12月から3月までの冬季限定の食べ物、カルソッツ(ネギ)。
地元バルセロナの人達にとって季節の風物詩ともなっていて、スペイン旅行の話しのネタにもなること間違いなし!
のカルソッツの食べ方楽しみ方、そして知られざる秘密をここで詳しく解説していきます。
目次
本場はタラゴナ県
まず、カルソツの発祥はカタルーニャ州と言ってもバルセロナではなく隣に位置するタラゴナ県。
その中でも内陸に位置するValls(バイス)地方が発祥地となっています。
バルセロナから高速に乗って車で一時間あまり。
周りにネギ畑が広がるのVallsの街にはこれと言って見る物はないのですが、毎年一月の最終日曜日に開催されるカルソッツ祭りには遠方からもネギを求めて多くの人が訪れます。
年に一度カルソッツ祭り
毎年1月の最終日曜日に開催されるネギ(カルソッツ)祭り。
バルセロナから鉄道で2時間弱のネギの本場Vallsの模様を取材してきました。
正体は実は玉ねぎ
ところで、見た目は日本のネギに似ていますが実はこれは玉ねぎ(白玉ねぎ)です。
地元スペイン人も実際に作っている農家の人以外は殆ど誰も知らない独特な栽培方法によりカルソッツは作られ、ここではその秘密の栽培方法を植物オタク、副業でKokemonを経営するカミムラが読者の皆さんにだけこっそりここで教えます。
まず、日本もそうですが玉ねぎは普通は種をまいて育てるのですが、カルソッツは種の代わりに玉ねぎをそのまま使うという事が大きな違い。
右の写真を見てもらうと分かるのですが玉ねぎを畑に植えると、そこから何本ものねぎの茎(くき)が同時に出ています。
これは専門用語で分球と言い直径3センチを超える玉ねぎを種代わりに植えると、本来一本の茎で伸びる玉ねぎが何本にも分かれて成長していきます。
一本の茎で成長する玉ねぎを分球させて茎が何本も出ると、地下茎の玉ねぎに十分な養分がいきません。
本来なら赤枠にできるはず玉ねぎが肥大せず、商品価値がなくなってしまいます。ですが面白いのはカルソッツは玉ねぎを収穫する目的とせず、初めからネギを目的にしているわけです。
ちなみに、このような栽培をしているのは世界広しと言えどここだけ。
カルソッツの一生
日本で栽培されているネギとは全くの別物で、10月に種を蒔いて翌年の7月に一旦玉ねぎとして収穫。
2か月後の9月に今度はその玉ねぎを種(苗)として畑に植えます。
すると秋から冬にかけてどんどん成長、また分球して大きさと共にネギの茎の数が増え、翌年の1月から最後に花が付きだす4月まで収穫できます。
実に1年半を要する気の長い栽培方法ですが、この事は農家で生まれた人でない限り地元スペイン人でも知っている人はまずいません。
ちなみに、日本では下仁田ネギで代用してカルソッツを出すスペインバルがありますが、既にお分かりの通りそれは大きな勘違いで似ても似つかぬ全くの別物です。
マシアで食べる
毎年冬になると大量に出る葡萄の剪定枝を薪にして、ネギは洗わず外皮も剥かずに一気に焼き上げます | |
田舎で良く見かける昔の地主農家の家 | 独特のスタイルで食べるので盛り上がれます! |
カルソッツは日常に家庭で食べるものではなく週末に家族や親戚、友達が集まって食べます。
本場のVallsの村の周りには昔に農家として使われていたMASIA(マシア)と呼ばれる一軒屋をレストランにした店が幾つもあり、週末は地元以外にもバルセロナから訪れる客でシーズン中は大賑わいします。
また、焼き方はブドウ畑の剪定で出た枝を薪に使用し、野外で豪快に焼くのが本場流。
カルソターダ
ポロンと呼ばれる容器に入ったワイン | パン・コン・トマテとロメスコソース |
白インゲン豆と、ソーセジ、羊などの肉 | デザートの定番となるクレマカタラナ |
カルソッツは野菜ということもあり、それだけでは食事にはならないのでメインに肉料理を普通組み合わせます。
このセット料理はカルソターダと呼ばれ、カルッソッツはその中の前菜という位置づけです。
また、このコースの定番と言うのがあって以下。
① 田舎風のパンを使った自分作るパン・コン・トマテ。
② ポロンと呼ばれる独特の容器に入った樽出しのワイン。
③ デザートとして、クレマカタラナ。
④ 店にもよりあったり無かったりしますがメインの肉に合わせて出てくるCAVA。
以上、これが標準的なセットとなります。
食べ方はユーモラス
カルソッツの食べ方は非常に個性的。
フォークやナイフは一切使わず、手で焼け焦げた外皮を剥いて、ロメスコと呼ばれる地元の名産のアーモンドとトマトを使って作ったソースを付けて食べます。
また、ソースを付けたネギを自分の頭の上まで持ちあ上げ下からネギめがけてパクくと言うユーモラスなもの。
ここで地元スペイン人のちょっとヤンキー系のお姉さんが食べ方の実演をしてくれていますので、参考にしてみてください。
ところで、カルソッツを食べる上で一番のポイントはネギの皮の剥き方。
これはバルセロナに住むスペイン人にも案外と良くわかってなく自己流でやっているい人が多いのですが、コツさえつかめば簡単に綺麗に剥けます。
ポイントはまずネギの上部、芯の部分を片手で持ちます。そしてもう一方の手でネギの一番下の根っこが出ていた部分をつまみ、上の手を持ち上げるとスルッときれいに抜けます。
カルソッツ必需品
カルソッツを食べるのに必需品は、エプロンと手袋。
素手食べるネギで一番困るのはの焼き焦げた炭で手が真っ黒になること。
以前、ビニール手袋が普及していなかった頃は、特に爪の間に炭が入って手を洗ってもなかなか取れなくて困ったのですが、最近はどこも手袋が付いてくるようになりました。
バルセロナのレストランで食べると出来たパンコントマテが出てきますが、このカルソターダでは自分で作ります。
日本から旅行で来られる方は初めてと思うので、ここでパン・コン・トマトの作り方を解説します。
まず、トマトとニンニクをは半分に切ります。ここで注意するのはトマトの切方でトマトは必ず横方向、胴切りにします。
そしてニンニクをパンに擦り付けます、ただしあまり付けると辛くなるのでほんの少し軽く。次にトマトを擦り付けるのですが、トマトを揉みほぐす様にしながら擦り付けると上手くいきます。
そこまで終わったら、今度はテーブルに常備されているオリーブオイルをたっぷり掛け出来上がり。
ちなみに、日本人は遠慮して少ししか掛けませんが、たっぷりオリーブオイルを掛けるのが美味しいパン・コン・トマテを作るコツですので、これでもかと言うぐらいオリーブオイルを掛けて下さい。
あと、好みによって少し塩をふっても良いでしょう。
ポロンで回し飲み
飲み方解説動画
ここでは、いかにも人のよさうなラファエルおじさんが、伝統のポロンを使ってのワインの飲み方を教えます
カルソターダにはドリンクが付いてきます、定番はポロンと呼ばれる尿瓶の様な容器に入ったワイン。
このポロンは、もともとワインを家族や仲間で回し飲みする為のもので、口を付けないで次々と皆で回し飲めると言う優れもの。
最初は少し難しく感じるかもしえませんが、皆で回し飲みすると楽しく盛り上がれること間違いなし。
ただし慣れない日本人は、汚れて困る服でないことが必須条件。
コツは最初は口の近くから初めて徐々に上に持ち上げていくと上手くいくでしょう。ちなみに、顔からより遠く高い所から口に注ぐのが上級者。
お勧めレストラン
本来は郊外の一軒家のレストランの野外で豪快に焼いたものを食べるものですが、さすがに市内のレストランでブドウの剪定枝を燃やして焼くわけ にいきません。
その代わりとしてどこもガス台で焼いていて本場のそれとは多少違いもあるのですが、それでもネギ独特の甘みが楽しめ美味しいものです。
ここでは旅行で来られる方でも行きやすい、アクセスの良いバルセロナ市内のレストランをピックアップ。
冬の季節の風物詩のカルソッツを気軽に楽しめる、レストランを幾つか紹介します。
Restaurante Carmen
サンツ中央駅から徒歩数分にある、地元スペイン人に人気の炭火焼レストラン。
店は一昔前と言う感じであまり雰囲気があるとは言えませんが、地元客が多く特に週末は活気があり悪くありません。
また、サービスはシンプルですが庶民的な感じで、観光客向けの店によく見かける味気無さもなくいい感じ。
ネギの焼き加減は火の通りが多少弱く感じる時もありますが許容範囲。
この店の最大の特徴はコース料理30.90€の肉が非常に充実していて、お勧め3軒の中でもボリューム満点。
尚、ネギはお代わりこそ出来ませんがメインとデザートも含めると、日本人にはこのぐらいがちょうどの量と言えます。
住所:Valladrid 44 Barcelona 【地図】
TEL:93 330 3688
営業時間:13:00~16:00、20:00~24:00 定休日:月曜と火、水、日曜日の夜
URL:http://restaurantcarmen.com/
最寄り駅:地下鉄3、5号線Estació Sants駅より徒歩7分 【辛口ジョランダ訪問記事】
El Glop
日本のガイドブックに載ったことのある、わりと観光客に良く知られた炭火焼きレストラン。
バルセロナ市内の中心部にこの店の他に2軒の姉妹店がありますが、この本店がその中ではアクセスはイマイチですが一番お勧め。
料理に関しては値段が安いこともあり、ネギのお代わりが出来なかったり、メインの肉が多少貧弱であったりします。
ただし、ネギの焼き加減そしてソースもそれなりの味、更にサービスもこなれているので一応の合格点の範囲。
ちなみにこの店、地元と旅行者が半々という店なので三軒のうちでは一番入りやすいかも知れません。
尚、市内の中心にある2軒の姉妹店の内、CASP店は大箱の観光客向けレストランでイマイチ。
住所:Carrer de Sant Lluís, 24 【地図】
TEL:932 13 70 58
営業時間:13:00~16、 20:00~1 :00 年中無休(クリスマスを除く)
URL:http://elglop.com/taverna-el-glop/
最寄り駅:地下鉄4号線Joanic駅より徒歩6分 【辛口ジョランダ訪問記事】
その他のレストラン
ベスト、レストラン
地元スペイン人の誰も認めるカルソッツの名店は、バルセロナから車で一時間少しの本場Valls村にあるこの店Cal Ganxo。
そのレベルは、上記のバルセロナにあるレストランとは雲泥の差。
本気で極めたい人は、バルセロナウォーカーのモンセラットツアーに+カルソッツランチ追加として催行していますのでお申込みください。
訪問動画
まとめ&アドバイス
バルセロナで冬の時期にしか食べれない季節の風物詩と言ったら、まず思い浮かぶのがこのカルソッツ。
ただ、バルセロナ市内のレストランで見かけるようになったのは最近のことで、25年前に私がバルセロナに住み始めたときは殆ど見かけませんでした。
近年、炭火焼きレストランで冬にカルソッツ出す店が増えて徐々に定着し、今や冬の週末に家族や仲間と集まってワイワイ楽しく食べる人気料理となっています。
ところでネギの独特の栽培法もそうですが、収穫までに通常の2倍の時間と手間がかかるのがカルソッツ。
まず春に種をまいて秋に玉ねぎを一旦収穫し、それを畑に種として植え直してネギを作ると言う普通のネギ栽培の倍の時間と手間を掛けるのが、いかにも食べ物にはこだわるスペイン人らしいところです。
ところで、カルソッツの発祥は定かではありませんが、私が思うのには畑の端に捨ててあった玉ねぎ。
そこから、たまたま芽が出てネギになっているのを見つけたお百姓さん。
おじさん運悪くその日、お弁当を忘れてお腹がぺこぺこだったこともあり「これを何とかして、食べれないものかのう?」
と、思い付き畑の片隅を見るとちょうどそこに捨ててあったブドウの剪定枝、おおこれは何て運がいいもんじゃ、じゃあこれを使って焼いて食べてみようと焼いてみると「こりゃあ、ネギが甘くてうめえ~」。
更に後日、今度は「ロメスコソースを付けたらどうじゃろかなぁ?」と、家から持参したソースを付けて食べたら。。。
「うんめええ!おりゃあ、ほんに幸せもんじゃぁ~!」
となった、それが始まりじゃないかと思うのですがどうでしょう?
【美味しく食べるポイント】
最後にこのカルソッツのポイント幾つか述べると。
ポイント1
ネギは太い方が食べごたえがあり甘くて美味しい。
その点ではシーズン初めの12月はまだまだネギが成長しきっていないこともありイマイチで、やはり2,3月がベストシーズン。
ポイント2
焼き加減は店によってまちまち。
季節物ということもあり、焼き慣れていない店では焼き過ぎて殆ど炭になってしまっていたり、火の通りがあまく半生なんてこともあります。
ポイント3
ソースによって美味しさが全然違う。
ネギのサイズ焼き方は経験を積んでいくうちによくなるのですが、経験で越えられないのがソースで店によっておいしい店とそうでない店では満足感が全然違います。
ポイント4
ケチケチせずにネギの外皮はざっくり捨てる。
皮をむく時はもったいないと思わず外皮を多めに剥いて食べましょう。
ポイント5
カルソターダは、かなりヘビーな料理。
ねぎを食べて次に肉、そしてデザートを食べるとかなりお腹一杯になって日本人なら完食できない人が多いかもしれません。
そんな場合はセットメニューのカルソターダにせず、アラカルトメニューからネギを選ぶと良いでしょう。
ただし、ネギの後もこれでもかと言う感じで出て来る料理、その一連流れは儀式にも近いものがあり日本人の知らないスペイン人の好みや食習慣が垣間見れます。
本当の意味の地元体験がしたい人なら、当サイトとしてはコース(カルソターダ)で食されることをお勧めします。
★本場Valls村の誰もが認める名店Cal Ganxoで食べるカルソッツを食べ、更にモンセラット+ローマ時代の水道橋まで入った充実ツアー、絶賛予約受付中。詳細はここから
【最後に…】
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。
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@ | この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。 |
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アこの記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。ジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。。 記事最終更新 2023.11.13 |
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