目次
はじめに
スペイン最古の企業として知られるのが、CAVAを作るコドルニウ社。その創業は16世紀1551年、日本はその頃戦国時代の真っただ中で、あの織田信長が17歳の年です。
創業時は一地方の小規模ワイナリーに過ぎなかったコドルニウ、それが成長するきっかけとなったのは1659年コドルニウ家の娘アナと、資産家ラベントゥス家のミケルが結婚、その後急速に拡大していきました。ちなみに、現在のオーナーファミリーの姓はラベントゥスで、「コドルニュウ」と言うのは商標として受け継がれています。
二人の結婚を契機に成長したコドルニュウが、更なる成長を遂げたのは1872年その当時の当主のホセ・ラベントウスによりCAVAの生産を開始したことによります。
ただ当初はその品質がイマイチなこともあり販売も伸びませんでしたが、息子のマヌエルがフランスで学び、本場仕込みの高品質CAVAが作られるようになりました。
現在、年間生産量は約2億本でスペイン第2位。1位のフレシネ社には僅かに及びませんが、CAVA以外にもワインのRaimatブランドを擁するコドルニュー社は、ヨーロッパで最大規模のワイナリーと知られています。
現在、世界100か国以上に輸出、醸造所はスペイン国内に留まらずサンフランシスコ、遠く南米アルゼンチンまで11か所を数えます。日本ではメルシャンワインが代理店となって販売していますので、すでに飲まれた方がおられるかも知れません。
今回ここでは、コドルニュ―社のワイナリー見学ツアーの紹介と行き方や予約方法を紹介します。
サンツ駅から行く
起点は、バルセロナの中央駅のサンツ駅から。
【サンツ駅 Barcelona Sants】 バルセロナ最大のターミナル駅で、国際列車、マドリッドへのAve、グラナダへの….. |
目的地のサンサドルニダアノイア(Sant Sadurni d’Anoia)へ行くには、R4号線のビラフランカ・デル・ペネデス(Vilafranca del Penedes)または、サント・ビセンク・デ・カルデルス(Sant Vicenc de Calders)行きに乗車する。
だいたい7もしくは8番ホームからの出発が多いですが、構内にある右の案内で確認してください。
所要時間は約45分で一時間に2本。*7,8番ホームはエスカレーターを下りた同じホームの左右に位置します。
時刻表はこちらで確認
(注意)
電車は遅れることがよくあります、場合によっては後ろの電車が抜いてしまって先にホームに入ることがあります。なので、一度確認したからOKと思わないで電車が来るまで良く案内のモニターを見ていて下さい。
自販機での切符の買い方
購入したチケットには行先は書かれておらず、代わりに左上にゾーン①➡④と書かれています。
50、100€の高額紙幣は使えませんので注意。
また、慣れない券売機に手間取ることもありますから、サンツ駅には早めに着くようにしましょう。
駅からはタクシー移動
駅からコドルニュウまで歩くと30分少し掛かり、バスなどの公共交通はなく、唯一の交通手段と言えるのはタクシーとなります。
タクシー乗り場は駅を出た右手(赤丸)その前に停まっている黒い車がタクシーです。村に数台しかないので、もし停まっていない時は電話で呼んで下さい。
料金は片道15€程で所要時間は10分弱。帰りのタクシーは、コドルニウのレセプションの人に言えば呼んでくれます。
尚、タクシーの呼び出し電話は以下。全て個人タクシーでドライバーは簡単な英語なら通じますし、カタカナ読みで「コドルニウ」と言えだけで通じ連れて行ってくれます。
ドライバ名 | 電話番号 |
村のタクシー代表 (固定電話) | 93 891 04 28 |
Juan Cusco Carda (ファンさん) | 610915353 |
Albert Pujadó Ferrer (アルベルトさん) | 639375129 |
Angel Pujado (アンヘルさん) | 619 333 339 |
周り一面ブドウ畑
駅から10分弱、ワイン畑を進むと目的のコドルニウに到着。門は通常閉まっていますが、左横に通用口があるのでそこから中へ入ってください。
次に、入った右の建物(写真下)へ向かい受け付けをします。
帰りでも良いですが、時間があれば一面に広がるワイン畑で記念撮影するのもお勧め。
受付はモデルニスモ建築
ガウディと並び称されるモデルニスモ建築の巨匠、プッチ・イ・カダファルクがモンセラットの山をモチーフに作った建物が見学ツアーの受付場所です。
まずは、この受付でチェックイン(?)をし、入場料を支払います。すると、訪問客を示すリストバンドが渡されますので、見学が終わるまで腕に付けておいて下さい。
*リストバンドは渡されない日もあり、その辺りはスペインなのでいい加減ですが…
ツアー開始時間までは、ソファーで休んで待ちますが建物内の奥にある併設のカフェでコーヒーを飲んだり、カバを飲んだりして適当に時間をつぶすのも良いでしょう。
カフェには生ハム、ソーセージやチーズなど簡単なつまみもあります。
尚、開始が近づいたら受付付近に集まって下さい。
【ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク】 ガウディ、モンタネールと並び地元カタルーニャを代表する称され建築家の一人。その代表作としては「カサ・アマトリエール」「カサ・マルティ」「カサ・プンシャス」などが知られまう。 |
|
作風としては中世ゴシックの様式を取り入れたデザインが多く、同じモデルニスモでもガウディとは一線を画しています。 |
ビデオから始まるツアー
ツアーの最初に約7分ほどのビデオ上映があり、コドルニウの歴史などの簡単な解説があります。
ビデオを見終えた後は、ガイドさんに連れられワイナリーを周ります。
屋敷跡
途中に見える白い塔のある家、これも建築家のプッチ・イ・カダファルクの作品です。
以前はオーナー家族が住んでいましたが田舎暮らしに飽きたのか、現在は楽しいバルセロナ暮らし。尚、この家の注目すべきは屋根がなぜか中国風になっていたり、建物の一部が昔のブルジョアの屋敷によく見られた家族用の礼拝堂(赤丸)があったりします。。
*ガウディが作った世界遺産のグエル邸にも、この様な家族向けの礼拝堂がありました。
博物館
ワイナリーの敷地を歩いて、今度はガイドさんの説明を受けながらCAVAが出来るまでの工程を、この博物館と地下の貯蔵庫で見学します。
今はもう使われていませんが、この建物で昔は醸造がおこなわれていました。尚、ここで面白いのはコドルニウで実際に使われるぶどうの香りを試す体験コーナーがあるところ。(現在、休止中)
【ブドウの種類】
カバの材料となるブドウは全部で7種類ほどですが、その中でも主力はカタルーニャ独自の白ぶどう品種「マカベオ」、糖度の豊な「チャレロ」、上質な酸味がある「パレリャーダ」の3品種が基本になります。
それぞれの配合を変えることにより、いろいろなラインナップを揃えています。
ここで、簡単にカバの工程を説明すると・・・ |
1. | 収穫 | 8月下旬から10月上旬までブドウの品種によって収穫 |
2. | 搾汁 | 皮ごと空気圧搾器で搾汁し、ぶどうジュース「モスト」を作る |
3. | 一次発酵 | モストに酵母を加えて一次発酵させる |
4. | ブレンディング | 味を決める1番重要な作業。ぶどうの品種ごとに発酵させたワインを品種の違いや年ごとのぶどうの作柄を考慮してブレンドする。
そして、1本ずつ瓶詰し、2次発酵用の酵母と蔗糖を加えて王冠で仮栓 |
5. | 2次発酵・熟成 | 瓶内では酵母により糖分が分解されアルコールと炭酸ガスが発生。地下セラーでゆっくり熟成させる。
地下で熟成させるのは、年間を通して15度前後と言う一定の気温に保たれていること、振動が少ない事、光が差さない薄暗い中にあるという3つの理由から。 |
6. | 動瓶 | 二次発酵・熟成を終えたカヴァは発酵によって生じた澱を取り除くため、瓶口を下にして澱を瓶口に集めていく。 |
7. | 澱抜き | 澱が集まった瓶口を-24℃の冷却液に浸すと澱を瞬時に凍り、仮栓の王冠を抜くと瓶内の炭酸ガスの圧力で凍った澱が外に「ポン!」と飛 び出す。
コルク栓とラベルを張って出荷。 |
もっと詳しく知りたい方はコドルニウのHPへ |
【以前はシャンパンと呼ばれていたCAVA】 1992年にEU法でシャンパーニュ地方のシャンパンが原産地名称保護制度の地理的保護表示の対象となりました。以降シャンパンと同じ製法で作っていてもスペイン産スパークリングワインは「シャンパン」と名乗ることが出来なくなりました。 |
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同じ和牛でも松坂で育った牛以外は松坂牛と名乗れないそれと同じと言うことですね。
*CAVAとラベルやコルクに記載することが出来きるのは、厳格なDO(原産地呼称)規定に基づいて作られたものだけです。 |
ツアー最大のアトラクション
このツアーの最大の見せ場と言えるのが、地下に掘られたカバの貯蔵庫めぐり。
地中を網の目に掘られたトンネルは7層からなりその総延長距離は30キロ以上。
なんと東京から横浜の距離に匹敵し、その狭いトンネル中を暴走するトロッコ列車は迫力満点!
お待ちかねの試飲タイムで〆
見学ツアーの〆は、お待ちかねのCAVAの試飲会。ここではBurt(白)とRosado(ロゼ)再び白の3種を試します。
ちなみにツアーだからと言ってせこく廉価版のカバではありませんし、注ぎも良いのがさすがスペイン。
あと、つまみはチョコだったりチーズの盛り合わせだったりが付いてきます。
ショップでお土産探し
コドルニウで作られている製品が一堂に並ぶショップ。
カバはもちろんですが、Raimat ブランドをはじめとしたコドルニウグループで作られるワインもあり、購入の際は選ぶのに目移するほど。さすが世界に展開しているワイナリーだけのことはあります。
さて、お土産ですがカバは一本が2キロ近い重さと、昔と違い日本のインポーターが増えたせいか楽天などでかなり安く買えますので、ベンジャミンボトルと呼ばれる飲みっきりサイズのミニボトルが無難なところでしょうか。
もし自分、家族用と1,2本ボトルで買われるのでしたら、せっかくですからバルセロナのスーパーで普通に買える物ではなく例えば「Jaume Codorniu Gran Reserva」や「Reina Maria Cristina Blanc de Noris」などの高級版がお勧め。
ちなみに高級版と言っても30€程で、高級ワインに比べたらCAVAは全然安い。
尚、人それぞれ好みが違いますので、ツアーの受付横にあるカフェで全種類のCAVAがグラスで飲めますので、一度そこで一杯飲み比べて、お土産用のCAVAを選ぶのも良いかと思います。
また、日本へはお土産として写真右のカバの栓 5ユーロなんかもお勧めで、シリコン製とステンレス製があります。
あと、よく聞かれる日本への宅配ですが、商品の値段の3倍程かかるので買って送るメリットはコスト的には殆どありません。
また、既に日本のインポーターにより輸入されているものも多く、その場合は日本の楽天などで買う方がよっぽどお安くなります。
更にワインボトルに比べ、肉厚なCAVAのボトルは重く、スーツケースで1,2本が限度と思って下さい。
コドルニウのHPから予約
見学ツアーの予約は以下のHP(英語)から申し込むことができます。
(http://www.visitascodorniu.com/booking-codorniuvisit-date/
ツアーは幾つものタイプがありますが基本になるのは【ICONIC TOUR】で言語は基本的に英語、スペイン語、カタルーニャ語の三つですが、ツアーのタイプ、また言語により開始時間が違いますのでHPで確認ください。
日本人が参加しやすいのは15時半の英語ツアーです。
試飲のCAVA3杯に所要時間は90分程。
まとめ&アドバイス
地下のワインセラーは長大なもので、他では見れないもので見応えたっぷり。
バルセロナのみならず、スペインのワイリナリー見学ではベストかと思いますし、近隣のフレシネやトーレスのワイナリー見学より見応えは数段上。
ただ、バルセロナからは電車で行けますが、降りた駅からのアクセスはタクシーのみで、また電話でタクシードライバに連絡して駅まで来てもらうのが非常に不便、それが最大の難点です。
最後にアドバイスとしては、春から秋の観光シーズン中の英語ツアーはけっこう混みます。
なので、予約はなるべく早めに入れておくことをお勧めします。
【弊社広告】
アクセスに難があるコドルニウ、専用車でホテルまでお出迎え、お送り。途中は当サイトを運営する経験豊富なカミムラが同行しますので安心、また英語が不得意な方でも日本語で説明いたしますのでご安心ください。
【厳選、お勧めオリジナルツアー】 ホテルまでの送迎がついているのでドアツードアで安心、そして楽ちんの欲張りツアー。 |
お勧め度:★★★★☆(4.0) |
住所 | Avda Jaume de Codorníu s/n Sant Sadurní d’Anoia 【地図はこちら】 |
URL | http://www.visitascodorniu.com/en/ |
電話 | +34 938 913 342 |
時間 |
英語ツアーは 15:30(季節により微妙に変わります、HPで確認下さい) |
料金 | 一般:29€ 8歳~17歳:21.75€ 66歳以上:23.30€ 子供8歳未満:無料 |
行き方 | バルセロナ・サンツ駅または、カタルーニャ広場駅からR4号線に乗りサンサドルニ・ダ・ノイア(Sant Sadurni d’Anoia)で下車 |
所要時間 | ツアーは約105分 |
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。
この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れバックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。 記事最終更新 2024.02.14 |
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