モンジュイックの丘の頂上に建つ城塞、モンジュイック城をここでは紹介します。
目次
概要
1992年にバルセロナでオリンピックが開催された時、主な競技の中心となったのが市の西方にある標高184.4mのモンジュイックの丘。
また、この丘にはカタルーニャ美術館、ミロ美術館をはじめとして多くのミュージアムが点在しています。
ちなみに、このムンジュイックの語源はカタルーニャ語のMont dels Jueus(ユダヤ人の山)と言われ、実際にその墓が現存しています。
そしてその丘の頂上にあるのがモンジュイック城。
城といっても王様が住んだ豪華な城ではなく、バルセロナの町を守る役目を果たした城塞でした。
その歴史を紐解くと16世紀に監視塔として設置されたのがはじまりと言われ、その後はバルセロナ防衛のための重要な地点として現在公園となっいるシウタデリャ要塞とともに役割を担ってきました。
城塞の地下入口
敵の侵入を防ぐ、堀に掛かった跳ね橋を渡ると城の地下に | |
その先にある受付は近年整備されオシャレに | 他の博物館に比べ低料金 |
モンジィック城に着いたら、要塞を一周囲むように掘られた堀に掛かる橋から入場します。
中へ進むとそこは城のちょうど地下にあたり、いかにも要塞と言う感じの頑強な石造りの通路が現れます。
更にその先に受付がありそこでチケットを買いますが入場料の高いバルセロナの観光スポットの中では、マイナーそして市営という事もありリーズナブルな値段設定は嬉しい限りです。
尚、ネットで事前にチケット購入できますがその必要は全くありません。
展望台として
バルセロナの街が一望!
グエル公園や、ティビタボの山から見るそれとはまた違った眺めが楽しめます
監視塔だけあって眺めは抜群、城の上からはバルセロナ市が一望できます。
北はティビダボの山、西はジョブレガット川、東はまで。
晴れた日の景色は最高にきれいですので、展望台として行くのもおすすめです。
【ティビダボ】 標高512メートルの山には、遊園地をはじめテレビ塔、サグラダコラソン教会など… |
【ベソスの3煙突 】 高さが220メートルの火力発電所の煙突はバルセロナのランドマークの一つ… |
軍事施設として
さて、16世紀に簡単な監視塔としてスタートしたこの城ですが17世紀フェリッペ5世の時代になると、監視塔としてだけでなく他国の攻撃から町を守り同時に市民を制御していくための軍事的施設としての意味合いが強くなります。
その後、徐々に規模が拡大した城塞ですが戦略的な大改築が18世紀ジョアン・マルティン・セレメニョの手によって行われ、ほぼ現在私達が目にするような形に整備されました。
貯水庫
一般入場では見れず、ガイド付きのツアーでのみ見ることができるのがこの貯水庫。
他にも城塞の中に軍のための食料庫や調理場が城の地下に設置されました。
ところで、この貯水庫は戦いの最中に兵士達の飲み水の確保はもちろんですが、大砲を冷やすための水が必要だったのです。
一般には知られていませんが大砲は一度打つと熱を持ってしまい、次の弾の飛距離が落ちることから撃つたびに水で冷却していました。
尚、このときに作った貯水庫は21世紀の現在でも、モンジュイックの丘の下のポブレ・セック地区の人々に水を供給できているというから驚きです
牢獄として
ムンジュイックから砲撃されるバルセロナ
本来は他国からの攻撃を防衛する要塞でしたが、政府に対する市民の暴動が一旦起きれば制圧のためにここから町へ大砲が飛ばされました。
実際、1843年のジャマンシア反乱の際は、それを抑えるため城からバルセロナ市街を砲撃し400棟に及ぶ建物を破壊し市民に多くの犠牲が出ました。
またその後の時代には、逮捕された市民がこの地下牢に収容されるようになります。
1936年から約一年半続いた内戦(市民戦争)では、フランコ軍に反抗した政治犯たちはここで射殺されたり地下牢で過ごすことになります。
ちなみに、この時の圧政が現在に尾を引くカタルーニャ独立問題、その大きな原因の一つとなっています。
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【フランコ将軍とは?】 1936年に始まったスペイン内戦で反乱軍を指揮し勝利、その後に30年に渡り独裁政権をしいた元首で第二次大戦中はあのヒトラーを手玉に取ったことでも 知られるつわもの。また、当時より独立意識が強かったカタルーニャにおいてはカタルーニャ語の使用禁止するなど強硬な姿勢をとり、ここバルセロナでは最も 忌み嫌われる存在となっています。 |
歴史を振り返る
城塞はつい2009年まで軍管理の建物だったこともあり広場にはフランコ将軍の騎馬像また、1963年より続く軍事博物館がありましたがそれらは現在はバルセロナ市の管轄と代わり全て撤去されました。
現在は、その代わりに戦争時代の歴史展示やカタルーニャ出身のアーティストによる作品が置かれています。
歴史を越え、そして未来へ
歴史の暗い部分を担ってきたモンジィック城ですが、現在は市民のレクレーションの場として使われています。
カタルーニャの歴史が動くと共にこの城の役割も変わっていきましたが、さて未来はどうなるのでしょうか?
まさか歴史は繰り返される? であってほしくないですね。
訪問動画
アクセス(市バス)
市内からのアクセスとしては2通りあり、まず一つ目は地下鉄のスペイン広場まで行き、そこで市バスに乗り換えていくと言う方法(動画参照ください)。
この場合はバスが無料で乗り継げ、実質お金が掛からないのがポイント。
【スペイン広場】★☆☆☆☆ スペイン広場は、バルセロナ中心地へと入る西の玄関口です。空港と市内をや…. |
アクセス(ロープウエイ)
次に、地下鉄パラレル(Paral-lel)駅まで行きそこから地下鉄チケットで無料で乗り継げるフニクラと、バルセロナの絶景を見ながらゴンドラで行く方法。
ゴンドラは有料になりますが、空中散歩はかなりお勧めです。
【フニクラ】 地下鉄ハパラレル駅からモンジュイックの丘まで無料で結ぶケーブルカーは…. |
【ゴンドラ】 バルセロナの街を一望できるゴンドラで空中散歩を楽しんでみては…. |
まとめ&アドバイス
モンジュイックの頂上に建つ城。既に述べましたが城と言っても要塞だったこともあり建物自体、特に内部には何も残っておらず見どころは殆どありません。
ただその代り、街を一望できる眺めがあり、それが最大のウリとなっています。
初めてのバルセロナ旅行の方なら、ここに来る理由は全く無いと思いますが、2,3度目バルセロナ旅行で時間がある方なら一度行って損はないでしょう。
入場料金も安いですし、天気の良い日を選んでピクニックがてらに行かれることをお勧めします。
あと、多少の語学力が必要ですが、ガイドツアーに参加すると秘密の場所にも案内してくれるので歴史に興味ある人にはこちらもおすすめ。
お勧め度:7点/20点 ★★☆☆☆ |
住所 | Carretera de Montjuic, 66 【地図はこちら】 |
URL | http://ajuntament.barcelona.cat/castelldemontjuic/en |
TEL | 932 564 440 |
開館 | 10月-3月 10:00~18:00、 4月-9月 10:00~20:00 |
料金 | 一般・5€、シニア66歳、17~29歳は3€。16歳以下無料 毎週日曜15:00-から無料 毎月第一日曜は終日無料 ガイド付きツアー: 英語 毎日12:30-、15:00- (一般・10€、16歳以下5€) |
最寄駅 | 地下鉄 1 3 号線 Espanya駅からバス150番に乗り終点下車、徒歩4分。 フニクラ パルク・モンジュイック駅からロープウエイに乗り終点下車、徒歩2分。 |
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。
この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。 記事最終更新 2022.11.06 |
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