
暑い夏、スペインの街を歩いていると、涼しげな布製の靴を履いた人をよく見かけます。
この靴はスペイン語で「アルパルガタ(alpargata)」と呼ばれ、日本ではフランス語の「エスパドリーユ」という名前で知られています。軽くて蒸れにくく、天然素材を使った環境にやさしい履物として、現在ではスペインだけでなく世界中で人気があります。
今回は、バルセロナ旧市街にある老舗のアルパルガタ専門店「La Manual Alpargatera(ラ・マヌアル・アルパルガテラ)」を紹介します。
観光客向けの土産物店というより、今も昔ながらの製法と職人仕事を受け継ぐ店。定番の素朴なデザインから、街歩きにも使える色鮮やかなものまで、さまざまなアルパルガタがそろっています。
はじめに
アルパルガタの大きな特徴は、天然素材を中心に作られた、軽く柔らかな履き心地です。
靴底にはジュートなどの植物繊維を編み込んだ素材が使われ、足を包む甲の部分には帆布や木綿などが用いられています。汗をかく夏でも比較的蒸れにくく、足になじみやすいため、乾燥したスペインの暑い季節によく似合う履物です。
現在では、夏のファッションに欠かせないおしゃれな靴として知られていますが、もともとは農作業や日常の労働で履かれていた庶民の作業靴でした。丈夫で作りが簡単、そして高価な革靴に比べて手に入れやすかったことから、農村を中心に長く使われてきました。
その実用的な履物に色やデザインを取り入れ、街中でも履けるファッションアイテムとして広めてきた店の一つが、1940年創業の「La Manual Alpargatera」です。
店内には昔ながらの素朴なアルパルガタだけでなく、カラフルな布地を使ったもの、足首にひもを巻くタイプ、ヒールの付いた女性向けなど、さまざまなデザインが並びます。
伝統的な作業靴を、現代の服装にも合わせられる夏の靴へと発展させたことで評判を呼び、現在では地元の人だけでなく、世界中から旅行者が訪れるバルセロナの人気店となっています。
棚いっぱいに並ぶアルパルガタ

店内へ足を踏み入れて、まず目を奪われるのが、壁一面を埋め尽くす大きな収納棚です。
天井近くまで細かく区切られた棚には、色や形、サイズの異なるアルパルガタがぎっしり。遠くから見ると靴店というより、昔ながらの工房に残された巨大な標本棚のようにも見えます。これだけ多くの靴が整然と収められている光景は、この店ならではのものです。
棚に並ぶのは、平らなジュート底に布を縫い付けた伝統的なタイプを中心に、ひもを足首へ巻き付けるものや、サンダル型などさまざま。希望する色やサイズを伝えると、スタッフが棚の中から合う一足を探し出してくれます。
一方、ヒール付きや現代風にアレンジされたデザイン、カラフルな布地を使った商品などは、店内の別の場所にも展示されています。昔ながらの素朴な作業靴から、普段の洋服に合わせやすいファッション性の高いものまで、選択肢は意外なほど豊富です。
店の奥には今も工房が

さらに店の奥へ進むと、職人がアルパルガタを作る作業スペースがあります。
木製の作業台に向かい、布地と靴底を合わせながら、一足ずつ手作業で仕上げていく様子を見ることができます。販売スペースのすぐ奥で実際に靴が作られているため、単なる靴店ではなく、現在も職人仕事を続ける工房であることが実感できます。
棚から靴を選び、その奥では職人が次の一足を作っている。商品だけでなく、昔ながらの店の仕組みと製作の現場まで見られることが、La Manual Alpargateraの大きな魅力です。
世界中から訪れる客

La Manual Alpargateraは、地元バルセロナの人だけでなく、世界各国から旅行者が訪れる人気店です。
特に夏の観光シーズンには、小さな店内がたちまちお客さんでいっぱいになります。静かな老舗を想像して訪れると、その混雑ぶりに少し驚くかもしれません。
試着したいアルパルガタの目星がついたら、まず店の奥にあるレジで番号札をもらいましょう。なんと、靴屋で順番待ちです。

入店した時点ですでに多くの人が待っている場合は、商品をゆっくり見るより先に番号札を取っておくのが賢明です。店内を見ている間にも順番は進むので、気になるデザインや色を探しながら待つと時間を無駄にしません。

自分の番号が呼ばれたら、希望するデザインとサイズを店員さんに伝えます。商品は壁一面の棚に収納されているため、店員さんが該当する一足を探して持ってきてくれます。
靴を受け取ったら、歴史を感じさせる木製ベンチに腰掛けて試着します。アルパルガタは布製で足になじみやすい一方、形によって幅や甲の締まり具合が異なるため、普段の靴と同じサイズだけで決めず、必ず実際に履いて確認した方がよいでしょう。
少し歩いてみて、かかとが抜けないか、つま先が当たらないかも確認します。気になる場合は遠慮せず、前後のサイズを出してもらって履き比べてください。
日本人旅行者も多く訪れるため、店員さんは外国人客への対応にも慣れています。英語を交えながら、色やサイズの違う靴を何足か試すこともできます。混雑時は多少待ちますが、慌てず自分の足に合った一足を選びましょう。

お勧めはこれ!

初めてアルパルガタを買うなら、まずおすすめしたいのが、昔ながらのシンプルなタイプです。
無地の帆布を使った定番モデルは、服装を選ばず、男性でも女性でも履きやすいデザイン。色の種類も豊富で、鮮やかな青や赤から、黒、生成りなどの落ち着いた色までそろっています。
価格は12ユーロほどからと手頃で、子ども用から女性用、男性用までサイズ展開も幅広いため、家族でそれぞれ気に入った色を選ぶこともできます。軽くてかさばらないので、スペイン旅行のお土産として持ち帰りやすいのも魅力です。
店内の商品は、一般的なタイプなら30ユーロ前後が中心。刺繍や装飾など手の込んだものでも、50ユーロ前後で購入できます。
なかには、ガウディの作品を思わせる色や模様を取り入れたデザインもあります。価格は35~50ユーロほど。普通のアルパルガタに比べると少し高くなりますが、バルセロナ旅行の記念になる一足を探している方にはよいでしょう。
ただし、デザイン性の高い商品は、服との組み合わせが少し難しいこともあります。長く普段使いしたいなら、最初の一足は無地や落ち着いた色を選ぶのが無難です。
店内で働く女性スタッフが履いていたのは、足首をストラップで固定するシンプルなサンダル型。派手さはありませんが、実際に履いている姿を見ると、足元がすっきりしていてなかなか素敵です。
黒や茶色など合わせやすい色があり、取材時の価格は24ユーロほどでした。毎日店内で履いていることを考えると、見た目だけでなく、履き心地もよいのでしょう。
商品数が多すぎて何を選べばよいか迷ったときは、スタッフが実際に履いている靴を参考にしてみるのも、一つの選び方です。
取り扱い説明書

水に弱いので、雨の日は履かないようにしましょう。また、濡れた際や洗う場合は上記を参考にしてみて下さい。
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動画でも解説
まとめ&アドバイス
La Manual Alpargateraは、単にアルパルガタを販売するだけでなく、店の奥で職人が一足ずつ仕上げる昔ながらの工房です。壁一面に靴が詰まった棚や、使い込まれた木製ベンチなど、店内そのものにも老舗らしい雰囲気があります。
定番の無地から、ストラップ付き、ヒールタイプ、刺繍入り、バルセロナらしい華やかな柄まで、商品の種類は豊富。価格も比較的手頃で、軽くてスーツケースの場所を取らないため、スペイン旅行のお土産としても向いています。
ただし、人気店だけに夏の観光シーズンはかなり混雑します。入店したら、まず番号札が必要かを確認し、待っている間に好みの形や色を探しておくと効率的です。ゆっくり選びたい方は、開店直後など比較的空いている時間を狙った方がよいでしょう。
アルパルガタは布製で柔らかく見えますが、形によって幅や甲の高さがかなり異なります。普段履いている靴のサイズだけで決めず、必ず両足で試着し、店内を少し歩いて確認してください。かかとが浮かないか、つま先が当たらないか、ひもやストラップが足に食い込まないかも大切です。
また、ジュートなどの植物繊維を使った靴底は、水や雨にそれほど強くありません。濡れた石畳や雨の日に履く靴というより、乾燥した夏の日に楽しむ履物と考えた方がよいでしょう。
旅行中にそのまま履いて歩きたいところですが、履き慣れていない状態で長時間歩くと、足が擦れることもあります。最初は短時間から試し、心配なら絆創膏を持っておくと安心です。
世界中から旅行者が集まる有名店ではありますが、今も職人の手仕事が見えるところが、この店の一番の魅力です。流行だけを追った靴ではなく、スペインで昔から履かれてきた夏の一足を探したい方は、ぜひ立ち寄ってみてください。
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お勧め度:14点/20点 |
| 住所 | Carrer Avinyó, 7 【地図はこちら】 |
| URL | http://lamanualalpargatera.es/?lang=en |
| Tel | 933 010 172 |
| 営業時間 | 月〜土 9:30 – 13:30 , 16:30 – 20:00 (土曜の午前中は10:00から) 定休日: 日、祝 |
| 最寄駅 | 地下鉄 L3 号線Liceu駅から徒歩3分または、地下鉄 L4 号線JaumeⅠ駅から徒歩5分 |
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@ | この記事を書いた人:アキモト 日本で社会人を経験後マドリッドへ大人の語学留学。海のあるバルセロナへ移住後、バルセロナウォーカーにて情報を発信しています。最終更新 2026.07.13 |
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