
目次
はじめに
日本では、イオンをはじめとする大型商業施設が、特に地方を中心に大きく広がっています。買い物だけでなく、映画館、レストラン、フードコート、子どもが遊べるスペースなどがひとつにまとまっているため、家族連れを中心に人気があるのも当然でしょう。
これはスペインでも同じです。大型ショッピングモールは、買い物、食事、映画、子どもの遊び場などが一カ所に集まっているため、非常に便利です。特に車社会の郊外では、週末に家族で出かける場所として定着しています。
ただし、その一方で、昔からあった街の商業の形を大きく変えてしまったのも事実です。郊外の大型モールに客が流れることで、町の中心部にあった個人商店が閉店し、かつて地元の店と住民の間にあった生活のコミュニティーが失われていくという問題もあります。地方では、単なる商業の変化にとどまらず、地域文化の衰退につながっている面も否定できません。
幸い、バルセロナのような大都市では、市内中心部に大型モールを建設するための土地を確保するのが難しいこともあり、旧市街や中心部には今でも個人経営の店が多く残っています。グラシア通りやランブラス通り周辺だけでなく、各地区の商店街にも、昔ながらの店や地元密着型の商店がまだまだ健在です。
とはいえ、近年はバルセロナ市郊外を中心に大型ショッピングモールが次々と造られてきました。特に2000年前後からの不動産バブル期にはその流れが加速し、現在ではバルセロナ市内および周辺に、数多くのショッピングモールが点在しています。
ショッピングモールには、街の個性を薄めるという問題もありますが、旅行者にとっては使い方次第で非常に便利な存在でもあります。
天気が悪い日、暑さや寒さを避けたい日、トイレを安心して使いたい時、子ども連れで少し落ち着いて過ごしたい時、あるいはお土産や日用品をまとめて買いたい時など、ショッピングモールはかなり役に立ちます。
そこで今回は、日本からバルセロナへ旅行で来られる方でも利用しやすい、市内中心部または中心部から比較的アクセスしやすい主要ショッピングモールをピックアップし、それぞれの長所と短所を現地目線で比較してみました。
観光の合間の買い物、雨の日の過ごし方、子ども連れ旅行、トイレ休憩などの参考にしてください。
位置関係
まず、バルセロナ市内および近郊には多くのショッピングモールがありますが、そのすべてが旅行者向きというわけではありません。
郊外にあり市内中心部から遠く、車がない旅行者にはアクセスしにくい場所や、規模が小さく、わざわざ旅行中に行くほどではないモールを除くと、候補は以下の5つに絞られます。
今回は、バルセロナ旅行中でも比較的利用しやすい主要ショッピングモールとして、この5カ所を取り上げます。場所については、下の地図を拡大してご確認ください。それぞれローマ字と色で印を付けていますので、位置関係をつかむ際の参考にしてください。
5つのモール

【グロリアス ショッピングモール】(A)
1995年オープンのバルセロナでも初期に出来た大規模ショッピングセンター。
他と比べて比較的庶民地区にあるモールで店舗数は全部で166、駐車可能台数3,000。2001年に大幅にリニュアールされました。

【ディアゴナル・マル ショッピングモール】(B)
2001年にバルセロナの新開発地区にオープンした、ショッピングセンター。
合計三つのフロアーの敷地総面積約100,000平米、店舗数は240で駐車可能台数5,000台とバルセロナでも屈指の規模を誇ります。

【マレ マグナム】(C)
バルセロナの港「ポルト・ベイPort Vell」が再開発されたベイエリア地区にある大型ショッピングセンター。
水族館、アイマックスシアターなどがあり、アクセスが良いこともあり観光客、また日曜は地元スペイン人達で賑わいを見せます。

【ラス・アレナス ショッピングモール】(D)
1900年に作られた闘牛場ですが1977年6月を最後に長らく閉鎖されていた闘牛場ラス・アレナス。
2011年リニュアールオープンした最も新しいショッピングモールで屋上からモンジュイックの丘が見渡せ、開店時に話題になりました。

【リージャ・ディアゴナル ショッピングモール】(E)
1993年バルセロナに最初に出来た大型ショッピングモールは、商業施設とオフィス、ホテルも含む大型複合ビルとなっていてます。
周辺にはバルセロナの大手企業のオフィスがありランチ時には多くのビジネスマンを見かけます。
モールを比較
比較1.アクセス


まずは、旅行者にとって一番重要なアクセスのしやすさで比較します。
1位は マレマグナム です。地下鉄駅からは少し歩きますが、バルセロナ一番の繁華街であるランブラス通りの延長線上にあり、旧市街観光や港周辺の散策のついでに立ち寄れるのが大きな利点です。わざわざショッピングモールだけを目的に移動しなくてもよいという点で、旅行者には最も利用しやすい場所と言えます。
2位は ラス・アレナス です。モンジュイック観光の起点となるエスパーニャ広場に面しており、地下鉄やバスの便も良好です。また、モンセラットやコロニア・グエル教会へ行く際の起点となるエスパーニャ駅に隣接しているため、郊外観光の前後に利用しやすいのも強みです。
3位は グロリエス です。サグラダ・ファミリアから地下鉄で約10分ほどの場所にあり、エンカンツ蚤の市や、バルセロナのランドマークのひとつであるアグバルタワーも近くにあります。周辺の観光スポットはややマイナーですが、それらと組み合わせれば、旅行者でも十分利用価値があります。
一方、ディアゴナル・マル は地下鉄駅から徒歩3分ほどと駅からのアクセスは悪くありません。ただし、バルセロナ市の東端に位置しており、中心部からは距離があります。そのため、観光の合間に気軽に立ち寄るというより、海沿いやフォーラム地区に行く予定がある場合に利用するモールと考えた方がよいでしょう。
リージャ・ディアゴナル は、周辺に旅行者向けの観光スポットが少なく、最寄りの地下鉄駅からもやや距離があります。地元の人には便利なモールですが、日本からの旅行者が限られた滞在時間の中でわざわざ訪れる場所としては、優先度は高くありません。
比較その2.規模


次に、ショッピングモールとしての規模を比較します。
規模の面で最も大きいのは グロリエス です。敷地全体が広く、ショップ、飲食店、映画館、スーパーマーケットなどがまとまっており、今回取り上げる5つの中では最もスケールの大きいモールと言えます。
2位は ディアゴナル・マル です。こちらもかなり大きなショッピングモールで、ファッション、雑貨、レストラン、フードコート、大型スーパーなどがそろっています。中心部からは離れますが、買い物目的で行くなら十分な規模があります。
3位は リージャ・ディアゴナル です。グロリエスやディアゴナル・マルと比べるとややスケールは落ちますが、モールとしては十分な規模があり、ショップや飲食店も一通りそろっています。観光客向けというより、地元の人が日常的に利用するモールという印象です。
マレマグナム は、港の埋立地にあるウォーターフロント型のショッピングモールということもあり、上記の3つと比べると規模は大きくありません。観光ついでに立ち寄るには便利ですが、本格的に買い物をする大型モールというより、港周辺の観光施設のひとつと考えた方がよいでしょう。
ラス・アレナス は、もともと闘牛場だった建物を改装して造られたモールです。そのため、建物の形や床面積に制約があり、規模の面では他のモールに比べて見劣りします。ただし、屋上からの眺めや建物そのものの面白さがあり、単純な大きさだけでは測れない魅力があります。
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比較その3.店舗数

店舗数で見ると、最も充実しているのは ディアゴナル・マル です。ショップ数はかなり多く、ファッション、雑貨、家電、レストラン、フードコート、大型スーパーまで一通りそろっています。純粋に「買い物をする場所」として考えるなら、今回比較する5つの中では最も店舗数が多く、選択肢も豊富です。
2位は グロリエス です。こちらも店舗数は多く、モール全体の規模も大きいのですが、場所によっては空きテナントが目立つエリアもあり、広い床面積を十分に生かし切れていない印象があります。それでも、買い物、食事、映画、スーパー利用まで考えると、総合的には十分使えるモールです。
3位は リージャ・ディアゴナル です。ディアゴナル・マルやグロリエスと比べると店舗数ではやや見劣りしますが、ファッション、雑貨、飲食店などは一通りそろっています。旅行者向けというより、地元の人が普段使いする落ち着いたショッピングモールという印象です。
マレマグナム は、上記3つのモールと比べると店舗数は多くありません。ただし、建物自体が比較的コンパクトにまとまっているため、短時間で見て回りやすいという利点があります。観光の途中に少し買い物をしたり、港周辺で休憩したりするには使いやすいモールです。
一方、店舗数という点で最も弱いのが ラス・アレナス です。
建物自体は複数フロアに分かれていますが、上層階の一部は映画館やスポーツジムなど、ショッピング以外の施設が占めています。そのため、買い物を目的に訪れるショッピングモールとしては、他のモールに比べてかなり見劣りします。
ラス・アレナスは、買い物をする場所というより、旧闘牛場を改装した建物や、屋上からの眺めを楽しむ場所と考えた方がよいでしょう。
比較その4.雰囲気


雰囲気で見ると、最も落ち着いているのは リージャ・ディアゴナル です。
周辺には高級住宅街や外資系企業のオフィスがあり、利用客の層も比較的落ち着いています。観光地のにぎやかさとは違い、地元の余裕のある人たちが普段使いしているような雰囲気があり、今回取り上げるモールの中では他と一線を画しています。
2位は ディアゴナル・マル です。館内は広く、自然光を取り入れた明るい造りになっているため、開放感があります。中心部から離れている分、観光客で混み合う感じも少なく、ゆったり買い物をしやすいモールです。
3位は ラス・アレナス です。ショッピングモールとしての規模や店舗数では弱いものの、旧闘牛場を改装した建物の面白さと、屋上からの眺めの良さが大きな魅力です。特に屋上からはエスパーニャ広場やモンジュイック方面を見渡せるため、雰囲気という点では十分に楽しめます。
グロリエス は、規模や店舗数では上位に入りますが、雰囲気という点ではやや庶民的です。周辺は観光地というより地元の生活圏に近く、利用客も日常使いの人が中心です。そのため、洗練された雰囲気を期待して行くと、少し違う印象を受けるかもしれません。
マレマグナム は、港に面した立地で観光客には便利ですが、若い旅行者や観光客が多く、全体的に少し雑然とした雰囲気があります。ランブラス通りや旧港観光のついでに立ち寄るには便利ですが、落ち着いて買い物を楽しむショッピングモールという点では、他のモールに比べて評価は下がります。
比較その5.フードコート


フードコートの充実度で見ると、1位は グロリエス です。
広い敷地を生かして飲食スペースも大きく取られており、気軽に食べられる店がまとまっています。買い物の途中で簡単に食事を済ませたい時や、家族連れでそれぞれ好きなものを選びたい時には、今回比較するモールの中で最も使いやすいと言えます。
2位は リージャ・ディアゴナル です。店舗数そのものはそれほど多くありませんが、他のモールのフードコートに比べると全体的に落ち着いており、やや高級感があります。周辺の客層を反映しているのか、安さや量で勝負するフードコートというより、少し上品に食事をする場所という印象です。
3位は ディアゴナル・マル です。特別に面白い店があるわけではありませんが、ファストフード系から軽食、カジュアルなレストランまで一応の選択肢はそろっています。中心部から遠い分、ここまで来たなら食事も館内で済ませるという使い方は十分できます。
ラス・アレナス は、飲食店はあるものの、フードコートとしての魅力はあまり感じません。生ハムをメインにした店が複数あるなど、選択肢に偏りがあり、買い物途中に気軽にいろいろ選べるフードコートという意味では弱い印象です。
マレマグナム は、場所柄、港を意識したレストランや観光客向けの飲食店が中心です。食事をする場所はありますが、一般的なショッピングモールにあるようなフードコートは目立たず、フードコート目的で行く場所ではありません。そのため、この項目では評価外と考えてよいでしょう。
比較その6:レストラン


レストランの充実度で見ると、1位は マレマグナム です。
モール自体の規模はそれほど大きくありませんが、ツーリストが多く集まる旧港エリアにあり、さらにウォーターフロントという立地もあって、レストランの数はかなり多めです。観光の途中に食事をする場所としては、今回取り上げる5つの中で最も選択肢があります。
2位は ラス・アレナス です。屋上の展望階にはレストランが並んでおり、エスパーニャ広場やモンジュイック方面を眺めながら食事ができます。店内から外の景色が見えにくい店もありますが、屋上に上がるだけでも眺めが良く、観光ついでの食事場所としては使いやすいモールです。
3位は ディアゴナル・マル です。広場に面した大きなテラス席を持つレストランがあり、天気の良い日は開放感があります。中心部から遠いのが難点ですが、海沿いやフォーラム地区へ行く予定がある場合は、食事場所としても十分候補になります。
グロリエス は、飲食店の数自体はそれなりにあります。ただし、レストランとしての個性やまとまりにはやや欠ける印象で、わざわざ食事目的で訪れるほどの魅力は感じにくいかもしれません。買い物のついでに食べる場所と考えるのが自然です。
リージャ・ディアゴナル は、フードコートや軽食系は比較的充実していますが、レストランという点では他のモールに比べてやや弱い印象です。落ち着いた雰囲気はありますが、食事目的で選ぶモールとしては優先度は高くありません。
比較7.スーパーマーケット


スーパーマーケットの充実度で見ると、1位は大型スーパー Carrefour(カルフール) が入っている グロリエス です。
売り場面積が広く、食品、飲み物、日用品、お土産になりそうなものまで一通りそろいます。旅行中に水やお菓子、簡単な食料品をまとめて買うには、今回比較するモールの中で最も使いやすいスーパーと言えます。
2位は ディアゴナル・マル です。こちらには大型スーパー Alcampo(アルカンポ) が入っており、品ぞろえはカルフールにかなり近いレベルです。規模の差は大きくなく、海沿いやフォーラム地区方面へ行く予定があるなら、十分利用価値があります。
3位は リージャ・ディアゴナル です。モール内には Caprabo(カプラボ) が入っています。Caprabo はカタルーニャでよく見かける地元系スーパーですが、品ぞろえという点では、カルフールやアルカンポに比べるとやや見劣りします。日常の買い物には十分ですが、旅行者がわざわざ大型スーパー目的で行くほどではありません。
ラス・アレナス には、スペインで人気のスーパー Mercadona(メルカドーナ) が入っています。ただし、売り場面積がそれほど大きくないため、大型スーパーとしての魅力はあまりありません。ちょっとした飲み物や軽食を買うには使えますが、品ぞろえを期待して行くと物足りないでしょう。
マレマグナム は、観光客向けの店舗やレストランが中心で、一般的なスーパーマーケットは入っていません。そのため、スーパー利用という点では評価外です。
旅行中にスーパーでまとめ買いをしたいなら、候補は グロリエスのカルフール か ディアゴナル・マルのアルカンポ になります。水、ワイン、チョコレート、オリーブオイル、缶詰、簡単なお土産などを探すには、この2つが使いやすいでしょう。
総評&アドバイス
バルセロナのショッピングモールは、それぞれに特徴があり、どこが一番良いかは利用する目的によって変わります。
たとえば、買い物をメインに考えるなら、店舗数の少ない ラス・アレナス は候補から外れるでしょう。旧闘牛場を改装した建物や屋上からの眺めは魅力ですが、純粋にショッピングを楽しむ場所としては物足りません。
一方、レストランでゆっくり食事をしたい場合、フードコート系が中心の リージャ・ディアゴナル に行っても、旅行者にとってはあまり意味がありません。それなら、ウォーターフロントにある マレマグナム で、港の雰囲気を感じながら食事をする方が、バルセロナらしさを楽しめるでしょう。
このように、ショッピングモールは目的によって一長一短があります。そのため、ここではあえて総合点による順位付けはしません。それぞれのモールの特徴を読んだうえで、ご自身の目的に合った場所を選ぶのが一番です。
なお、ショッピングモールに入っているショップやレストランは、日本のイオンなどの大型商業施設と同じく、街中でもよく見かけるチェーン店が中心です。その意味では、個性的な店を探す場所としては少し物足りないかもしれません。
ただし、多くの店が一カ所に集まっているため、移動時間をかけずに買い物や食事を済ませられるのは大きな利点です。暑い日、雨の日、子ども連れの旅行、トイレ休憩、スーパーでのまとめ買いなど、使い方によっては非常に便利です。
また、どのモールも基本的にセキュリティーはしっかりしています。特に リージャ・ディアゴナル は警備員の数も多く、落ち着いた雰囲気の中で安心して買い物ができます。小さなお子様連れの旅行で、街歩きに少し疲れた時などには、ショッピングモールの利用価値は大きいでしょう。
日曜日にバルセロナに滞在される方は、数あるモールの中でも年中無休の マレマグナム が使いやすいでしょう。多くの店が閉まる日曜日でも営業しているため、買い物や食事、休憩場所として覚えておくと便利です。
最後に、ショッピングモールはバルセロナらしい個人商店や市場とは違い、どこか均質で、少し味気ない面もあります。ただ、旅行中は効率も大切です。目的に合わせてうまく使えば、観光の合間にかなり役立つ存在になります。
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。
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この記事を書いた人:アキモト
日本で社会人を経験後マドリッドへ大人の語学留学。海のあるバルセロナへ移住後、バルセロナウォーカーにて情報を発信しています。最終更新 2026.07.05
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