生誕のファサードと受難のファサードにはそれぞれ4本の塔があり、エレベーターで昇ることが出来ます。
サグラダファミリアの入場チケットの購入の際にそれが選択できますが、初めて訪れる方には当たり前ですが2つあるファサードの塔のどちらを取るべきか判断できません。
今回はバルセロナウォーカーがそれぞれのファサードの塔の特徴、そのして利点、欠点を詳しく比較しその答えを出していきます。
比較1.どこまで登れる?
生誕のファサード | 受難のファサード |
生誕のファサード側エレベーター | 受難のファサード側エレベーター |
正面右から2番目の塔内のエレベーター(地図は逆) | 正面右端の塔内に設置されたエレベーター |
矢印の指す50メートルまで一旦登り、その後更に上へ | 矢印の指す65メートルまで一気に登ります |
右の受難の塔の様な360度展望は無し | 塔の最上部の中から360度の視界 |
この隙間での眺めではとても勝ち目無し | 眼前にせまる塔の先端と破砕タイルのモザイク |
まず2つの塔で大きく違うのは、エレベーターの到達点。受難のファザードは65メートルですが生誕のファサードは地上50メートルと低い位置にあります。
ただし、生誕の塔もその上へ階段で上って行けるので到達する高さ自体は大差は結局のところありません。
それより重要な違いは受難の塔はエレベータを降りて、そこから少し上がった所に窓が狭いのでパノラマとはいきませんが360度見える展望台がある点。
更にそこから隣の塔に移動する際の渡り廊下から塔の先端と、そこに施された破砕タイルのモザイクが眼前に見ることが出来る点です。
一方、生誕の塔はと言うと受難の様な360°展望台も無く、塔を渡る際にも上にモザイクが見える訳でも無くその点ではこの勝負 受難の圧勝。
比較2. 展望台(塔の渡り廊下
生誕のファサード | 受難のファサード |
ガウディ生前の作だけあって歴史を感じる造り | 色、デザイン共に近年造られたのが見て取れます |
人がすれ違うのもギリギリの狭さで落ち着かない | 広く周りの旅行者を気にせずゆっくり鑑賞できます |
生命の木の裏に残念な電気のボックス | 鎮座する重さ2トンの金色に輝く昇天するキリスト |
塔をつなぐ渡り廊下(展望台)は、それぞれのエレベーターの到達点の違いから、生誕の塔はエレベーターを降りたあと階段で更に登り、一方の受難の塔はエレベーターを降りた後に逆に階段を下がります。
展望台(渡り廊下)の広さに関しては、人がすれ違うのがやっとの狭さでとても落ち着いて鑑賞できません。
その生誕側に比べて受難のファサードの方は広くてじっくり景色も見れるのでこの勝負 受難の勝ち 。
次に前に見えるオブジェを比べると、生誕の「生命の木」は何時までも変わらない常緑樹の糸杉で永遠の生命を象徴し、その周りに集まった21羽の白いハトは神に仕える信者を表現しています。
また受難の方は金色に輝く重さ2トンの昇天するキリストが渡り廊下の縁に鎮座。
どちらも裏側から見ることになりますが、この2つを比べると細かな彫刻が施されたガウディ・オリジナルの「生命の木」の方が見応えはあります。
ただ、生命の樹の裏に設置された電気のボックスが、なんとも興ざめで写真の被写体としてもこれが無ければ… と残念に思います。
比較3.何が見える?
展望台(塔をつなぐ渡り廊下)から見える景色は本当のところ、それほどの違いはありません。
生誕側は海が見える、サン・パウ病院が見える、フランス人建築家ジャン・ヌーベルの作品「トーレ・アグバル」が見えると言う人もいますが、サン・パウ病院は入り口正面の建物が小さく見えるだけ。
徒歩でサグラダファミリアから10分も歩けば、間近に全体を見ることが出来るので特に何の意味はありません。
また海を見たければ地下鉄20分ほどでバルセロネータのビーチまで行けば本当に碧い地中海が目の前に広がります。
「トーレ・アグバル」はロンドンにほぼ同じ建物がある上、中東ドバイに行けばこの手の奇をてらった近代建築物は掃いて捨てるほど見れると言うと身も蓋もないかも知れませんがそれが事実です。
受難側でも生誕のみならず海が見え、旧市街の観光スポットのカテドラル、更にモンジュイックの丘が見えます
とは言っても生誕側と同じで小さく見える程度で特にこれにも意味はありません。
ただ主な部分が完成している生誕側と違い、完成後には決して見ることが出来ない建設の真っただ中の様子、特に塔を降りる階段の途中まじかに見ることが出来る点は生誕にない利点と言えこの勝負 受難の勝ち 。
生誕の塔のダイジェスト動画 | 受難の塔のダイジェスト動画 |
【これって何?】 よく受ける質問なのですが、生誕のファザードから見て右方向の遥か先に見えるこの3本の煙突。これは市民に電力を供給している火力発電所。 |
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下のボイラー部分が100メートル、その上の煙突が120メートル、合わせた高さが220メートル。バルセロナのランドマークの一つとなっています。 |
比較4.螺旋階段
生誕のファサード | 受難のファサード |
最近使用され始めたこともあり真新しく全く歴史感が無い | 螺旋階段の下の方には壁に落書き多数(日本語もあり) |
これぞガウディともいえる生物、植物、自然界に存在する物をモチーフし、それを建築に取り入れるその手法の最たるものとも言えるのが、この塔の中の巻貝を彷彿させる螺旋階段。
それぞれの塔を比較するとそれ自体に両者の差はありませんが敢えて違いを述べると、生誕の塔は最近これまで使われていた塔から新たな塔の階段に変えたことによって、ガウディオリジナルで建設された年が古いにも関わらず中は真っ白で真新しく何か歴史感に物足りなさを感じます。
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一方の受難は既に何十年も観光客に開放され使い込まれていることもあり、生誕の塔で感じた”新ピカ”ゆえのその物足りなさはありません。
ただしその一方で欠点としては、これまで訪れた旅行者の落書きが目立ち(日本語も多数あり)それが残念と言えます。
と言う訳でプラス、マイナスを考慮に入れるとこの勝負は引き分け。
解説動画
更に詳しくは動画でも解説していますので、ご覧ください。
階段の秘密
バルセロナウォーカ読者だけに、こっそり教える階段の秘密!
ほとんど誰も気が付きませんが、実はよく見ると生誕、受難の塔の階段にはこんな風に塔の一番下から数えた段数が刻まれています。
ちなみに、段数はこんな感じになっています。
生誕のファサード | 受難のファサード |
@最上部の渡り廊下 272段目 |
最上部の渡り廊下 300段目 |
巻貝状の螺旋階段の始まり 128段目 |
巻貝状の螺旋階段の始まり 128段目 |
まとめ&アドバイス
〇 勝ち ✖ 負け ― 引き分け
結果は受難の塔の勝ちです。
その勝因は何と言っても以下の2点が大きく影響しました。
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・塔の上の360°展望の小部屋と、眼前にせまる塔最上部のモザイク。
・展望台(渡り廊下)の広さ。
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よくある錯覚として、ガウディのオリジナルだから生誕のファサードがより見る価値があると言う思い込み。
でも実際は受難のファサードと生誕のファサード、外観こそ全く違いますが塔の中に関しては殆ど同じ。
その理由としては受難の塔は生誕の塔の忠実なコピーなので、登ってしまえばガウディオリジナルか否かは言われない限り分かりません。
そんなことよりも選択する上で重要なのは見どころが多いのは?よりゆっくり鑑賞できるのは?
どちらかで判断する方が訪れる人の満足感が上がるはずです。
あと、ガウディ建築、サグラダファミリアの強い思い入れがある方でしたら、チケットを2回分買ってそれぞれ両方の塔を登ると言うのもありかと思います。
また、その場合は午前と午後に分けて入場し、教会内のステンドグラスの色の変化を同時に楽しむことも出来てお勧めです。
更に付け加えるとここでは、その違いを細かく比較しましたが人生初めてのサグラダ・ファミリアなら、生誕、受難どちらの塔も新鮮だという事も忘れないで下さい!
【工事の注意】
2022年10月より2年程かけての生誕ファサードの大改修工事が始まります。
現時点で塔の見学にどれほどの影響が出るか分かりませんが、受難の塔を選ぶ方がリスクは少ないと思われます。
工事の進捗状況は、週刊HILLチャンネルで随時報告します。
【最後に良くある質問をまとめてみましたので参考にしてください】 |
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Q. 塔のエレベーターチケットは、販売開始直ぐに完売と聞いたのですが事前に予約した方がいいですか? A. サグラダファミリア入場券のみでしたら予約無しでも大丈夫ですが、シーズン中は数日前にエレベーターチケットは全て完売となっていることもあるので予約した方が確実です。また、ネットで事前購入すると塔のエレベーター付きの場合だと6€割り引かれるので、予め予約購入がお勧めです。 @ |
Q. 予約時間前に塔に登る事はできますか?また、もし遅れた場合は登れませんか? A. エレベーターの乗り場で係員がチケットをチエックします、その際5分ぐらい前なら入れてくれますがそれ以前の場合は入場拒否されます。また遅れた場合も10分程でしたら入場させてくれますが、それ以上の場合は不可となることがあります。ただこれも係員によって対応が違い一概に言えません。肝心なのは無用なトラブルを避ける意味でも早めにエレベーター乗り場に着いているようにしましょう。 @ |
Q. 塔の上の観光の所要時間はどのぐらいになりますか? A. 見学は30分弱、特に生誕の塔は渡り廊下(展望台)が狭いこともありゆっくり観ると言う訳にはいかないのと、階段が一人が通るのがやっとの幅で、後ろから他の見学者が来ると立ち止まっていられないので結果、半強制的に下に降りさせられ見学終了となります。 @ |
Q. 雨の日や強風の日に塔のエレベーターが休止するそうですが、その場合既に買ったエレベーター付きのチケットはどうなりますか? A. その場合は既に支払われた33€から、入場料を差しい引いた額7€が決済に使ったクレジットカードに後日(約1週間~1ヶ月後)返金されます。また、サグラダファミリアから以下の様な返金に関するお知らせが来ます。ここでは生誕の塔2人分で、7ユーロ×2人= ―14ユーロ返金とされ、またキャンセル理由は天気によると記載されています。*料金は2017年のものです |
また、以下はDCカードのWebサービスの明細見本です。左赤枠から【利用内容】次に返金額(ユーロ)最後は為替の換算レートとなります。ここでは2人分の返金で、7ユーロ×2人= ―14ユーロと言う形で口座に返金されています。 |
尚、エレベーターの他の日への振替はありませんので、どうしても登りたい場合は再度チケット(入場券付)を購入し直します。 @ |
Q. どうして雨の日や風の強い日は塔のエレベーターが休止するのですか? また、途中で雨が止んだら直ぐに動き出すのですか? A. 雨が降るとエレベーターが止まる理由はこちらをご覧ください。 また、止んでもしばらくは動くわけでなく基本的に地面が完全に乾くまで登れないと思ってください。 @ |
Q. リュックを持って登りたいのですが大丈夫ですか? A. サグラダファミリアへの入場は問題ありませんが、塔の上部は狭いために塔に登る際はエレベーター横に設置されているロッカー(無料)に荷物を預けなければなりません。 @ |
Q. 日本語オーディオガイドが自動的にチケットに付いていますが、機械の操作は簡単ですが? A. オーディオガイドの機械の操作自体は簡単で誰も問題なく使えます。ただし生誕、受難の塔の中は狭くて危険なこともあり、どちらも一切オーディオガイドでの説明を聞く場所がありません。なので、塔では無用の長物、邪魔になるだけなので塔内部を見ている間は鞄に入れておくか、塔の見学が終わった後にオーディオガイドを借りに行くと良いでしょう。 @ |
Q. 入場口からタワーに登るエレベーターまで、どのぐらいかかりますか? A. 入場の際の荷物検査を終え階段を上ったところの前方に生誕の門があり、そこを入って10メートル程先の左にエレベーター入口があり時間にすると入場してから2分程。また受難の門のエレベーター乗り口は教会の中を横切って反対側、生誕の入場口からですとこちらも徒歩約2分程にあります。詳しくはサグラダファミリア入場解説動画をご覧ください。 @ |
Q. じっくり写真をとりたいので、いつも三脚を持参していくのですが大丈夫ですか?もしダメな場合、一脚だったら可能ですか?更に質問ですが自撮り棒は大丈夫? A. 三脚並びに一脚を使った写真撮影は禁止されていて、教会内部に関わらず屋外でも使用しようものなら係員が飛んできますので使用は厳禁です。自撮り棒に関しては現時点では特に問題ありません。 @ |
Q. 午前10時の入場を考えています。塔に登って教会の中を見学を終えるとお昼ぐらいになると思うのですが、近くにお勧めのレストランはありますか? A. バルセロナではレストランが開くのは13時もしくは13:30~となります。13:30時まで待てるのでしたら創作タパスバルの「Bardeni」がお勧め。また、12時開店のピザレストランの「La Piazzenza」の2種類のピザとピンチョスは手堅い一品で、これまで行かれた方から好評を得ています。もし、それより早い時間にサクッと軽く1品食べたいなら、トルティーヤが地元スペイン人に好評の「Olé Mallorca」が午前8時から営業しているので良いかと思います。どの店もカウンターがあるので、お1人様も比較的に入りやすいでしょう。La Piazzenza以外の2軒は日、祝日、夏7月後半から8月などはお休みですので事前にHPでチエックして下さい。あと、チュロスを食べたい方は受難の門から徒歩2分に専門店があります。詳細はこの動画をご覧ください。 @ |
【サグラダファミリア教会】 世界屈指の人気観光スポットを、ガイドブック以上に詳しく徹底解説! |
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。 |
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@ | この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。。 記事最終更新 2022.12.19 |
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