛けベンチでした。

 

サロンを分ける扉

http://i2.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2017/06/1-IMG_1196.jpg

「暖炉の部屋」を次に進むと、今度はこの家のサロンです。

グラシア通りに面した大窓の外には骨にも例えられているバルコニーの柱、採光がとれる大きな窓、水玉模様の丸いステンドグラスは海水の飛沫を表現しています。

実際ステンドグラスを通して差し込む太陽の光は、まるで海面を反射するようにキラキラと輝いています。

ところでこのサロンの左右にある扉。

これは普段は独立した部屋として使っていますが、必要に応じてアコーディオンの扉を全開してつなげ、一つの大きなスペースにすることで親しい友人などを招いてパーティなどの社交の場として利用する為のものです。

日本でも田舎の旧家にはまだ少し残っている冠婚葬祭の際に開け放ち一つの大広間として使う襖、それと同じ役割をこのドアはしていました。

あくびの家と、揶揄されるほどの他のバルセロナのどの家にも無かった大きな窓、この窓にもガウディならではの工夫が施されていて実はこの窓、普段は決して開けられることは無いのですが実は開きます。

また、その開け方も独特で左右にではなく上に開きます。近づいてよく見ると各窓には窓を持ち上げるケーブルが付いているので、見学の際はそれを確認してみて下さい。

ところで、大通り側にサロンを配置するのは太陽の光が一番入ると言う事もありますが、それ以外にも大きな意味があったのをご存じですか? 

それはバルセロナの一番のメイン通りであるグラシア通り、そこに建つ贅を尽くした目立つ屋敷はその前を道行く人達からの羨望の眼差しで見上げられていた場所でした。

そんな前を通る庶民を上から優越感を持って見渡すサロンこそが、当時のブルジョア階級の特権・意識が現れている場所でもありました。

ただ、そう言う貧しい意識とは別の世界にガウディがいたことは間違いなく、次の彼の晩年の言葉がそれを如実に語っています。

「私の親友たちは死んでしまい私には家族も客もいないし、財産もなにもない。だから私はサグラダ・ファミリアに完全に没頭できるんだ」。

お金は持っていても煩悩から逃れられずその塊となっていたブルジョアと、全く別次元の生き方をしていたガウディ。

後年、ガウディが金持ち向けの住宅を一切作らなくなった理由の一つがここにあります。

CIMG8869 「サグラダファミリア」★★★★★
世界屈指の人気観光スポット見所を、ガイドブック以上に詳しく徹底解説。

 

ダイニング

友人知人などを招いて、社交の場としても使われた大通りに面したサロン。

それとは打って変わりダイニングルームは建物の一番奥に位置したせいもあり、外からの雑音も無くここが家族の本当の意味での完全プライベート空間でした。

尚、ここから廊下を介して使用人の部屋とつながり、また小腹が空いた時などでも使い勝手が良い様に2つの寝室がこの両脇に位置しています。

さて、このダイニングルームの特徴としては、可能な限り太陽の自然光を取り入れるために作られた大きな窓。

そして、100年前にデザインされたと思えないパステルカラーのモザイクの柱。

この珍しい二本で一対となっている柱は、グラナダのアルハンブラ宮殿にあるライオンの間にそのインスピレーションを得たと言われています。

次に、もう一つの特徴は天井にあるミルククラウン。

ミルクに一滴落としたときに水滴の跳ね返りできる王冠。

ここではそれをを天地逆さまにデザイン化し天井の装飾に取り入れ、住居として使われていた頃はその中心に照明のランプが吊られていました。

http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/07/milkulura.jpg 米国のエジャートンがストロボを数千分の1秒単位という高速で制御することによりミルククラウンの撮影に世界で初めて成功したのが1931年。
ガウディがカサバトリョを作ったのが1904年ですから驚くべきはその27年前には誰もが見逃してしまう様な日常のほんの一瞬の現象にガウディは既に気付いていて、建築デザインに大胆に取り入れていたと言うことです。

 

テラス

ダイニングルームを出るとテラスになっていて、ここも見所の一つになっています。

壁面の装飾は前面に比べればかなり控えめですが、建物の最上部のトレンカディスはガウディの代表作の一つでもあるグエル公園の波打つベンチをイメージさせるデザインとなっています。

尚、テラスの出入り口の左右にあるガラスで覆われた青い池の様な穴は、その下にある地下室へ光を入れる天窓です。

また、その横にあるオブジェはグエル公園でも使われた円形タイル、更に緑、青、赤などの鮮やかなトレンカディスで、これでもかと言うぐらいに飾られています。

破砕タイルと呼ばれるトレンカディスですがここではガウディ、材料はタイルだけにこだわらずガラスも使用していて他には無い非常に美しい仕上がりとなっています。

IMG_2489 【グエル公園】★★★★★
 ガウディの大スポンサーでもあり、理解者でもあったグエル伯爵が計画した…

 

海底の吹き抜け

建物内部の中央パティオは、海底や海底洞窟をイメージして造られていて、別名”光庭”とも呼ばれます。

4つの壁面にはガウディ・ブルーとも称される海底をイメージした青の市松模様のタイルが所々カメオ式の立体のタイルと共に、斜め45度の角度で貼られています。

ここで注目すべきはパティオ全体が同じ色に見えるように、強い光を受ける上階には光を吸収し易い濃い色調を、逆に光が届き難い下層には反射率の高い白っぽい色調のタイルを貼り合計で5段階に変化させている点です。

 

また、窓に注目すると明り採りの窓は上の階ほど小さく、逆に下の階になるほど大きくすることにより、部屋に射し込む日差しの均等化を同時におこなっています。

これにより、それまで上階の部屋の温度が夏季に上がり過ぎる問題を解決しました。

尚、この手法はこの後に建設されたカサ・ミラ、そのパテイオに面した窓でも応用されています。


ところで、ガウディが光にこだわったのは、なにもこのカサ・バトリョだけではありません。

彼の作品の全てにおいては、いかに光を取り入れるかが生涯の最も重要なテーマとなっていて、その代表と言えるのが世界で一番明るい教会と言われるサグラダ・ファミリア。

実際、ガウディの工房では自然光を最大に取り入れるための模型を幾つも作り、亡くなる寸前までその為の実験を重ねていました。

 

パティオ一面の壁に貼られたコバルトブルーのタイル。

これだけでも海を十分に表していますが、ガウディはそれに飽き足らず階段のガラスのパネルに工夫をこらしました。

それは表面に敢えて凹凸あるガラスを用いることによって、その向こうの背景となるタイルの青が揺らぎ、まるで目の前にほんとうの海があるようなそんな錯覚を与えてくれます。

更に窓をよく見ると、その幾つかは上下のサイズが違うのに気づきますがこれは窓に2つの機能を持たせたもので、上の大きい方が採光、そして下の小さな方が換気用となっていて、光以外にも換気と熱の循環まで綿密に計算し尽くされたものです。

 

屋根裏

元々は建物に無かった屋根裏部屋ですが、ガウディのリフォームにより新しく付け加えられました。

屋根裏の役目はまず第一に使用人のためのスペースとして、次に夏の暑さや冬の寒さなどの外気温の変化から建物を保護する温度調整室の役目も担っています。

また、屋根裏部屋は柱を排しラジョーラ(Rajola)と呼ばれる地元カタルーニャ産の薄レンガを使いアーチで構成。

これは地元カタルーニャの伝統家屋からインスピレーションを得たもので、カサミラでも同様の屋根裏構造(カテナリーアーチ)が見てとれます。

ただ、両者の違いとしてはここカサ・バトリョでは、レンガの上に漆喰を塗り純白の空間とし、本来なら暗い印象の屋根裏部屋を明るく演出したことです。

 

【カテリーナ曲線(アーチ)とは】

ロープや鎖などの両端を持って垂らしたときにできる、曲線をカテナリーと呼びます。

因みに上下逆向きにした形状にすると全ての部材に均等に圧縮力がかかることになり、力学的に最も安定するため現在でもアーチ橋などに多く用いられています。

では実際にガウディは工事現場でどうやったかと言うと、まずアーチの起点となる2点を定めそこにロープを張ります。

次に、アーチの高さを決め垂れ下がるロープの下の頂点がその位置に来るように調節します。

出来上がった曲線の後ろに板を置いて、その曲線を筆などでなぞって板に移すことによって重力と張力のバランスが完璧に取れたカテナリーアーチを得ます。

後はその曲線通りに板を切り抜き、その上下を逆転させれば、職人達がレンガをアーチ状に積んでいく基本になる枠が完成となります。

分かり易く解説、実験した動画もご覧ください。

尚、ガウディはこのカサ・バトリョの他に既に述べたカサ・ミラの屋根裏、更にサグラダ・ファミリアの身廊、コロニアグエル教会など様々な作品でカテナリーアーチを使用しました。その理由としては安定した構造に加え視覚的にも美しく、またレンガ積みの構造は制作しやすく、経済的な方法でもあったからです。

DSCF1094 【コロニア・グエル教会】 ★★★★☆
ガウディが10年の歳月費やし、カテリーナアーチを極限まで極めた最高傑作と名高い.… 
casamila0 【カサ・ミラ】★★★★★
すぐ近くの世界遺産はカサ・バトリョと共にバルセロナを代表する建築物。

 

屋上

屋上の見どころの一つは建物正面の屋根。表のグラシア通りから見える部分のタイルは大きく、それはドラゴンの背中(鱗)をイメージさせます。

また、その反対側のタイルはオレンジ色の細かなモザイクのピースを使うことにより、爬虫類の腹をイメージしたもので、非常に考えられた造りとなっています。

もう一つの見どころは、合計27本ある煙突。それらは4つのグループに束にまとめられています。

揺れる様に曲がった煙突は波、表面に貼られたトレンカディス、その姿は群生するキノコを模したとも言われますが一見しただけでは煙突と思えない何とも不思議な造りはガウディならではのもです。

以上でツアーは終わりになり、所要時間は約1時間から一時間半となります。

 

【煙突に込めた意味】
ガウディ建築にみられる特徴の一つとして、その奇抜な煙突があります。建物の中では脇役でどうでもいい存在のはずが非常に凝った造りが多く、ガウディは煙突にかなりこだわりを持っていました。

一説には、魔物が家に侵入する際に煙突こそが一番の弱点と言う意識が中世の昔から人々にあり、ここを守る意味で荒々しく武器の様に尖った煙突にしたり、またカサ・ミラの場合では兵士の顔になっているのもその為です。

このカサ・バトリョの煙突も先がとがり横にはカバーが付いて、魔物が侵入できないように開口部を隠した造りになっています。

casamila0 【カサ・ミラ】★★★★★
ガウディが54歳の時に設計し1905年から1907年にかけて実業家のペレ・ミラと.…
IMG_2489 【グエル公園】 ★★★★★
 ガウディの大スポンサーでもあり、理解者でもあったグエル伯爵が計画した…
IMG_0126 【グエル邸】★★★★☆
アントニ・ガウディの良き親友であり、最大のパトロンであった実業家エウセビ.…
201501140624364fb 【カサ・ビセンス】★★★☆☆
ガウデイの初期の作品で他との違いは、直線的な構造の煙突が見れ…

 

新設アトラクション

コロナ以降2021年より新たに上記の主要見学スポット以外に、「ガウディキューブ(全チケット入場可)」と「ガウディドーム(シルバーとゴールドチケットのみ入場可)」も追加されました。

 

(写真1)

「ガウディキューブ」は、空間デザイナーのレフィーク・アナドールがプロデュースした3分ほどのショーで壁、天井、床がスクリーンとなり360度で映像と音楽が体感できます。

ただ、建築好きの方や、建築の専門家などガウディ作品を純粋に楽しみたい方達からは全く必要の無いアトラクション。

世界遺産をただのテーマパークに貶めると、次の日本人建築家の隈研吾氏によるデザインされた階段と共に酷評されています。

 

隈写真2

 

 

ライトアップ

サグラダファミリア程、感動的ではありませんがここもライトアップされます。

時間は日没後に暗くなってから深夜1時まで。立地が良いのでグラシア通りでのショッピングの最後、夕食の後などに立ち寄るのも簡単です。

また、サンジョルディの日(4月23日)やクリスマス期間などの日は、特別なイベント装飾がおこなわれます。

ただし、地元の見慣れた人にとってはそれはそれで楽しめますが、旅行で一度しか来られない方ならやはりガウディ建築はオリジナルで見たいはずですし、写真を撮って残したい方でしたそれらの日を外すと良いかと思います。

 

見どころムービー

カサバトリョの主な見どころを集めてフォトムービーを作ってみました。

 

アクセス一覧

カサ・バトリョ、主要観光スポット間のアクセス一覧を実際に地下鉄に乗って歩いて移動した完全動画解説。

【カサ・バトリョ ➡ グエル公園シャトルバス乗り場】
【カサ・バトリョ ➡ サグラダ・ファミリア】
【カサ・バトリョ ➡ カサ・ミラ】
【カサ・バトリョ ➡ カタルーニャ音楽堂】

 

アドバイス&まとめ

数あるガウディの作品の中で、完成度と言う面においてはトップレベル。

ここが必見スポットであることに疑う余地はありません。

唯一の欠点と言えば建物所有者が民間企業(飴玉お菓子のチュッパチャプス社)のもので、貪欲なほどの営利目的を第一にやっているせいで入場料が非常に高いことです。

ただ、最近は他の観光スポットも負けじとどんどん値上げされたので、バルセロナに住んでる者として恥ずかしい限りですが、それはバルセロナの観光相場と納得してください。

入場チケットには色々な種類があって悩むところですが、どのチケットも時間指定が必要です。

一番シンプルなBlueか、あれこれ考えるのが面倒なら全て楽めると割り切って一番高いGold、そのどちらかがお勧めです。
最近はPlatinum(プラチナチケット)も発売されていますがGold(ゴールドチケット)との違いは、キャンセルが出来るか、日付変更が出来るかの違いです。

実際に比較した詳しい記事、チケット購入の手順などは下の関連記事にまとめてあるのでご覧ください。

 

【最後に…】

この記事を読まれ役に立ったと思われる方、バルセロナで一番クオリティーが高いフラメンコショーのタブラオ・コルドベスの予約代行を公式サイトで予約されるより僅か1ユーロですがお安くやっています。、観に行かれる予定の方は弊社にてお申込みく頂けると、バルセロナウォーカー記事更新のカンパになるので是非お願いいたします。詳細はここ

 

 

 


お勧め度:19点/20点
★★★★★(4.75)


 

住所 Passeig de Gracias 43 地図はこちら】
URL https://www.casabatllo.es/en/
電話 93 216 03 06
時間 基本は365日年中無休 9:00-22:00 (最終入場は21:00)
但し、事情により早めにクローズになる日もあるので事前にHP、または入り口で確認
料金 Blue: 一般35€、学割(学生証提示)・13-17歳29€ 65歳以上32€、13歳未満無料
*上記はオンラインでの事前購入料金。窓口で買うと4€高くなります。
最寄り駅 パセジ・ダ・グラシア駅
3 号線から徒歩約1分、 4 号線もしくは 2 号線から徒歩約7分
所要時間 1時間15分

 

 


記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。

この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。。 記事最終更新 2024.2.16

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2025年春 最新版 完全解説 サグラダ・ファミリア教会

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サグラダ・ファミリア教会は、スペインで最も有名な見どころとして、グラナダのアルハンブラ宮殿と双璧をなしています。実際、バルセロナに来る97%の旅行者が訪れる屈指の観光スポット。

ここでは、その見どころを旅行ガイドブックの数倍のボリュームで徹底的に解説します。

 

概要

建築家アントニ・ガウディの代表的な作品として既に130年以上経ちますが、現在まで未だに建設工事が延々と続く教会として知られ、その途方もなさ、訳の分からなさ故に世界中から、さすがラテンの国スペインだと称賛されています。

さて、サグラダ・ファミリアの歴史を紐解くと、その起源は1866年、宗教専門書の店主で慈善活動家でもあったジュゼップ・マリア・ブカベリャが、バルセロナに聖ヨセフ信仰協会を設立した事が始まりとなります。

ほどなくして会長のブカベリャは、この会員の寄付を建設費に充てる事でキリストの聖家族に捧げる贖罪教会をバルセロナに建てる事を決意しました。

これがサグラダ・ファミリアの前身です。ちなみに、サグラダ・ファミリアは、ヨセフ、マリア、イエスから成る「聖なる家族」を意味する言葉です。

【聖家族】
キリスト教で幼児イエス=キリストと母マリアおよび父ヨセフの三人の家族、これが古来より家族の原形とされしばしば絵画や彫刻の題材として扱われて来ました。Sagrada Famíliaとはラテン語Sacra Familiaを語源とした、カタルーニャ語です。

建設着工まで、その後約5年程の準備期間を経て1882年3月19日サグラダ・ファミリア教会の建設がスタートします。この際、初代の主任建築家には当時無名のアントニ・ガウディではなく、無報酬で設計を申し出た建築家フランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャールが就任。

当時、ビリャールが考案した教会は典型的なネオゴシック様式の教会で建物最大となる塔部分の高さでも85mほど。現在建設中のサグラダ・ファミリアの塔の高さが172.5mになる事を考えると、当時の建築構想は今よりもかなり小規模だったと言えます。

建築は着工後一年で主任建築家のビリャールと、建設アドバイザーを務めていたジュアン・マルトレイの間で建築材料を巡って意見が対立。

更に依頼人であるブカベリャが予算的な面からマルトレイの意見に賛同したため、結局ビリャールは建築主任を辞任、そして新たに2代目の建築主任として白羽の矢が立ったのがこの時、若干31歳のアントニ・ガウディでした。

ガウディ生前の間に完成したのは地下聖堂と生誕のファザードのみ、ガウディの死後にも工事は続けられはしましたが1936年のスペイン内戦の混乱を経たあとの予算不足や、100人の地元著名人が建設継続反対を訴えるなど様々なマイナス要因が重なり、サグラダ・ファミリアの建設はその後30年近くも滞ってしまいます。

そんな絶望的な状況により、当時は未完成のまま残して博物館にすると言う案もあったほどです。

21 世紀に入っても完成まであと200年はかかるだろうと言われながら、その後も細々と建設が続けられていましたがそんな中、転機となったのはグローバル化による観光客の爆発的な増加による入場収入です。

既にそれは建設資金の全てを蓄えたとも言われる程の潤沢な予算をもたらしてくれました。

2010年ローマ教皇ベネディクト16世によって「バシリカ」に認定するミサが執り行われたのを大きな契機に、ガウディ没後100年に当たる2026年の完成を目指し急ピッチで建設が進んでいましたが、新型コロナウイルスの影響を受けて現行の2026年からずれ込むことになりました。

 

完成イメージ

saguradajpkansei

完成したらこのようになるそうです。ベージュ色の部分がすでに出来上がった部分。

クリーム色の部分が未完成の部分です。中心になる170メートルの最も高い「イエスの塔」をはじめ、まだ建設される塔がいくつか残っていて、2021年12月遂にマリアの塔(写真の一番右側の塔)が完成しました。

 

建設の歴史

http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/07/syasins.jpg

工事の歴史で重要なものを幾つかここで述べると。
・1882年 工事開始の定礎が置かれる
・1913年 生誕の塔の高さが66メートルに達する
・1926年 ガウディが路面電車の事故により死去
・1933年 生誕の塔が完成
・1935年 スペイン内戦この後17年間にわたり工事停止
・1988年 彫刻家ジョセップ・マリア・スビラックスが工事に参加
・2010年 ローマ法王訪問。寺院からバシリカに昇格

当初は完成に300年はかかるとささやかれたサグラダ・ファミリアも、ようやく完成の目途が立つようになりましたが、サグラダ・ファミリア建設の歴史の中で一番暗雲が立ち込めたのが1935年からの内戦でした。

この時、建設を進める上で指標となっていたガウディが大量に残した図面、模型が殆ど消失破壊され、以降に作られた部分とガウディが作った部分に決定的な差がでることになりました。

http://kamimura.com/wp-content/uploads/2020/09/kurun.jpg 【ケルン大聖堂VS サグラダ・ファミリア】
サグラダ・ファミリアの工事が
語られるときいつも話題になるのが、既に100年もの期間を要しているにも関わらず未完であることですが、実はこの信じられない長さもヨーロッパの大規模な教会建設ではごく普通なのです。ケルン大聖堂に至っては完成までに600年以上の歳月を要したほどで、それからするとサグラダ・ファミリアは完成まで400年工期が残されていると言えます。

 

感動のイメージビデオ

イメージCGには出てきていませんが、栄光のファサード側の道を渡ったブロックに本当の入り口が出来ることになっています。日本では全く語られていませんが、栄光のファサードの前の2ブロック(写真右下)のマンションの住人数百人が2026年に立ち退きさせられます。

そしてその後の更地にサグラダ・ファミリアの正面入場口が出来て最終的な十字架の形に完成(写真左右下、赤枠が現在の建物)となります。ですので本当の完成は2026年以降の何時になるか未だ分かっていません。

 

見学の基本

まず入場チケットはどの種類を選ぶかとなりますが、一生に一度の訪問なら悔いを残さないうえでも「入場+塔」へ登れるチケットをお勧めします。またその場合、オーディオガイドも付くので個人旅行で来られる方にはもってこいです。

次に見学時間の目安としては入場から生誕、そして受難ファサードと内部の見学、更に塔に登り、そのあと地下の博物館とお土産ショップを入れて約1時間半。

特に建築を勉強したとか思い入れがある方は、じっくり見学したとして大体3時間くらいが目安です。

見学の流れは、入場➡生誕のファサードの外観見学➡塔➡教会内部➡受難のファサード➡博物館➡お土産ショップ➡退場。

と言う感じになりますが、オーディオガイドを借り(左下写真)教会内に点在する案内番号順(右下写真)に進んでいくと見落とし無く回れるはずです。

もし、見落とした箇所をもう一度見たいという場合は、博物館の後にもう一度戻って見てから退場されると良いでしょう。

あと、教会の敷地の外にも写真スポット(リンクは下)などがあるので、入場前もしくは入場後にそちらの方へも行ってみて下さい。では、これよりサグラダ・ファミリアの見どころを解説していきます。

sag11 【予約方法】
サグラダ・ファミリの事前チケット予約購入の方法を徹底的に持てる力の限り説明します。
【サグラダ・ファミリア撮影ポイント4選】
バルセロナ観光の目玉、サグラダ・ファミリアに来たら思い出写真はここで撮ろう!

 

生誕のファサード

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サグラダ・ファミリア教会は別名、立体曼荼羅ならぬ‘立体聖書’とも呼ばれています。東側の生誕ファサードには、マリアの受胎告知に始まり、イエス・キリストが誕生し成長していくまでの各エピソードが彫刻によって表されています。

まずファサードには左から順に父ヨセフを象徴する「希望の門」、イエスを象徴する「慈愛の門」、母マリアを象徴する「信仰の門」の3つから成り立っています。ここでそれを更に詳しく見ていきます。

 

http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0411-003.jpg http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0413-002.jpg

.【エジプトへの逃避行】ヘロデ王のイエス殺害計画を知り、幼いイエスを胸に抱いたマリアたちがエジプトへ逃げる場面。

【幼児虐殺】イエス・キリストの誕生を知ったヘロデ王は、王の座を失うことを恐れ生まれた幼児を見境なく殺すよう命じます。赤ちゃんを殺そうとする兵士に、母親がすがりつく場面。

 

http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0418.jpg http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0422.jpg

.【聖母マリアの載冠】キリストが聖母マリアに冠を授ける場面、その横(左下)はマリアの婚約者、夫にしてキリストの養父でもある聖父ヨセフ。

【受胎告知】大天使ガブリエルが、マリアに神の子の母に選ばれた事を告げる、中世の西洋絵画で見かけるお馴染みの場面。

 

http://i2.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2015/03/1-IMG_0419.jpg http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0420-001.jpg

.【ラッパを吹く天使】キリストの誕生を告げるラッパを吹く天使たちは、ガウディが実際に3人の軍人をモデルにして制作したと言われます。

 

http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0409.jpg http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0425.jpg

.【奏楽の天使たち】ファサードの正面左に3人、右に3人、合計6人の天使達が、それぞれハーブ、ファゴット、バイオリン、民族楽器を演奏している場面で、この幾つかの像は日本人彫刻家の外尾悦郎氏の制作によります。

 

http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0428.jpg http://i2.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0430.jpg

.【キリスト生誕】生まれたばかりのキリストの養父ヨセフと母マリアが見守る場面。

 ⑧ 【羊飼いの礼拝】最初に星を見て神の子イエスの誕生を知った羊飼いたち、彼らがベツレヘムに向かって礼拝する場面で、この羊飼いは神に対しての私達、民衆の姿を表していると言われています。

 

http://i2.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0443.jpg http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/12/1-IMG_0436.jpg

.【聖母マリアの訪問】聖母マリアが神の子キリストを身籠もったことを伝えるため、従姉のエリザベトを訪ねている場面。

 ⑩ 【働くキリスト】大工である養父ヨセフを手伝って働く若きキリストの姿を描いた場面。

 

それぞれに意味ある彫刻

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マリアの受胎告知に始まり、イエス・キリストが誕生の物語を示す像の数々を見た後は、次にファサードに埋め込まれた彫刻を見て下さい。

聖書の逸話や小さな象徴に込められた意味、それを予め知った上で見ると面白さがぐんと増すこと間違いなし。

では、ここでは主な8つを解説します。

 

 ①  ファサード中央上部にある「生命の木」と呼ばれる糸杉にハトがとまっています。これは腐りにくい常緑樹である糸杉が永遠の命の象徴であり、ハトは神のもとに集まる信者たちを 表現しています。

またその頂上にある彫刻は、赤い部分がギリシャ語の「神」の頭文字であるT、その真ん中にある✖がキリストのシンボルである十字架、更にその上に止まっている鳩が精霊、これら全て合わせて聖三位一体を表しています。

尚、塔の側面に縦に開いた穴には瓦の様な石板が下向けにはめ込まれていますが、これは塔の中に設置された鐘の音が下の街に向かって響く様にしたものです。

 

20160718003923 【三位一体説】
キリスト教の根幹である、イエスの本姓についての見解で、「父(神)と子(イエス)と精霊」は三つの位格をもつが本質的に一体であるという説のことです。宗教改革後のプロテスタント諸派も三位一体説においては一致しており、キリスト教の最も重要な教義となっています。

 

 ② 次に「生命の木」の下にあるイエス・キリストを表すJHSの文字 。ファサードの端まで歩いて行って見上げないと確認できないのですが、そのJHSの文字の裏の十字架の両端にはギリシャ文字の「Α、Ω」が彫ってあります。

Aはギリシャ文字の最初の文字Ωは最後の文字、英語なら「A、Z」、日本語のひらがなで言うところの「あ、ん」。これすなわち最初と最後、この世の始まりと終わり全てを司るのはキリストだけと言うことを示しています。

尚この「Α、Ω」はガウディ作品の最高傑作と言われるコロニア・グエル教会をはじめ、モンセラット、その他の教会にも隠し文字のごとく、必ずどこかに埋め込まれているので興味ある方は探してみて下さい。

 

 . 今度はJHS文字の下を見ます。すると岩が解けて垂れ下がった様に見えるのが実は氷柱(つらら)を表現しています。

理由はキリストが生まれたと言われる季節、冬を表現するためにこの生誕のファサードでは全体に氷柱があしらわれています。

. 次に氷柱から右に目を移すと、小さくほとんど誰も気が付く人はいませんが、手のひらとその中心に見つめる目があります。一見謎めいているこれは、聖書で言うところの導く手と全てを見る目です。

これが表しているものは何かと言うと、これこそが神の摂理と言われるものです。

 

中央の愛徳の門、教会の入り口の上に立つのが、いわゆる東方の三賢人をキリストの元に導いたベツレヘムの星。またその星の下が流れ星の尾になる部分です。

. 次にその下を見ると、緑色装飾の入り口の扉があって、これは日本人彫刻家の外尾氏の作となりますが、ガウディとは全く関係なく氏のオリジナルで少し違和感があります。

 

. 3つある門、ファサードの中央に位置し愛徳の門の両端の柱、聖ヨセフの柱とマリアの柱を支えているカメは‘変わらざるもの’を象徴しています。

ちなみに、このカメ一見同じ様に見えますがバルセロナの海側に位置する聖ヨセフの柱を支えているのは海ガメで、山側に位置するマリアの柱を支えているのは陸ガメというガウディらしい凝りよ。サグラダ・ファミリアを実際訪れた際は是非その違いを確認してみて下さい。

  ⑧ 次に礼拝ファサードの両端にあるカメレオンの彫刻は「変化」を表し、‘変わらざるもの’を象徴する亀と対局をなします。

塔へ上がる

エレベーターで塔に登ると、中で係員から簡単な解説があります。エレベーターを降りた後に、更に少し階段を上ると街の半分が一望できます。

生誕のファサードにある数々のオブジェや彫刻が間地かに見ることが出来、棟内の階段はスリル満点。

百聞は一見に如かず、ネタバレなんて気にせず下の動かせる360°画像で実際に塔からの眺めをご覧ください。

Post from RICOH THETA. #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

*画像をクリックすると生誕の塔上の360°画像が、ご自分で好きな方向に動かして見れます!

 

螺旋階段

多くのガウディ建築の中で多用される自然をモチーフした造形作品。生誕のファサード、教会の裏側にあたる後陣のファサードで見る木や草、そして亀、蛇、トカゲ、カエルなどの動物。

この尖塔内の階段は巻貝の中の構造にヒントを得て造られたものです。

塔によって右巻きと左巻きがあり、その幅は非常に狭く降りて行く途中まるできりもみ状態に落下していく錯覚を覚えます。

 

img_9949-1 【どちらの塔がお勧めか、徹底検証】
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受難のファサード

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生誕のファサードを見た後は、今度は受難のファサードを見て行きます。

生誕のファサードとはスタイルが一変、この受難のファサードの彫刻はカタルーニャ出身の彫刻家ジョセップ・マリア・スビラックスによるものです。

日が沈む西に面した受難のファサードは、最後の晩餐から磔刑、そして昇天の場面までキリストの受難と死が一切装飾のないシンプルな現代彫刻によって表されています。

 

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受難のファサードについて、一つづつ詳しく解説していきます。

見方としてはファサードの左下の最後の晩餐  ①  から、「S」の字を描くように上にエピソードが進んでいくので、それを順に追って見ていきます。

 

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 ① 【最後の晩餐】 キリストが処刑される前夜の最後の晩餐の場面は、数々の名画の題材にもなりました。その際の弟子たちの苦悩の表情を、ここでスビラックスは直線で描きます。

  ② 【16数字の板】 「ユダの接吻」の後ろに見える、合計16個の数字が描かれた一枚のパネル。

その4つの数字を縦、横、斜めいずれの組み合わせで足しても「33」となります。その数字はイエスの死んだ年齢の「33」を表しているのです。

 

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 ③ 【ペテロの否定】キリストが捕らわれた後、弟子のペテロがキリストを知っていることを否定した場面。後ろの三人の女性が三度に渡り否定したことを表しています。

  ④ 【この人を見よ】鞭打ちの刑の後に、イリスと民衆の前にさらし者にされる場面です。

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 ⑤ 【イエスの裁判】ここで手を洗うのはローマ総督のピラト。自分の立場を守る為に無罪だと知りながらキリストの運命を決めることを放棄した場面です。

  ⑥ 【ロンギネス】キリストが磔になった際に、更に脇腹に槍で突き刺したとされる冷酷な兵士です。

 

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 ⑦ 【ネガのレリーフ】十字架を背負わされ自ら歩くキリストに、汗を拭うよう布を差し出したヴェロニカ。その布にはなんとキリストの顔の跡が残ったという場面です。

ここでスビラックスは、ガウディへのオマージュとして、ローマ兵の仮面にはカサ・ミラの煙突を模した仮面をかぶせ、兵の左に立つ福音者はガウディその人を表しています。また地下の博物館にはモチーフになったガウディの写真が展示されていますので是非確認してみて下さい。

  ⑧ 【3人のマリアとキレネ人シモン】倒れたキリストのそばで聖母マリア、クレオファスのマリア、マグダラのマリアの3人が嘆き悲しむ場面。そして右側にはキレネ人のシモンが、キリストが磔された十字架を今まさに担ぎあげようとするところです。

 

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 ⑨ 【サイコロ遊びにふける兵士達】キリストが十字架に磔になっているにも関わらず、キリストから奪い取った衣服を賭けて兵士達がサイコロ遊びをしている場面。

  ⑩ 【キリストの磔】磔で死んだキリスト、その傍らにいるのはヨハネに慰められる聖母マリアとマグダラのマリア。キリストの足元の右には死を意味する頭蓋骨が置かれています。

 

.⑪ 【キリストの埋葬】ヨセフとニコデモが布に包まれたキリストを埋葬しようとしている場面。その後ろには、膝まづく聖母マリア。

【鞭打ちのキリスト】受難の門の入口の前には、鞭打ち刑を受けるキリストの彫刻。その後ろに見える「福音の扉」には、キリストの生涯最後の2日間についての出来事が新約聖書より8,000文字が抜粋され、またその中でも特に重要な部分については金色の文字で書かれています。

 

受難の塔へ上がる

生誕のファサードと同じでこちらもエレベーターで塔に登ることが出来ますが、違いは生誕の塔よりさらに15メートル高い所まで行ける事。また工事が続く現場が眼前に広がり、リアルに現場体験できるのは興味深いところ。

重さに2トンにもなる、金色のキリスト像が鎮座する展望台渡り廊下も広くて生誕のファサードの様な窮屈さは無く、ゆっくり心置きなく見れます。

 

ピナクル(小尖塔)

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塔の先端部分はピナクルと呼ばれるもので、そこには鮮やかなモザイク装飾が施されています。これには意味が込められていて上部から司教帽、杖、指輪が表現されています。

現在は生誕と受難それぞれ8本の塔と聖母マリアに捧げる塔のみが完成していますが、今後はマタイ、ルカ、マルコ、ヨハネの4本の塔、最後は最も高い塔となる170メートルのキリストに捧げる塔、合計18本が建つ予定となっています。

 

後陣のファサードと聖具室

ガウディは前任者が残した未完の地下聖堂を完成させると、次にガウディが建設に取り掛かったのがこの後陣のファサードです。デザインは基本的にはゴシック様式を模したもですが、ここにもガウディの独自性を見ることが出来ます。

特に壁に貼り付いている幾つものガーゴイルがそうで、従来のゴシック様式でも想像上の魔物が多く使われていましたが、ガウディは敢えて日常の自然の中で見られる動物や爬虫類、例えばヘビ、カタツムリ、トカゲ、カエル、巻貝、更にカメレオン、サラマンダーなどを用いました。

尚、ヘビやトカゲが下を向いているのは口から水を吐き出すと言う機能以外に、それはマリアのシンボルが放つ純潔から逃げる悪魔の姿を現しているとも言われています。

また、サグラダ・ファミリアから徒歩8分ほどにある世界遺産のサン・パウ病院の病棟の屋根にも多数のガーゴイルを見ることが出来ます。もしサグラ・ダファミリアの後に行かれる方は、その違いを是非比べてみて下さい。

 

ガーゴイルとは?

ガーゴイルとは西洋建築の屋根に設置される雨どいの機能を持つ怪物をかたどった彫刻のことを指します。雨の際は樋から伝わって来た水が最後に怪物の口から流れるように設計されています。諸説はありますが意味としては魔除け。

また逆に聖なる土地へ怪物が入れないことを示す為とされ、サグラダ・ファミリアの場合は聖なる教会内へ悪魔の侵入を防ぎ、サンパウ病院の病棟の屋根に幾つも並ぶ不気味な怪物をかたどるガーゴイル。

それは病で苦しむ人達のいる病棟へ悪魔の侵入を防ぐと共に、病の気を外へ吐き出すという意味で設置されています。

 

2014-12-01 (18) 【サン・パウ病院】★★★★★
サグラダ・ファミリアから徒歩で8分程にある世界遺産は病院と言う…

 

聖具室

後陣のファサードを更に見ていくと、その端に背の低いドームが建っています。この建物は宗教行事で使う様々な用品を収める聖具室で、12壁面からなるドーム。

現在1つのみですが2026年までにはもう一つ作られることになっており、後陣のファサードの左右の端にそれぞれが並びます。

尚、ドームの上のレリーフはイエス・キリストのシンボルである葡萄を摘む人と、民衆のシンボルである羊を表しています。

http://i1.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2020/06/kohitujisan.jpg  【迷える子羊】
新約聖書のマタイによる福音書にあらわれる言葉「迷える子羊」は、私達大衆を羊の群れの中からはぐれてしまった迷った子羊に例えたもので、それは人生の中で起きる色々な問題に直面したときにどうしてよいか分からず迷っている人達を指します。また、羊飼いはその子羊を正しい道に導いてくれる人、すなわちキリストを指します。

 

聖堂内部

教会を支える柱は4種類の石が使われ、天井近くに達するとそれらは枝を広げ、まるで木の葉が生い茂っている森のようです。

生前、建築は光を操ることと語っていたガウディが100年前に目指した自然の明るさに満ちた教会、上を見上げると木々の間から太陽の光が差し込み、それはまるで森の中にいるような錯覚に陥り、ガウディ作品の一つグエル邸のドーム天井をも彷彿させます。

 

guerudoomu 【グエル邸】
ガウディのスポンサーでもあり友人でもあったグエル侯爵の自宅は旧市街の…

 

ステンドグラス

一般的に教会の内部は薄暗いものですが、サグラダ・ファミリア教会の内部には大きなステンドグラスを通して陽の光が入り込むため、自然な明るさなのがとても印象的です。

生誕のファサード側は青と緑色(写真右)がメインの色となるステンドグラスを使い、バルセロナの海である地中海をイメージさせています。

そして、受難のファサード側(写真左)は主にオレンジとグリーンで構成されています。この2つのステンドグラスの違いは色の差だけかと思う人も多いのですが、それ以外に大きな違いを感じるのが午後です。

 

夕方になると西日を受け、まるで燃えるようなオレンジ。ごらんのように教会内一面が色の洪水に包まれます!お勧めは日の入り3時間前から、2時間前ぐらいの間の1時間が最も鮮やかになります。

バルセロナの各月の日没の平均時間は以下になります。日の短い冬の12月だと14時半頃、逆に日が長い夏7月だと18時半ぐらいからの1時間が目安になります。

天井飾り

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サグラダ・ファミリア教会の主祭壇の天蓋飾り。

これ自体はガウディの作品ではありませんが、麦とブドウで飾られた天蓋は生前のガウディ作品の一つであるマヨルカ島のカテドラルの天蓋飾りを元に、彼の死後に作られました。

 

教会付属の学校

受難のファサードの横にひっそりと佇むこの建物は、ガウディがサグラダ・ファミリア教会で働く労働者の子供達のために教会の角地に建てた付属学校です。

地味で小さな作品ながらも天井を波のようにうねらすなどの工夫により、最小限の材料で最大限のスベースをガウディは生み出すことに成功しました。

尚、現在建つものは1936年の内戦で破壊された後に再建されたものです。

地下博物館

少し入り口が分かりにくいのですが受難のファサードを出て左、付属学校の手前に地下博物館があります。

サグラダ・ファミリアの入場料にはこの見学も含まれており、建設当初の貴重な写真やガウディのデッサン、模型、資料などの展示、更には実際の建築に使う模型製作の工房を目の前で見ることができます。

展示の中で見逃せないのが、錘と糸を利用した有名な逆さ吊り模型。

カタルーニャの聖地モンセラットの奇岩をモデルにしたと言われるサグラダ・ファミリアですが、ガウディは設計にあたっては複雑な計算はおこなわず「フニクラ」と呼ばれる逆さ吊り模型を使い、自然な曲線に加え力学的にも安定した設計を達成しました。

尚、地下博物館に展示されている模型は、サグラダ・ファミリアの建設のテストベンチとなるプロジェクトとして知られるコロニア・グエル教会の構造実験に使われたものです。

ちなみにこの模型の制作にガウディは10年もの歳月を費やし、結局はコロニア・グエル教会が未完成に終わったその原因ともなりました。

 

DSCF1094 「コロニア・グエル教会」
ガウディの最高傑作と呼ばれる教会は建築好きには根強い支持を得ています
IMG_1897 【モンセラット】
カタルーニャの聖地。奇岩の山に立つ教会の中黒いマリア様が願いを叶えてくれます。

 

売店(お土産)

お土産が買える売店は、2店あって一つは受難のファサード側、そしてもう一つは生誕のファサード側。博物館の最後の出口が生誕側の売店につながっているので、最後にそこで買い物するといいでしょう。

お土産はサグラダ・ファミリアだけでしか買えないものと、バルセロナの他でも買える物があるので、出来ればここではサグラダ・ファミリアでしか買えないものを選びたいですね。

 

無料ミサとガウディの墓

受難のファサード側の当日入場券売り場の左横には地下の礼拝堂の入り口があり、ここは無料で誰でも入ることができます。

ミサ以外の時間は閉鎖されていつでも入れる訳ではありませんが、年間300万人の観光客が訪れる喧騒の教会も、この地下の礼拝堂は別世界。

観光客しかいない上の教会と違って、本当の地元の信者の人達がお祈りしています。また、礼拝堂にはガウディのお墓があるので、時間があれば入場前にお参りしてみてはいかがでしょうか。

 

ミサ参加アドバイス

例えば朝一にサグラダ・ファミリアへ行かれる方でしたら、8:30に地下礼拝堂へ入って内部のガウディのお墓などを見学します。

その後、9時からミサが始まりますがスペイン語のミサを聞いても分からないでしょうし、キリスト教徒で無いなら、ミサが始まる前に信者さん達の礼拝の邪魔にならない様に退出してしまいましょう。

礼拝堂から生誕のファサードまでの移動時間を5分と仮定して、朝一9時のサグラダファミリアの入場に余裕で間に合います。

*地下礼拝堂に入れる時間は朝は8:30~10:30 夕方は18:00~21:00

 

インターナショナルミサ

毎週、日曜日に無料で入場できるインターナショナルミサがあります。

時間は午前9時から10時までの1時間、観光客はもちろんキリスト教徒で無くても誰でも参加できます。

尚、この入場はミサ、礼拝の為に特別に入場できるもので観光目的で見て回ることは一切できません。
ミサの時間中は席から動けませんし、教会入場(8:00)後はは速やかに着席、そして終了(10:00)後は速やかに退場をさせられます。

 

ミサ参加アドバイス

ミサに参加できる人数は800人と制限されていますので、日によっては満席で入れない場合があるのでなるべく早く着くようにしてください。

サグラダファミリアをしっかり見学したい人には、塔には登れない、博物館には入れない、オーディオガイドの利用も出来ない、自由に歩くことは許されないので全くお勧めするものではありません。

取り敢えず無料で中を見たいが、お金は使いたくないと言う方にのみ利用価値があるかと思います。

注意点としては、早めに着いて行列に並ぶので合計で約三時間ほどかかり、その間ずっと拘束されます。

あと、ホテルからは早朝の地下鉄利用となると思いますが、週末の早朝は利用者が少なく治安の面で十分注意が必要です。

アキモト&カミムラの包み隠さずの検証レポートは第154回HILLチャンネルでも見れます。

 

夜景(ライトアップ)

日中の観光だけでサグラダ・ファミリア教会を見終えたと思っていませんか?実は夜景を見てこそのサグラダ・ファミリアなのです。

ちなみに、日中は観光客で溢れるサグラダ・ファミリアもライトアップされた夜は未だ観光客にはよく知られていないので、昼に比べ落ち着いて鑑賞できます

日中、太陽の光の中でみた教会とは違った迫力、それはまるでひとつの有機体のような不思議なエネルギーを感じます。

尚、ライトアップは生誕のファサードがメインで、受難のファサードもライトアップはされてはいますがライトの色のせいもあり残念ながら人気はありません。

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ガウディ語録

ガウディが生前に残した言葉をまとめ紹介してみます。

それぞれの言葉の意味を解説はここではしませんが少しだけ述べると、一見だれの目にも奇抜でとんでもない印象を受けるガウディ作品ですが、実際は非常にシンプルな考えを基に造られたと言うことです。

それを表す言葉として創造的たろうとして脇道にそれてはならない。通常なされていることを観察し、それをより良くしようと努力すればそれでよい」。

以下、20のガウディの言葉を思い出しながら実際にその作品を見ると、一段と理解が深まるはずです。

 

  1. オリジナリティーには起源に戻るという意味がある。オリジナルとはもともとの解決策であるシンプルさに回帰することだ。
  2. 物事を上手くやるために必要なこと。第一に愛、第二に技術。
  3. 世の中に新しい創造などない。あるのはただ発見である。
  4. すべての建築にはヒビがある。またすべての人間に罪があるように、大切なのはこれを致命傷にしないことだ。
  5. 自然界には直線は存在しない。直線は人間に属する。曲線は神に属する。
  6. 全ては、自然が書いた偉大な書物を学ぶことから生まれる。人間が造る物は、既にその偉大な書物の中に書かれている。
  7. 創造的たろうとして脇道にそれてはならない。通常なされていることを観察し、それをより良くしようと努力すればそれでよい。
  8. 美しい形は構造的に安定している。構造は自然から学ばなければならない。
  9. 創造的であろうとして意味の無いものを付け加えてはいけない。自然の原理をよく観察しそれをよりよくしようと努力するだけでいい。
  10. 役に立たない人なんていないということを覚えておかないといけない。たとえ同じ能力がなくても誰だって役に立つんだ。
  11. 建築とは光を操ること。彫刻とは光と遊ぶことだ。
  12. 世界では何も発明されてないんだ。発明家の幸運は神が全人類の目の前に置いたものを見たにすぎない。
  13. 人間は決して自由な存在ではない。しかし、人間の意欲の中には自由が存在する。
  14. 人間の作るものが神を超えてはならない。だからサグラダ・ファミリアは高さ170mで、ムンジュイックの丘より3m低くなっている。
  15. 私の親友たちは死んでしまい私には家族も、客もいないし、財産もなにもない。だから私はサグラダ・ファミリアに完全に没頭できるんだ(晩年)
  16. 建築に使われる色は強烈で、論理的で、肥沃でなければならない。
  17. サグラダ・ファミリアの工事はゆっくり進むんだ。私のクライアントは別に急いではいない
  18. 未来の建築は自然のイミテーション(真似)に基づいたものになるだろう。なぜならあらゆる手法の中でそれが最も合理的で、長持ちし、経済的だからだ。
  19. 芸術作品というのは誘惑的なものじゃないとならない。また、オリジナルすぎても誘惑の度合いを失ってしまい、それは芸術作品ではなくなってしまう。
  20. お互いを補い、修正する振り返りと行動を交互に使い分けることが必要で、前進するためにも行動と振り返りの二つの脚が同じく必要。

 

知られていない事実

世界遺産は一部のみ

サグラダ・ファミリアは2005年、ユネスコの世界遺産に登録されましたが未完成の建造物が建設途中に世界遺産に登録されたのは、このサグラダ・ファミリアが初めてです。

ところで皆さんは、サグラダ・ファミリア全体がひとつの世界遺産だと思っていませんか?

実は世界遺産に登録されているのは、ガウディが携わった教会の中で最初に建設された地下礼拝堂と生誕のファサード(門の表面と塔)だけです。

もちろんいずれ教会が完成したあかつきには建物全体が世界遺産になるとは思いますが、ただガウディの死後に造られた部分と更にこれから完成までに造られる部分に関しては芸術性ならびに建築物としての価値が低いとの意見もありどうなるか微妙なところです。

 

地元民からの反対

ここでは日本人が知らない、決してガイドブックでは語られない、現在進行中のサグラダ・ファミリアの建築に対して様々な批判、負の部分も敢えてここで語ってみます。

バルセロナ住民でサグラダ・ファミリアを完成を本当に待ちわびている人は僅か。教会とは名ばかりの観光スポットのサグラダ・ファミリアに殆どの市民は興味が無いのが実情で、特に教会に隣接する住民にとっては迷惑以外の何物でもないと言うのが悲しいですが裏の事情となっています。

イタリアと並び敬虔なカトリック教徒が大半を占めたそんなスペインも今や昔。教会のミサに来るのはお年寄りがその殆どで、その数も僅か。年齢が50,60代のスペイン人の友人でさえ、子供の頃に行ったきりもう何十年もお祈りに教会なんて行っていないと平気で言い切るこのご時世。

そんな人々の心が離れていってしまったことなどものともせず、法外とも言える高額な入場料収入を原資に、ただひたすら作り続ける本末転倒のサグラダ・ファミリア教会とは一体?

日本で新たに、神社やお寺(新興宗教除く)が作られないのはなぜか?結局のところ、それはスペインも同じです。実際に地元スペイン人達からも、150年前に計画された教会は今では、時代の置いてけぼりでしかないと言われています。

 

建築、芸術への批判

元々、詳細な図面を書くより石膏模型を使ってギリギリまで変更を加えながら最終的な形を決めていくという、いわば設計と工事を同時に進めるのが、このサグラダ・ファミリアに限らずガウディの手法だったわけですが、亡くなった10年後に起きた1936年内戦で元々多くはなかったそれら資料の殆どが消失。

それ以降は僅かに残った資料を元に、後の建築家達が想像しながら作って来ました。ただこれに関して昔からあったのが、地元芸術家や文化人による大きな批判です。

批判の理由の一つに、それはこれまで日本から来られた旅行者の多くの方も感じたあの違和感。ガウディが生前造った生誕のファサードと、それ以外の部分があまりにも違うことです。

特に受難のファサードをデザインしたスビラックス氏に対しては、過去には市民の反対デモも起きた程。結局のところ天才ガウディの建築を受け継いだのが凡才の建築家達、凡才の彫刻家達(外尾氏も残念ながら作品レベルが低くそれに含まれると言われています)だった事が、何よりもサグラダ・ファミリアの不運でした。

ただ一方ではその2つの違いがコントラストとなって、ガウディの偉大さがより鮮明に分かると言う意見も一部にはあります。

また、21 世紀に入っても完成まであと200年はかかるだろうと言われながら、建設がピッチで工事が進む様になった理由として大きかったのは技術の簡略化。

ガウディ本来の緻密な組積構造による建築様式を捨て去り、近代的で安易な鉄筋コンクリート、鉄骨並びにプレハブ構造に変更。更に3DプリンターやIT技術まで導入したとは聞こえが良いですが、結局は手抜。

これらにも大きな批判があり、特に世界中のプロの建築家、芸術家(生前のダリ、ミロなど)からのブーイングは留まるところを知りません。

以上の様な理由でガウディ死後、今も続く建築については最終的に世界遺産から除外すると言う話もあります。

 

 

【最後に…】

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フォトムービ

 

アクセス一覧動画

【サグラダ・ファミリア ➡ グエル公園シャトルバス(運休中)乗り場】
【サグラダ・ファミリア ➡ カサ・バトリョ】
【サグラダ・ファミリア ➡ カサ・ミラ】
【サグラダ・ファミリア ➡ カタルーニャ音楽堂】

 

サグラダファミリア➡グエル公園

グエル公園への移動はタクシーがベストの方法です。


 

@


お勧め度:20点/20点
★★★★★(5.00)


住所 Carrer de Mallorca, 401    【地図はこちら】
URL http://www.sagradafamilia.org/en/
TEL 935 13 20 60
開館時間 4~9月:(月―金)9:00~20:00(土)9:00~18:00(日)10:30~20:00、10月・3月:(月―金)9:00~18:00(土)9:00~18:00(日)10:30~19:00、11月~2月:(月―土)9:00~18:00(日)10:30~18:00
1/1、1/6、12/25、12/26:9:00~14:00
料金 入場のみ:26€
入場券+オーディオガイド+塔のエレベーター:36€
最寄駅 最寄り駅:地下鉄  2    5  号線サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)駅下車すぐ


記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。

この記事を書いた人:カミムラ
生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。旅行代理店オフイス・ヒルを立ち上げ、観光情報サイト「バルセロナウォーカー」にて旅行者に役立つ情報を発信しています。 最終更新 2025.3.25

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スマホ、タブレット用に地図、路線図をPdf保存!バルセロナ便利地図集めました。
IMG_0478 「安い様で案外高いバルセロナの物価」
スペインは日本と比べて高い?安い?お財布に優しい旅の指南!
IMG_2022 「これで安心!日曜日のレストラン」
バルセロナ滞在が日曜日になると、お目当てレストランはお休み。でも
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スバルセロナウォーカースタッフがお勧めするバルセロナ厳選土産一覧。
http://i0.wp.com/kamimura.com/wp-content/uploads/2016/03/momochan.jpg 「ジョランダ辛口レストラン訪問記」
100万アクセス突破!レストラン、バル訪問記!今日もビシバシ斬ります!
jyra1 「レストランの食事のチップって払うの?」
日本に無いチップ、一体幾ら払えばいいの?! 大丈夫これさえ読めば安心。
IMG_5405-1 「食べずに死ねるか!必食”焼きネギ”」
12月から3月末までの季節限定のカルソッツ(焼きネギ)はバルセロナの冬の風物詩!
1-IMG_3783 「私達なら知り合いをここに泊める!」
日本の友人に聞かれたら、自信をもって勧めるホテルのリストはこれだ!
danngan 「ここまで出きるぞ!バルセロナ弾丸ルート」 たった1日2日の滞在でも、観て食べてそして楽しみ尽くす必殺ルートはこれだ! gaigapaella 「これだけは押さえたい!パエリヤ10ヵ条」
スペイン料理の代表?果たしてホント?知られざるパエリヤの真実を教えます!
1-MVI_2795(1)-001 「フラメンコを比較検証、お勧めはこれだ!」
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1-MVI_1996 (4).00_15_49_24.Still009 「必見!人間の塔は世界無形文化遺産」
カタルーニャ名物の人間の塔。以前より開催頻度が上がり運が良ければ見れますよ!
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IMG_4875_201501060212043b6 「5大ショッピングモール徹底検証」
近年バルセロナに増殖中の巨大ショピングモール。旅行者に一番使いやすいのはどれ?!
Chocolate_con_churros_de_lazo 「地元の人気菓子と言えばチュロス」
大人から子供まで大人気のチュロス。その歴史、作り方、店選びまでを徹底解説!
lisboa (10) 「旅行者の特権、免税でお安くお買い物」
日本人なら13%のお金が戻ってくる免税。誰よりも詳しく手続きを全解説!
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市内各地区ごとに行われる伝統の火祭りはラテンスペイン人ならでは、アッチッチ!
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20120116073257169 「日本人がよく失敗する店」
ガドブックを見て行ったのに、こんなはずじゃなかった・・。ガックリ店のリストです。
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お土産として重宝する缶詰。スペイン中の缶詰を食べ尽し検証その数500!
1-IMG_3215-001 「モンセラット観光裏技はこれ」
混雑の元凶となっている日帰り観光客のウラをかき、モンセラを独り占めせよ!
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日本人に人気のお土産チョコレート。その51種類を世界初の食べ比べ検証記録。?
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funsui (2) 「マジカ噴水ショー」
米人観光客に絶大な人気を誇る、無料の噴水ショー。水と光の魅惑の競演を楽しめ!
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サグラダファミリアの塔に登る際に迷う、生誕か受難か。それに正面からお答えします!
barceplo774 「検証!バルセロナお得なチケット3種」
バルセロナ観光で使える代表的な割引券の3つ。本当に一体いくらお得なの?!
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碁盤の目に区画割された街は、分かり易いようで道に迷うことも。そんな悩みを解決!
1-IMG_0300 「楽しく賢くショッピング!」
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観光記事一覧

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レストラン記事一覧

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