数あるガウディ作品の中ではサグラダ・ファミリアに次いで、入場者の多いところ。ここではバルセロナの街を一望する不思議な公園を徹底的に解説していきます!
目次
概要
グエル公園とはガウディの大スポンサーでもあり、理解者でもあったグエル伯爵が計画した英国風の庭園式住宅地です。
当時ガウディは、今で言うゲーティッドコミュニティーのように、住宅地を外壁で囲み中へのアクセスを管理できるような宅地計画を作りました。
ただ、ブルジョア向けの住宅販売にも関わらず公共の交通手段がない上、敷地面積の6分の1しか建物が建てられないとか、勝手に木の伐採が出来ないなどいろいろな規制があり、結局はグエル伯爵の家(今は学校)、ガウディの家(今はガウディ博物館)の他に実際に売れたのは1軒のみで、夢の宅地造成計画は1914年に断念されることとなりました。
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その後1922年にバルセロナ市が取得し管理することになり、1984年にはアントニ・ガウディ作品群として世界遺産に登録され、現在サグラダ・ファミリア、カンプノウスタジアムに次いでバルセロナでは3番目に入場者が多い人気スポットとなっています。
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行き方と入場口
グエル公園の主な入場口は3か所あり、それぞれ利用する交通手段によって違ってきます。
①シャトルバスで来た場合。市バス24番でカタルーニャ広場、もしくはカサミラ前から乗って来た場合は公園右入り口から入ります。(現在シャトルバスは運休中)
②地下鉄を利用しLesseps駅から徒歩で来た場合は公園左入り口から。
③タクシー、もしくはツーリストバスの場合は正面入り口が近年出口専用に変更されたので、その正面入り口から右に200メートル程行ったところにあるチケット売り場より入場します。
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尚、それぞれ3の行き方を以下で徹底解説していますのでご覧ください。
【グエル公園への行き方】 地下鉄4号線のAlfons X駅からシャトルバスが出るようになり便利に…。 |
見学前のキーワード
グエル公園に着いて取り敢えずガイドブックを見ながら回って行くのも良いですが、事前に知っておくとより理解しやすく、また違った物が見えてくることもあります。
ここでは、見学前に知っておきたいグエル公園にまつわるキーワードをまとめてみました。
すり鉢の土地
グエル公園は冒頭で述べた通り、住宅地として開発されたものですが、その土地は山の斜面となっていて、更に真ん中の有料ゾーンに向かってすり鉢状に凹んでいることで決して宅地としては条件に恵まれたものではありませんでした。
平坦な土地が殆どなかった故に、住宅地を作る上で数々の工夫がここでは施されています。
まず、凹んだ土地を埋める様にすり鉢の一番底に貯水槽、その上にギリシャ神殿風の柱が並ぶ市場、上はその柱が支える平らな広場と言う3段構造となっています。
広場の裏に並ぶ石造りの柱、公園右の入り口から入って直ぐ右手にの高架橋、洗濯女の柱廊などは車の道路を作った際の基礎となった部分です。
と言うわけで一見何の意味で作ったか分からない物も、実はこの特殊な地形を克服するために作られた物です。
組積構造
ガウディ建築はコンクリートと鉄筋、鉄骨が多用される現在の建築とは大きく違い、レンガを積んだ建物で専門用語では組積構造(そせきこうぞう)と言い、簡単に言うと積み木。
そう聞くと子供の頃に遊んだ将棋崩しの脆さを彷彿させますが、重力、摩擦力、強度を元に計算された構造が微妙にそれらを支えています。
右の画像の柱廊は表面に岩が貼られていますが、中はレンガです。またギリシャ神殿風の柱、これも中はレンガの積み木で出来ています。
ちなみにガウディが活躍した頃と言うのはちょうど鉄筋コンクリートが発明され普及し始める頃で、未だそれらが一般的でなかったのと、日本と違い地震の無い土地柄で耐震を考慮する必要がなかったのもその一因と言えます。。
アーチ、ヴォールト
既に述べた通り鉄筋コンクリート、鉄骨を使わない組積構造で建設する際は建物の空間を確保する為に中世から続く建築手法であるアーチで天井を支え、それを延ばしヴォールトを作り道路の下に歩行者用の空間を作りました。
ただ、グエル公園で作られた柱やヴォールト、ドームは見るものに、それまでの建築物には無かった特異な印象を与えます。例えばヴォールト天井の重みが外に押し出す力を相殺す為に斜めになった柱と波打つような空間。
それは、生前ガウディが言っていた「芸術作品というのは誘惑的なものでないとならない。また、オリジナルすぎても誘惑の度合いを失ってしまい、それは芸術作品ではなくなってしまう」と言う彼の作品に共通する芸術性と言うテーマがあったからです。
モザイク
グエル公園に使われているモザイクはカタルーニャ語で言うトレンカディス(破砕タイル)と呼ばれるもので、タイルを一旦細かく砕いた物を建造物の表面に再び装飾として貼り付けたものです。公園内のベンチはもちろん、市場の天井、守衛の家などに大量に使われました。
尚、トレンカディスの基本コンセプトはガウディが示しましたが、それを具体化していったのはガウディも認める天才的な色彩感覚を持っていたジュジョール。これは、グエル公園の見どころとして外せない非常に重要なものです。
また逸話として、ある日ガウディとジュジョールは工事に参加していた職人達に割れたタイルの外観(形、色)で仕分けしカゴに入れるように頼みました。それは職人の中で誰が一番トレンカディスの制作に向いているかを知るための試験であったと言われています。
公園の歩き方
では入場口から公園に入って行きます。尚、ここでは既にチケットを予約して持っていることを前提に話を進めていきます。
もし、チケットを予約していなかった人は門の手前のチケット売り場で購入できますが数時間後の入場しかなかったり、チケットが完売のこともあるので必ずオンラインで事前に購入しておいてください。
入場からロザリオの道
さて、中に入りますと前にあるのがロザリオの道です。
ラ・ナトゥーラ広場へ続く道の左端には、転々と石が置かれています。この石はロザリオを象徴し、その数は54個*と言われ公園のラ・ナトゥーラ広場を取り囲むように並べてあります。
尚、この道は馬車も走れるように設計されていたため、道に球体の石を並べて車道と歩道を区分けする目印にもしたそうです。
*どのガイドブック、また一般には54個と言われていますが実際に数えると133個ありました。理由は不明。
【ロザリオの意外な用途】
ロザリオは聖母マリアへの祈りを54回繰り返し唱える際、指で珠を繰りながらその回数を確認するために用いた道具と言われています。では、なぜ必要だったのか?理由は同じ祈りの言葉を54回も繰り返すうちに途中で何回唱えたか分からなくなり、祈りがこんがらかるからです。
その様な理由から本来ロザリオは首にかけるものではなく手に持つ物です。実はこのロザリオはキリスト教のみならず、イスラム教、そして私達日本人の仏教にも共通していて、イスラム教の祈りは99個の珠、仏教の念仏の祈りは煩悩の数を表す108個の珠数となっています。
ちなみにどの宗教にも共通しているのは、やたらお祈りが長く同じ言葉を繰り返すこと。裏を返すと宗教、崇める神こそ違えど、結局はどこもやっている事は同じと言うことです。通行人の数を調べる手持ちカウンターがもしその当時あったなら、きっとどの宗教の信者も皆なそれを指で”カチカチ”と押しながら祈りを唱えていたことでしょう。
広場入り口
ロザリオの道を進むと団体専用の入り口 | 奥に個人用の入り口 |
ロザリオの道を進むと、約3分ほどでメインゾーンのラ・ナトゥーラ広場の入り口に着きます。
ここは団体用の入り口なので、個人の旅行者の方は、その奥にある入り口から入ります。次にメインゾーンの歩き方を以下で解説します。
公園入場後の歩き方は、地図に書かれている有料ゾーン入口(現在は廃止)の広場へ向かい、そこに並ぶベンチ①へ向かいます。ベンチの先が市内を一望できる展望台になっているのでそこまで行き、写真などを撮ってそれが終われば次の②の洗濯女の柱廊ポーチへ。
更にその先へ進むとねじり棒の柱③があって、そこから下り道を道なりに進むと正門の④お菓子の家(管理事務所)に着きます。
*現在、2023.5月時点で③のところで通行止めになっていて②まで戻って⑥へと進みます。
次に前の中央階段を上るとトカゲのオブジェ⑤、さらに上にあがるとギリシャ神殿風の円柱が並ぶ市場⑥に辿り着きます。その後は市場の右横の階段を上って再び先程の入り口にもどりますが、帰りはシャトルバス(運休中)を使わずタクシーで移動される場合は、再び公園入口に戻らなくても管理人の家の横の正面出口から出て、前の道を右へ進むとタクシー乗り場があります。
【注意】
コロナ以降一方方向にしか進めなくなり、あくまで現時点ですが以下の様に歩いて回ることになります。
① → ② → ③ → ② → ⑥ → ⑤ → ④
波打つベンチ
訪れる人に人気のメリーゴーランドを彷彿させる、トレンカディスの波打つベンチ。また、見晴らし台をも兼ねたこのベンチの先端からはバルセロナの町が一望できる絶景ポイント。
この6年の歳月を要した全長110メートルのベンチは、ジュゼップ・マリア・ジュジョールによるものです。
このベンチ、一見するとまず土台から作りその上に破砕タイルを貼りつめたように思いますが、実際は別の工房で1つあたり2メートル程の完成ブロックとして作製しました。ここでそれぞれのブロックを連結して組みあげた現在で言うところのプレハブ工法です。
この工法の利点は品質が一定で、高い精度を確保でき、また建築現場での作業が軽減され、工期が短縮されることですが製作に6年も要したことからベンチがいかに緻密で手間のかかる作業だったかが伺い知れます。
また広場の最先端部分がより凹面が深く連続した形になっているのは、それぞれの凹が個別スペース、独立した親密な場所として機能することを意図したもので、それはまるでガウディー流のメリーゴーランドと言えるのかもしれません。
あとここで注目すべきこととして、ベンチに貼られた一見すると適当に組みあわせただけのタイルは、よく見ていくとそれぞれ同じ色がある程度集まっていたり、またそうでなかったり、何か規則的であるのか?全く不規則なのか?の絶妙のバランス。
更に同時期パリに生まれピカソにより世界に知られることとなったキュービズム。その前衛的な手法もいち早く取り入れたこのベンチこそが、ジュジョールの一大アートと言えるものだったのです。
【ジュゼップ・マリア・ジュジョール】 建築家でアントニ・ガウディの協力者として家具デザインや絵画などの分野で才能を発揮した総合アーティスト。「彼はあなたの助手か?」と聞かれた際に「助手ではない兄弟だと」答えたと言う逸話も残るほどガウディの信頼が厚く正に右腕と言う存在でした。ガウディの裏方とし、顔に似合わずその天才的な色彩感覚はこのグエル公園のモザイクに遺憾なく発揮され、非常に大きな役割を果たしました。 |
ベンチの材料は割れたタイルや不要になった食器を集めた物ですが、その中に一つだけこのベンチの為にわざわざ焼かれたタイルが存在します。それはベンチの上の部分とちょうど腰があたる部分にある半円筒形の黄土色をしたタイル。
面白いのは、焼く前の粘土が柔らかいうちにジュジョールが、聖母マリアへの祈りの文字や絵をタイルに落書きしていることです。
あと、モザイクの中には絶妙の色を配した幾つもの円盤形の化粧タイルを見れますが、これはガウディ作品の中でも特に評価が高いカサ・バトリョの裏のテラスの装飾に大量に使われた物と同じですが、その使われ方を両者で比較してみるのも興味深いでしょう。
【カサ・バトリョ】 11904-1906年ガウディが改装を手掛け。ずっと未公開だった世界遺産。 |
110メートルにも及ぶベンチですが、装飾は広場の中の腰掛ける部分に留まらずベンチの外にまで及んでいます。
先端部分は蛇行が大きいこともあり、それらは広場の中側からも容易に見ることが出来、広場の外の階段からは星座をイラスト化したモザイクも見て取れます。
この徹底的なこだわりこそが、ベンチの政策だけで6年を要した主な原因ですが、ある意味これこそがガウディ、ジュジョールと言う最強のコンビの神髄と言えるでしょう。
柱廊ポーチ
広場を出て横の階段を下りると、洗濯女の回廊と呼ばれるここに出ます。傾斜地の公園のこの回廊の上の場所に道路を通す為に作られた擁壁ですが、ガウディのこだわりはここでも遺憾なく発揮されます。
まず建設にあたっては自然な形で土地の傾斜を保つこととし、更に道路の下の部分に歩行者が通行できるように柱廊ポーチを作りました。
尚、洗濯女の像は公園内で唯一の人間の形をした像で、おそらくガウディはギリシャ彫刻の「奉納像」からインスピレーションを得たものと言われています。
この回廊では最初に「見学前に知っておきたいキーワード」で述べた、組積み工法を駆使しての絶妙なバランスで作られているとイメージしながら見て歩くと、より興味深いものになるかと思います。
お菓子の家
中央エントランスの両脇にあるのが、管理事務所(現在はショップ)と守衛の家。
どちらもヘンデルとグレーテルのお菓子の家をイメージして建てられたと言われています。
また、地元カタルーニヤが生んだ鬼才ダリが「タルト菓子のようだ」と評した、まるでお菓子の家そのものです。
守衛の住宅
定員30人と入場制限がありますが、守衛の家は中の見学が可能です。
中ではビデオを流してモデルニスモ時代やガウディ作品についての説明がされていますが、もし行列が出来ていて入場を待たなければならないのでしたら、大した内容でありませんので飛ばしても全く問題ありません。
守衛住居と管理事務所、一見すると同じように見えますが、微妙な違いが見て取れます。
一つが出窓①で当時は守衛の家族が住んでいた住居を強調する意味でのものでした。また②白い窓砕に貼り付けたマーブルチョコレートの様な円盤型の色とりどりの破砕タイル。窓を取り囲むように貼り付けてあるのは、外から見る人の注意が中へ向かわない様にしたプライバシー保護の為だそうです。
建物の塔頂部の水玉模様のキノコ③、まるで楳図かずお氏の「まことちゃんハウス」を彷彿させる煙突。これは毒キノコで、驚くのはその水玉模様の白い部分は何とコーヒーカップを逆さまににして出来ています。
この奇抜な組み合わせですが、それには理由があって元々コーヒー好きだったガウディは、コーヒーは体に悪いとグエル公園の建設ちょうどこの時期に気が付き、毒のコーヒーを断つことを決心しその心意気を表しているのがこの毒キノコの煙突だそうです。
ちなみに、ガウディは今でいう大変な健康オタクでこれ以外にも健康に良いものを好んで作品の中に使っています。例えば、この後に解説する公園の中央階段にある蛇のオブジェの中にもそれが見て取れます。
次に建物の屋根にある、のこぎり状のオブジェ④。一見すると、ただの装飾に見えますがこれは手すりです。その内側は下から見えないですが屋根の角屋根の左右にあるテラスのために作られています。
ただし隙間から落ちる危険もあり実用性には多少疑問が残ります。また、この手すりは向かい側の管理事務所の屋根、中央階段横の左右の壁の上にもずらりと並び公園のシンボルの一つでもあります。
管理事務所
尖塔①はガウディが尊敬してやまなかったドイツの作曲家、また劇場王と称されたワグナー、その庇護者であったバイエルン王ルートヴィヒ2世に敬意を表したものと言われ、塔の青白の市松模様もバイエルンの旗を元にしています。
尚、ガウディとグエル氏との関係は、ワグナーと王と同じくスポンサーとして芸術家が才能を発揮できる場所と資金を提供したことです。実際、グエル無しにガウディは世に出れなかったと言われています。
窓②③は守衛の家族が住んでいた住居の窓とは、建物の性格上から微妙に違います。
まず目立つのは尖塔と同じ青と白のセラミックの枠の大窓。これはガウディが壁に大穴を開けるように命じ作らせたもので室内に朝と夕がの太陽が挿し込むようになっています。2つのうち公園側に一つ、そしてもう一つは道側(東)に向け作られました。
住むことを前提にしていなかった為に部屋があるのは1階部分のみ。2階は二つのテラスとなっていて建物の左右に作られました。ここの手すりも守衛の家同様にのこぎり状手すり④がテラスを囲むように並びます。
トカゲのオブジェがある中央階段の踊り場から、眺めるとよくわかりますが右の④テラスから尖塔への階段が見て取れます。
尚、建物の中は現在はお土産物のショップとして使われていますが、その天井を見るとガウディ作品特有の湾曲し平行に並んだアーチを見ることが出来ます。
2つのお菓子の家は近くからだと真下から眺める形になってしまい、上の方がよく見えません。向かいにある中央階段の踊り場から鑑賞して細部を確認すると良いでしょう。またそれぞれ一見、同じように見える建物も、用途の違いによる微妙な差が見てとれるかと思います。
中央階段
公園の正面、目の前に飛び込んでくるのは中央大階段です。ギリシャ神話を元にシンボリズム溢れるこの階段は、下界の喧騒から離れた山に作られた住宅地。その非日常の世界へと誘う重要な舞台装置としての役割が、ここでは与えられていました。
また、今やバルセロナのシンボルにもなっている大トカゲは公園の泉の守り主、蛇はギリシャ神話でモーゼを守っていたネフシュタン、更に神話の中の”世界のへそ”デルフィを象徴した石と続きます。
階段の側壁に目を移すとは昔の伝統的な化粧タイルの構図をまねた様々なデザインのトレンカディスで作られたパネルが並んでいます。中央の階段にある蛇の像の後ろの青いモザイクタイルに散らばる丸い粒、それはユーカリの実でここでは健康を表しています。
なぜそれが健康になるのかと言うと、理由は当時の地中海沿岸では広くマラリアが流行していて、マラリア対策として蚊の繁殖を抑えるために湿地減らす試みがなされ、水分の吸収力が高く土地を乾かすことで知られるユーカリが盛んに植えられました。ここではガウディはそれを健康と結び付けています。
守衛の家の煙突のコーヒーカップの逸話もそうですが、ガウディの健康オタク話には枚挙にいとまがなく、このグエル公園がある地区名がLa Salud(健康地区)と、当時の人としては珍しく現代人に負けないほど健康を気にしていました。
それには理由があり、実は幼少の頃に小児リュウマチを患い、一生涯その後遺症を背負ってくらしていたからの人生感でもあったわけで、ガウディはこんな言葉も残しています。
「若い健康にあふれている者は気をつかう必要はないだろうが、老人は特に用心し消化の良いものを選び、その量も控えめにする。果物、野菜、牛乳、麦パン、は全体に良いが牛乳に関しては消化が遅いのでその代わりにヨーグルトを薦める。
水をよく飲み血液中の胆汁や尿素を除くフイルターとしての腎臓を洗う。全てのフィルターは奇麗にしていなければならない。リキュールやワインは肝臓に悪く。肉と脂肪は腎臓に悪い」。
【階段の秘密】中央の階段の構成は一番下から順に11段の階段と踊り場が3つ続き、世界のへそと呼ばれる踊り場までの数は合計するとちょうど33段あります。この33はイエス・キリストが死んだ年齢で、またサグラダファミリアには縦横斜めいずれの組み合わせで足しても33になるパネルが、受難のファザードに埋め込まれています。行かれた際に、試しに数えてみると面白いかと思います。 |
市場、貯水槽
施主であるグエルから、この建築にギリシャ神話を入れるように依頼されたガウディは、屋根を支える柱にドリース式の列柱を取り入れました。この円柱の下には右上写真の貯水槽があり、上の大広場に降った雨水を貯める仕組みとなっています。
また広場は古代ギリシャ劇場のような半円形になっていて、実際ここでは、ギリシャの都市国家のように住民が集い合うオープンスペースとして、また雨水あつめるための役割を担っています。
す。
次に天井飾りに注目すると柱の間の半径3メートルの大きい円盤が4つが「太陽」を表し、その周りのドームに埋め込まれた半径1メートルの14の天井飾りが月を表しています。
ガウディは天体の動きこそが市場で売られる生鮮食品の成長の源、その生命のサイクルをこの天井飾りで表現しようとしました。
【月を表す14の天井飾り】
一番下の写真がモザイクを拡大したものですが、この天井モザイクに使用されているものは一般的なタイル以外に瓶や皿、コーヒーカップ、陶器の人形などまで使われていて、特筆すべきはその殆どがゴミとして捨てられた物をリサイクルしたものでした。
また特にガラスが多用されているのは、市場の天井の自然光の不足を補う意味できらきら光る素材をここで使っています。実際にこれらの制作にあたったジョセップ・マリア・ジュジョールは、青色のガラス瓶を好んで使ったと言われています。
その他の見どころ
ここまで既に見て来たところがグエル公園見学のメインの部分になりますが、公園全体からするとそれらのゾーンあくまでも公園の一部で公園はより広い面積を有します。
ただ、実際のところ興味を引く見どころはそれほどはなく、時間に余裕がある人ならと言う条件で敢えて見るほどではないですが上の地図の4つが見所となります。ではここでは、それぞれを順に解説していきます。。
①高架橋
1881年にモ ンセラットの黒マリアがカタルーニャの守護聖母と宣言され、俄かに聖地巡礼の旅が流行りました。それに着想を得てエントランスから頂上まで の道を苦行の巡礼路として捉え「キリスト教の信仰」というテーマを表現。
同じ公園内を通る道路を支えているものの一つで、有料ゾーンの「洗濯女の柱廊ポーチ」と似ていますが、こちらは使われている岩がよりゴツゴツとしていて荒々しさを感じます。
スロープする高架橋の上は散歩道となっていて、遠くにバルセロナ市内が望めます。
②ガウディ博物館
モデルハウスとしてガウディの友人であるフランセスク・バランゲールが設計。
1906年から1925年までガウディが自分の父と姪と一緒に暮らしていました。1926年にガウディが無くなった後は個人に売却されましたが1960年からはガウディ友の会が所有し博物館として公開しています。
見所は公式にはガウディがデザインしたオリジナルの椅子がそうですが、ガウディ関連の観光スポットとして ガッカリ入場ベスト3 にも入る博物館は、ハッキリ言って入場料を払ってまで見る価値のものはここには何もありません。
【ガウディ博物館】 公園内には博物館もあってガウデイゆかりの展示物が置いてある… |
③石造りのヤシの木
公園の大広場の後方に見える石造りのヤシの木。
公園内の道路建設の為に作られた擁壁になりますが、広場から見えていますのでその際にちらっと見ておけば良いかと思います。
④カルヴァリーの丘
公園の頂上のカルヴァリーの丘。
ここには礼拝堂を立てる予定でしたが分譲住宅地計画が中止になったため、石器時代の墳墓のような塚が作られました。ここからの見晴らしも素晴らしいものがあります。
※この塚は近年、崩壊の危険から登れなくなりましたので特に行かなくても大丈夫です。悔いは何も残りません。
【カルヴァリーの丘への行き方】 公園の頂上へ登る方はヒールの無い歩きやすい靴で行くようにして.. |
見どころムービ―
グエル公園の主な見どころを集めてフォトムービーを作ってみました。
アクセス一覧
地下鉄Alfons X駅にあるグエル公園行のシャトルバスのバス停か、バルセロナで一番人気のある4つの観光スポットへの移動を解説しました。またグエル公園への行きアクセスはこちらをご覧ください。
*シャトルバスについては現在運休しています。
【グエル公園シャトルバス乗り場 ➡ サグラダファミリア】 | |
【グエル公園シャトルバス乗り場 ➡ カサ・バトリョ】 | |
【グエル公園シャトルバス乗り場➡カサ・ミラへ】 | |
【グエル公園シャトルバス乗り場➡カタルーニャ音楽堂へ】 | |
まとめ&アドバイス
ガウディ建築の中では2番目に人気がありますが、1番のサグラダファミリアに比べると実は行かれた方の評価は微妙です。
見た人によってはただのテーマパーク、それも思ったより規模も小さく期待した程のものは無かったと言う声もよく聞きます。
特に夏季は日を遮る物が少ないために暑い中、こんな埃っぽい公園へわざわざ来るほどでも無かったと… 。
実際問題、サグラダ・ファミリアの様に見て、”ドーン!”と衝撃を受けるようなあんな感動は無く、ある程度ガウディ建築に対し興味を持ち、事前にその作品を調べるなりして、それは何たるものかと学習している人でないとかなりの確率で期待外れに終わります。
結果、取り敢えず見た、階段のトカゲとインスタ映えする写真を撮った、バルセロナの街が一望できた、モザイクのベンチに座った….で、終わりかねません。
ここではなるべく興味を持って頂けるように、建築構造の豆知識、また建物やモザイクに込められた意味など補助解説を入れて出来る限りの説明をしましたつもりです。
また更に、ご自分で深く調べられるとグエル公園に対する評価が見える目が確実に変わるはずで、要は見る人次第にかかっています。
【最後に…】
お勧め度:19点/20点 |
住所 | Carrer d’Olot 【地図はこちら】 |
URL | https://parkguell.barcelona/en |
電話 | 902 200 302 |
時間 | 9:30~18:00 |
料金 | 一般10€、7歳~12歳/66歳以上 7€ *事前にネットで予約購入されることを強くお勧めします。 |
行き方 | L4 号線 Alfons X駅からシャトルバス(運休中)、 L3 線Lessepsから徒歩約15分 もしくはバス、タクシー。詳しくは下の関連記事を参照ください。 |
所要時間 | 1~2時間 |
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。 |
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@ | この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。。 記事最終更新 2023.10.17 |
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