バルセロナウォーカー読者の皆様から多く頂く質問に「サグラダファミリアは塔に登るべき?」
また登るとすれば「生誕、受難のどちらがお勧めですか?」と言うのがあって、前回はその二つの塔を徹底検証してみました。
さて、今回の検証記事はサグラダファミリアの塔に続きよく頂く質問である「カタルーニャ音楽堂は昼のガイドツアーで見るのと、コンサートで見るのとどっちがお勧め?」
についてそれぞれの違いを比較し本当にお勧めを検証してみますます。
目次
二つを比較検証
ガイド説明の有無
ツーアのスタートは別室で | ビデオによる解説を視聴 |
それぞれの見所で、ガイドさんからの説明があります。 |
まず、ガイドツアーとコンサートの一番の違いと言えばこれ。当たり前ですが、コンサートでは音楽堂の歴史や建物などの解説は一切ありません。一方ガイドツアーの場合は、まずビデオによる解説があり、そのあと専門のガイドによる建物の案内を聞きながら音楽堂内を見て回りれます。
この点を見るとガイドツアーがコンサートに勝るのですが、日本語のガイドツアーが無いので、ある程度の英語力が必要になります。もしそうで無い場合は、説明を聞いても理解するのが厳しいのも事実。
ただし実際にツアーに参加しての感想を言うと、ビデオ並びにガイドの解説内容自体は、このサイト、バルセロナウォーカーのカタルーニャ音楽堂の記事に書かれている以上のものは特に無く、事前によく読んでいけば英語ツアーでもなんとかなると言えなくありません。
見学出来る場所に違い
幕間の休憩室 | ガラス戸をの外へ出れる |
一面モザイクが彩る柱の列が見れるのはガイドツアーのみ |
ガイドツアーがコンサートに本当の意味で勝っている点は、実はこれ。コンサー トの時間帯に開放されている事は少ない幕間の休憩室。これはガイドツアーでしか見ることが出来ません。
休憩室自体は大した見所ではないのですが、外のバルコニーは、バロック、モデルニスモ、ムデハルと幾つもの様式が統合された空間となっていて、そこに並ぶ柱は全て異なる色彩とデザインと言う凝ったもので音楽堂の重要な見どころの一つになります。
【外からも眺められますが・・】
音楽堂の前の通りからもこのバルコニーが見ることが出来ます。
ただし前の通りが狭く離れたところから斜めにしか見ることが出来ず、やはり実際に目の前で見るのとそれは雲泥の差。
天井ステンドグラス
ガイドツアー
コンサート(夜)
ガイドツアーは日中におこなわれ、その逆に通常夜に開催されるのがコンサートです。
昼と夜を見比べてみると、同じ音楽堂と言っても内部は違って見えてきて、その最たる違いは天井のステンドグラス。
日中のガイドツアーは自然光を元にした色ですが、夜は中の電灯により青色に輝きます。
また、夜は全体がライトに照らされている分だけ、昼枚以上に幻想的に見えます。
あと、コンサートの開演前のホールは独特の高揚感があり、着飾った地元のスペイン人達や集まってくる観衆の喧騒は日中のガイドツアーには無いものです。
ただ、それはあくまで地元と客が多く入る人気のアーティストが出るコンサートで、この後に述べる「フラメンコ」などの観光客に特化したコンサートはその限りではありません。
細部に注目
幻想的に見える館内と、コバルトブルーに輝くステンドグラスは夜ならではのものです。
ただし見方を変えると、例えば青く輝くステンドグラスは自然光の下で見るオリジナルの色と違い、細部の模様などが青一色に塗りつぶされてしまっていて建築家ムンタネールが意図した本来のデザインが分からなくなっていると言えます。
窓のステンドグラス
これも違いの一つですが、建物の外に面した窓のステンドグラスは自然光の入る日中しか見ることができません。
ただ上の写真を見て分かるように天井のステンドグラスに比べると格段に地味なもので、特に見る価値があるとは言えずこれに関してはどうでもいいでしょう。
料金の比較
有名なアーティストだと発売と同時に良い席はほぼ完売 | |
観光客に特化したような人気のないコサートはガラガラ |
次は料金について比較してみます。
現在、ガイドツアーの料金は18€。ただし事前に予約すると20%の割引が適用されて14.40€となります。一方コンサートチケットは席によって値段が違い、また出演者によって当然ですがその値段はピンキリ。
目安としてはあまり人気の無いコンサートだと20~60€程で人気のものだと25~130€程。料金は単純に比較すると、ツアーの方が圧倒的に安いとなります。
尚、人気のアーティストが出演するチケットは発売後、直ぐに売り切れてしまうので注意が必要。
例えば下の写真の若き天才指揮者と呼ばれるグスターボ・ドゥダメルだと、4日間5回の公演にも関わらず発売開始と同時に良い席はほぼ完売。
その一方で地元スペイン人は行か無い観光客向けのコンサートなどはいつまでも空席があると言う様な具合で、チケットの減り具合でそのコンサートの人気度が容易に計れます。
安い席は要注意
一階席後方は天井が邪魔 | 全く見えない席も存在します |
世界遺産にも指定されている優雅で歴史ある音楽堂ですが、設計が古いこともあり現代のコンサートホールには考えられないようなことが幾つかあります。
その一つ目として、装飾に重きを置いたために全くステージが見えない席や、見えても半分ほどと言う席が安い料金のゾーンに存在します。
次に、よく指摘される事としてこの音楽堂は音があまり良くないという事。
理由は音の響きを全く考慮しない過剰なほどの装飾などが悪影響を音に与えているから他ならず、バルセロナにある近代的なホールL’Auditoriとでは、コンサート好きの人が聞き比べるとその差は歴然となります。
純粋に音にこだわると近代的な音楽ホールには遠く及ばす |
観光客フラメンコ
プログラムを見ると殆どが観光客向けのフラメンコで占められています | |
オペラ&フラメンコ? | むやみに広すぎてスカスカ |
日本人が音楽堂でよく見るコンサートに、フラメンコがあります。フラメンコは音楽堂の様な大箱のホールで見る物では決してありません。
とは言っても大して興味のないマイナーなオーケストラやコンサートを聞くぐらいでしたら、このフラメンコ創作ダンスを見る方が間違いなく楽しめます。
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春から秋までの観光シーズンと、クリマスから年末年始は、かなりの頻度で幾つものフラメンコショー・コンサートが開催され主なものは以下。
数あるフラメンコショー・コンサートの中で、お勧めなのは「Tablao Cordobes」と「Arte Flamenco」「Gran Gala Flamenco」の3つ。
他に「Opera y Flamenco」もありますが、オペラとフラメンコと言う全く違うものを組み合わせたコンサート、それはちょっとキワモノ過ぎでパス。
「Guitarra y Flamenco」は、ギター演奏の部分でどうしても観客が飽きてしまう傾向があるので、これもパスして前述の3つあたりが妥当でお勧めと思います。
ただし、注意点としては本来はこじんまりとした専用のタブラオで、踊り手の人間臭さ泥臭さを肌で感じながら、観客と踊り手が一体となって見る物です。
なので音楽堂でフラメンコを観たからと言って、それはスペインの本場のフラメンコを観たという事にはならず、フラメンコ風のモダンダンスを観ただけの話。
いわゆる”ほんまもの” を観たい方は、ここ以外のちゃんとしたタブラオへ行かれ見られることをお勧めします。
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見どころフォト動画
まとめ&アドバイス
ツアーで見るより、コンサートで見た方が一石二鳥でお得と思える音楽堂。
確かに見る価値のある演目があるのならそうだと言えますが、そうでない場合はどうでしょう?毎日のようにコンサートがある音楽堂も、実際その中で観る価値がある有名アーティストが含まれているのは本当のところ稀。
旅行滞在中にちょうどそれに当たると言うのはかなりの強運でないと無理です。
また、舞台が全く見えない一番安い席を買って開演までに中を見学すれば良く、それなら一石二鳥と言う方も中にはいます。
でもコンサートにこだわらないならこそ、早割14.40€の見学ツアーでも良いような気もします。
結論としては人気のアーティストが出演するようなコンサートなら、見学ツアーをやめて夜のコンサートへ行くのがお勧め。因みに良い席で見ても日本で観るのに比べればかなりリーズナブルな料金設定となっています。
ただそうでない場合は、特にコンサートにこだわらなくても良いでしょう。
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「サグラダファミリアの塔の比較、どちらがお勧めか?」の記事でも書きましたが、迷うなら両方取ると言う方法もあります。
コンサートでは見れないバルコニーの柱とオリジナルの色のステンドグラスをお昼に見学ツアーで見る
。夜はコンサートチケットを買って青色に輝くステンドグラスと、実際のコンサートの臨場感あふれる独特の雰囲気に浸ると言うのも究極の楽しみ方かも知れません。
また、これならどっちが良いかと言う様な迷いはそれで綺麗さっぱり解消します。
あと、日本人の場合はタイトな旅行スケジュールでバルセロナに来られ方が多いと思いますが、日中にガイドツアーへ行くのが難しいと言う方でしたら夜のコンサートへ。
ただ、逆に特に興味のわかないコンサートなら日中のガイドツアーへ参加して観てしまい、夜は食事など他の事に有効に時間を使うのがお勧めです。
最後に、見学を兼ねてコンサートへ行かれるか方へのアドバイスとして。
なるべく早めに着き、入場開始(開園30分前)とともに中へ入ってしまいます。
そして、観客が来て席に付く前に中を見て回り写真を撮ってしまいましょう。
各フロアーの入り口には係員がいてチケットをチエックしますが、少し見て回って写真を撮りたいと言うと、早い時間なら自分の席以外のフロアーでも入れてくれます。
(注意)人気の無いコンサートならある程度、写真を撮ったり鑑賞したり上記のようにできます。
ただし、滅多に無いと思いますが有名アーティストが出演する満席になるようなコンサートだと、入場開始から開演までの時間が短いこともあり、地元の本当にコンサートを楽しみに来たスペイン人達の迷惑になります。
実際のところ見学とコンサートを一石二鳥と思って、お上りさんのごとく写真をパチパチ撮っているような観光客は、ただの場違いでウザイ存在でしかありません。
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。 |
@ | この記事を書いた人:アキモト 日本で社会人を経験後マドリッドへ大人の語学留学。海のあるバルセロナへ移住後、バルセロナウォーカーにて情報を発信しています。最終更新 2022.10.13 |
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