目で見ることができない”音楽”それに形を与えたら、一体どんな空間になるのか?それを実現したのが、ガウディと並びカタルーニャを代表する建築家のリュイス・ドメネク・イ・ムンタネー(Lluís Domènech i Montaner) 。
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豪華にして過剰なまでの装飾に圧倒!
目で見ることができない”音楽” それに形を与えたら、一体どんな空間になるのか? それを実現したのが、ガウディと並びカタルーニャを代表する建築家のリュイス・ドメネク・イ・ムンタネー(Lluís Domènech i Montaner) 。 @ 彼の最高傑作であるカタルーニャ音楽堂(Palau de la Música Catalana)は、ユネスコの世界遺産に登録されている建築の中でも世界で唯一つ、現在も使われているコンサートホールです。 @ 音楽堂を目指し最寄りの地下鉄駅Uruquinoanaを降り立ち歩くこと僅か1分。建物は、保護ガラスに覆われているせいで一見現代建築のように思えますが、近づくと至宝のモデルニスモ建築が目に入って来ます。また、かつての正面入り口へ回ると、歴史に残る音楽家達の彫像で飾られたバルコニーとトレンカディス(破砕タイルによるモザイク)で彩られた柱の列、そして美しい曲線を描くアーチのファザードの優美な異空間に圧倒されます。 |
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@ この音楽堂に代表されるモデル二スモ建築とは、フランスで起こったアールヌーボーに類似した、カタルーニャ独自の新しい芸術様式のことを言い、より曲線的かつ装飾的であるということに加え、カタルーニャならでは個性が盛り込まれています。 @ ところで、カタルーニャ音楽堂が建てられた1900年の初頭、その当時の時代背景はどんなものだったのでしょうか? 当時はイギリスで起こった産業革命に刺激され、カタルーニャにも産業革命が起きた時代。当時、その中心であったバルセロナでは木綿産業で莫大な富が生み出されていました。政治的にもカタルーニャ主義、文化的にもカタルーニャ・ルネッサンスが唱えられていたこともあり、豊かな経済力を後ろ盾に、自分達の伝統やアイデンティティへの関心が高まり、結果この地に独特のモデル二スモ様式が育まれます。 @ もともとこの音楽堂は、ウルフェー・カタラーという、カタルーニャの伝統音楽を歌う合唱団のために建てられたもので、当時の合唱団はプロの音楽家ではなく、その頃バルセロナに多かった紡績工場で働く職人や労働者の人々がメンバー。そして、彼らの住まいが集まるのがこの地区だったこともあり、今のような奥まった場所に音楽堂ができたと言う訳で、当時は社会の足下からカタルーニャ主義の機運が高まっていたことが伺えます。 |
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【リュイス・ドメネク・イ・ムンタネー】 カタルーニャを代表する建築家で、当時はガウディよりも人気があったと言われる巨匠。 世界遺産の「サン・パウ病院」を初めとして数々のモデルニスモ建築を現在に残しました。 また、ガウディはバルセロナ建築学校の教授時代の教え子の一人としても知られています。 |
音楽堂の守護神、聖人サン・ジョルディ
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建物を詳しく紹介すると、まずこの外部。ムンタネーは、建物自体の角が鋭角であるために全体を船に見立て、かつての正面入り口、船首にあたる角に騎士サン・ジョルディの彫刻を配置しました。この守護神のテーマは当時の流行でもあったのです。また、トレンカディスが美しい太い柱は、かつての切符売り場窓口。今でも係の方が座っていて、可愛らしいこの窓から中が覗くことができます。 |
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【サン・ジョルディの伝説】 王女がドラゴンにとらえられ、生贄にされるところを、白い白馬に乗ったサン・ジョルディが現れドラゴンを退治、その時の剣の一刺しによって流れたドラゴンの血から薔薇が咲き、サン・ジョルディは、その中で最も美しい薔薇を手折り、永遠の愛のシンボルとして王女に贈ったと言われています。 @ |
鉄骨構造にステンドグラスや破砕タイルを使い命を吹き込んだムンタネー
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@ 音楽堂は、当時の最先端技術であった鉄骨構造体でできています。 外壁に用いられたレンガ、それにはめ込まれた大きな面積のステンドガラスのおかげで、自然光が建物の中へ降り注ぎ、それはまるで花盛りの庭園であるかのよう。 @ またもう一つの特長は、その装飾。建物の内外を飾る、セラミックで形どった 花々の彫刻や柱一面を彩るモザイク。素材の種類が増えるほど建設作業は複雑になるにも関わらず、細部に至る入念なスケッチを残すほどドメネク・ムンタネーは完成の確固たるイメージを持っていました。鉄骨構造にありがちな冷たさはなく、そこには植物のモチーフから命を育むような明るい希望が伝わります。 |
幻想の世界にタイムスリップ
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@ ここからはムンタネーのこだわりが細部に散りばめられた、豪華絢爛な内部を見てみましょう。 @ 内部天井に張り詰められたタイルは色鮮やかで、温かく包み込まれる幻想的な世界を実現しています。また建物を彩る花のモチーフの中でもバラが多いのは、 守護神のサン・ジョルディがドラゴンから守った王女にプレゼントしたた花が、バラだったというところから来ています。 |
天井から降り注ぐ光の雫
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@ 地上階のカフェテリアを通ると、客席ホールに続く階段へ続きます。階段の柵は鉄を螺旋状にねじり、ガラス管で覆った当時としては非常に斬新なデザイン。ここにもバラの装飾が施されています。 @ @ |
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@ そして誰もが息をのんでしまうのがここ。客席からコンサートホール全体を望むと、天井には光の大きな雫にも似た、太陽をシンボルとしたステンドグラス。日中に訪れると、その光に宇宙の広がりさえ感じます。 さらに舞台左側には、カタルーニャの100以上の合唱団を指導したAnselmo Clavéの彫像と、天井まで大きく伸びた柳の木の彫刻。その根元には三人の女性のコーラス隊。中でも、この大木の存在が建物全体に漂う物語性をいっそう高めま す。そして右側にはベートーベンの彫像、そしてワーグナーの「ワルキューレ」楽曲のシンボルである騎士像。 ちなみに、かつてはホールの上階はアパートメントになっており、音楽堂の創始者の一人であり、ウルフェー・カタラー合唱団の長年の指揮者でもあった Lluís Milletが住んでいました。舞台の真上にある丸い吹き抜けの空間はMilletのバルコニーに通じており、いつでも演奏を聴けるようになっていたそ うで、身も心も音楽に捧げた人物にふさわしい住まいでした。尚、現在は音楽堂財団のオフィスとなっています。 |
壁一面に広がる女神が奏でる音楽
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壁に埋め込まれたようにも見える.. | 女神たちは、少々不気味 |
@ 舞台の背景を飾るのは、中央にカタルーニャ国旗。そして半円形のカーブの壁に沿って、並ぶのは音楽の女神達。世界の様々な楽器を演奏する彼女達からは、音楽そのものの普遍性や多様性が見事に表現され、建築家ムンタネーが音楽に抱いていた想いが伝わります。 |
ガラス窓越しに見るモザイクの柱
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@ コンサー トの時間帯に開放されている事は少ないですが、ガイドツアーで案内してもらえる幕間の休憩室。ステンドグラスがよく映える壁の二面がガラス張りで、バロック、モデルニスモ、ムデハルと幾つもの様式が統合された空間。バルコニーの柱は全て異なる色彩とデザインと言う凝りようで、ずっと眺めていても飽きる事がありませ ん。 |
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【ガイドツアーVSコンサートどっちがお勧め】ツアーに参加せずともコンサートへ行けば一石二鳥って本当?徹底比較検証しました! |
最後は世界遺産のカフェテリアでお茶はいかかがでしょうか
@ 併設された1階のバルでも素晴らしい装飾が見られます。 カウンターにはピンチョスが並んでいて見学の後に簡単に食べるのに最適。ちなみにこのバルは、コンサート来場者でなくとも利用出来ます。世界遺産でカフェって最高ですよ! @ また、徒歩2分のところに日本人にも人気のチュロス屋さんがあるので、見学ツアーの前後に行ってみるのもお勧めです。 @ |
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【Churreria Laietana】 世界遺産カタルーニャ音楽堂から徒歩で2分ほどにあるチュロス専門店。値段もお安く、また揚げたてを皆に食べてもらいたいと頑張るおじさんがいるお勧め店です。 |
フォトムービーを作ってみました 【PCの方は全画面表示でご覧ください】
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【カタルーニャ音楽堂、主要観光スポット間のアクセス一覧】
【カタルーニャ音楽堂 ➡ グエル公園シャトルバス乗り場】 | |
【カタルーニャ音楽堂 ➡ カサ・バトリョ】 | |
【カタルーニャ音楽堂 ➡ カサ・ミラ】 | |
【カタルーニャ音楽堂 ➡ サグラダファミリア】 | |
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お勧め度:19点/20点 |
住所 | Palau de la Musica, 4-6 【地図&行き方】 |
URL | http://www.palaumusica.cat/en |
電話 | 93 295 72 00 |
時間 | 毎日10:00〜15:30、イースター、7月10:00〜18:00、8月9:00〜20:00 |
料金 | 一般€20、学割・シニア€16、10歳以下無料 オンラインの事前購入の際は手数料が+2€、またシニア学生割引は窓口購入のみ。 |
最寄り地下鉄 | L4 号線Urquinaoa駅から 徒歩約1分 |
所要時間 | 見学ツアー:55分 |
By | ![]() |
オフィスHILL 2015.02.18 作成 2020.10.30 最終更新 |
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