スペイン料理の代表と言えばパエリヤ。
バルセロナに来たら日本人なら誰でも食べると言って良いほどのパエリヤですが、日本人のみならず世界中で殆ど知られいない、目からウロコの真実と美味しく食べるコツを伝授します。
Theこれだけは押さえたいパエリヤ10ヵ条!
目次
パエリヤ10ヵ条
その1、日常食べない
オヤジが仕切る男料理 | やたらデカいパエリヤ鍋 |
家族や親戚が集まってお喋りしながら食べるのがパエリヤ |
スペイン料理の代表として世界に広く知られているパエリヤですが、日本のみならず世界的に最も誤解されているのがこの料理かも知れません。
まず意外に思われるかも知れませんが日本の皆さんが思っている程、スペイン人はパエリヤを日常的に食べません。
毎週のように家庭でパエリヤを作って食べている人、探せばいるのか知らないですが、私の知る限りスペイン人の友人の誰に聞いてもそんな家はないよと答えます。
理由は元来パエリヤは日常的な家庭料理ではなく、親戚などが集まった時に庭や野外で作る様な料理です。
分かり易く言うと日本の「ちらし寿司」みたいなもので、普段は家で作ってまで食べないけれど人が集まった時やお祭り、また店のメニューにあったら食べてみょうかと言う程度です。
ピザ > 寿司 > パエリヤ
実際のところスペイン人はパエリヤよりいアタリア料理で簡易なスーパーで売っている冷凍ピザを、一生のうちにその数十倍は多く食べます。
また現在空前のブームとなっている和食、ここバルセロナなどの大都市ではパエリヤより寿司を食べる頻度がより多いと言うスペイン人もかなりの数いて、毎年その数が更に増加中。
あと家庭で作らないもう一つの理由として普通の家庭で使うフライパンの倍以上、直径40~50cmの大きさにもなるパエリヤ鍋を置けるような大きなサイズのガス台が普通の家庭には無いと言うのもあります。
その2、本場はバレンシア
伝統的パエリヤ食材、ウサギ、鳥、白いんげん、カタツムリなど.. | |
バルセロナの南バレンシア州 | 本場はかなり地味 |
パエリヤの本場はバルセロナの南に位置するバレンシア州。
起源は昔スペインを支配していたアラブ人が始めた料理とされ、本場のバレンシアナと言うパエリヤはシーフードは一切使わない物でチキン、ウサギ、カタツムリなどの肉にjudías verdes(モロッコインゲン豆)を入れたものです。
写真の右下の見ての通り地味なパエリヤがそれです。
また良く聞かれるのに「バルセロナより本場のバレンシアの方がより美味しいの?」
と言うのがありますが、私が実際に行って食べ歩いた感じは炊きあがった時の水分の量に違いがあるのと、上記で述べた具が違う程度で味に関してはバルセロナより特に向こうが上と言うのは全く感じませんでした。
この時代に地方で食べられている料理で美味しい物があれば、すぐに大都市に伝わるのが当たり前。
それは日本で最も熾烈なレストランの競争が繰り広げられている東京に、レベルの高い料理人が集まるのと全く同じ理由です。
バルセロナ市内の地中海に面したバルセロネータ地区はシーフードレストランが多くあり、パエリヤが定番料理にもなっています。 @ |
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でも、その中ではやはり一番人気はこれ。イカ、貝、海老、手長海老が入った見た目にも良いパエリヤが現在の主流。これが日本人のみならず世界的にイメージされているパエリヤと言ってもいいでしょう。 |
その3 ご飯は黄色く無い
サフランの花は高価1gを得るのに160個の花が必要。 | |
日本の黄色パエリヤ。 | 左がサフラン右が着色料 |
日本人はパエリヤのご飯は黄色と言うイメージを持っていますが、実際は地味な色をしています。米を炊くときにサフランを入れ色付けしているのですが残念ながらそんなに綺麗に黄色くなる訳ではありません。
もちろん大量に入れれば黄色くなりますが、度を越すとサフラン独特の味が強まり薬っぽい味になってしまい食べれたものでありません。
ところで安い街場のバルの定食や観光客向けの冷凍物のパエリヤを食べると、やけに良い色いものがありますがそれはコロランテ(写真右)と言う着色料を入れて色付け (黄色と言うよりややオレンジ系)しているからです。
また日本人の中にはパエリヤのご飯の色をまるでカレーピラフ(写真左)の様な色と思っている人もいますが、それはカレー粉の元になっているターメリックを入れた物である意味、邪道。
その4 本来は 昼食べるもの
米を主食とする日本人には理解しがたい事なのですが、スペイン人にとって米料理は調理の際に大量のオリーブオイルを使っているのでヘビーと認識されています。
またこちらでは食事は昼食に重きを置いている事もあり、夜軽く食べる習慣を持つ彼らにとって昼食以外にパエリヤを食べると言う選択はほとんどありません。
面白い例を挙げると写真左はバルセロナビーチ沿いで週末の昼に食べるスペイン人(写真左)。
そして写真右は観光客のメッカと言えるレイアール広場、そこのテラス席で夜パエリヤを食べる欧米人観光客。この時間にパエリヤを食べる地元スペイン人はいません
その5 決して安くない料理
実はスペイン料理の中でパエリアは安く無い料理の一です。しっかりしたパエリヤを出すそれなりの店だと相場は1人前25€程。
最低2人前からのオーダーとしている所がほとんどですから、これだけで50€(7,000円)少し。
更に前菜、飲み物を加えると簡単に2人で1万円を越えてしまいます。原価としては米なんか安く、シーフードと言っても飾りに少し使っているだけであとは出汁ぐらい。
なので店にとっては余程、出汁こだわりそコストのかかる食材を使っていない限り利益率の高い売り物となっています。
そんな、結構値段のするパエリヤですが、バルセロナの中心でアクセス最高そして味のレベルも許容範囲、専門店より安いレストランがあります。
また、セルフサービスなので言葉の心配も要らないし、お1人様でも全然大丈夫、更に料理が出てくるまでの待ち時間がないので時間を有効にえると言う訳で、当サイトのお勧めしているのが以下。
もちろん、地中海沿いの専門店で時間をかけてゆっくり食べるのに越したことはありませんが、気軽に使える点で紹介します。
【お勧めのデパ上レストラン】 サクッと短い時間で、お安く、そして味もしっかり、その上お1人様もOK! |
その6 水分が多いバルセロナ
バルセロナのパエリヤと本場バレンシアのパエリヤ、味のレベル差と言うのは特に感じないのですが、一番の違いは水分の量。基本的にバルセロナで食べるパエリヤにはお焦げはありません。
米はしっかり炊かれていて、余程いい加減なレストランでない限りアルデンテと言うのもありません。
あと、写真右の料理ですが「カルドッソ」と言って日本で言うおじや。
日本語のおじやの語源は江戸時代に入ったスペイン語のオージャ(鍋)から来ている言葉ですが、その元祖料理がカルドッソ。地元の人の中にはパエリヤよ り、ロブスターが入ったこの方が好だと言う人も多くいます。
既に何度もパエリヤを食べた事がある人で、まだ食べた事が無い方にはカルドッソもお勧めです。
通常オマールエビが一匹丸ごと入っていて、非常に味が分かりやすいと言うかバッチリ決まってハズレも少なく手堅い料理です。
もっとも今までお勧めした日本人の皆さん全員が「そんなのじゃなくて、パエリヤが食べたい!」と言われ、助言はすべて却下されましたが(笑
その7 具はただの飾り
写真左のパエリヤを見て頂くと分かるのですが、具がご飯と一緒に炊き込まれていて大体炊き上げるのに30分弱掛かります。
その間、鍋は火にさらされるわけですが時間が長い事もあり、中に入っている貝も海老も水分が飛んでしまい貝は身が干からび、エビの殻は白っぽくなり 食べるのにはもう適していません。
またシーフドパエリヤの定番の手長海老ですが使われるのはサイズが小さく食べる部分が少ないのもあって、尻尾の殻を剥いても中には身も何も無く、いたずらに手を汚すだけと言う非常に悲しい結果となります。
なのでパエリアの具には何も期待しない方が無難です。
ところで、この具から出汁が出ていると思っている人も多いかと思いますがそれはありません、実際料理人の方も言っていますが別に用意した出汁のスープで味が決まるとのことで、上のエビや貝はただの飾りにしか過ぎません。
あと、右がレストラン「Kaiku」で出していたパエリヤ。
これは具は別に調理して最後に炊き上げたご飯の上に置いているのですが、これだとご飯も具も両方美味しく食べれます。
ちなみにこのようにご飯だけを炊き上げるのをArroz a banda(アロースアバンダ)と言って、これがプロの料理人によると一番美味しく食べれる調理方法と言われています。
その8 半端じゃないカロリー
これが、パエリヤを食べる上での最重要ポイント。
元々スペイン料理はオリーブオイルを大量に使うので、どうしても高カロリーでヘビーなものとなりますが特にパエリヤがそう。
日本でパエリヤを食べたこと がある人も多いかと思いますが、こちら本場で食べるそれとの最大の違いは入っている油の量。
ネットで日本のパエリヤのレシピを見るとオリーブオイルを大さじで何杯と書いていますが、こちらスペインのレシピを見ると、さじではなくてTaza(コーヒーカップ)何杯と書かれています。
ところでスペインでは木曜日が、パエリヤの日と呼ばれていることをご存知でしょうか?
一週間でもその日だけは、街中のバルの10€程の安定食のメニューの中に必ずと言っていいほどパエリヤが一品としてあります。
ただ、安いだけあって着色料をたっぷり使ったものであまり美味しいとは言い難く、旅行者がわざわざ食べる値打ちはありません。
ちなみにどうして木曜日にだけパエリヤがあるのかと言うと、諸説はありますが昔はキリスト教徒もイスラム教徒と同じ様に断食の日がありそれが金曜日でした。
その断食中に空腹で困らない用に前日に腹持ちの良いコメ料理のパエリヤを食べ、断食日の空腹をを乗り切ろうとしたのが始まりだと言われています。
写真左で2人前ですが、実際これを2人で完食すると胃が余程丈夫でない限り食べた後に胃もたれします。
ですので、腹八分目がパエリヤを食べる際のポイント。本当にこれは重要で、もったいないと思ってもそこで止めて後は残して下さい。
その9 こんな店はダメ
冷凍のパエリヤばればれ看板 | 観光スポット横レストラン |
「美味しく楽しむ、バルセロナグルメ10ヶ条」でも書きましたが店の前に、こんな看板を出している様な店で食べてはダメ。
また観光地の周りの店も極力避けた方が無難です。こう言う店で出すパエリヤは、工場で大量生産された原価5ユーロ程の冷凍物の子供だましです。
その10 こだわりを捨て
日本人の方の殆どがパエリヤ、パエリヤと呪文のように言ってこだわられるのですが、取りあえず一度パエリヤを食べその願いがかなったら先ほどにも述べましたがスペイン風のおじや「カルドッソ」や「イカ墨パエリヤ」また「パスタのパエリヤ」など色々な料理にもぜひ挑戦してみて下さい。
写真はレストラン「Les Quinze Nits」のイカ墨とパスタパエリヤですが、特にイカ墨は味がドンピシャに決まっていますしパスタも悪くなく、尚且つ非常にお安く食べれるのでバルセロナ滞在中に機会があれば試してみてください。
「Les Quinze nits」 基本ファミレス料理ですがイカ墨パエリヤはお勧め。非常に安価で食べれます。 |
まとめ&アドバイス
パエリヤをスペイン人が普通は家で食べないなんて、結構日本人には目からウロコの新知識だったんじゃないでしょうか?
また案外と高い料理で、そしてヘビー。
バルセロナに私を含めて長く住む日本人で頻繁にパエリヤを食べに行ってる人を聞いたことがありません。
その理由は正直もっとお金の値打のある美味しい料理がある上に、高カロリーで胃もたれしやすいからです。
日本から来られたら一度はパエリヤも良いと思いますが、2度3度と食べるのは特に短期間のバルセロナ滞在では正直無駄。
他にも美味しいスペイン料理があるのでそれを食べる方がより有意義だと思います。
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。 |
@ | この記事を書いた人:アキモト 日本で社会人を経験後マドリッドへ大人の語学留学。海のあるバルセロナへ移住後、バルセロナウォーカーにて情報を発信しています。最終更新 2022.10.19 |
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