
バルセロナから近郊電車に乗って約2時間。ピレネー山脈の麓、ジローナ県にあるリポールを紹介します。
スペイン語ではリポール、地元カタルーニャ語ではリポイと呼ばれるこの町は、テル川とフレセル川が合流する場所にあります。山から流れてくる川の水と、周囲の緑に囲まれた、静かな内陸の町です。
リポイの歴史が大きく動き出すのは9世紀。バルセロナ伯ギフレ1世の時代に、イスラム勢力の支配下からこの地域が取り戻され、その後、サンタ・マリア・デ・リポイ修道院が建てられました。
この修道院は、単なる宗教施設ではありませんでした。中世には写本制作や学問の中心地として発展し、キリスト教世界とイスラム文化が接する地域にあったことから、知識や文化が行き交う重要な場所でもありました。
リポイの最大の見どころは、このサンタ・マリア・デ・リポイ修道院です。特にロマネスク彫刻で飾られた正面入口は見応えがあり、カタルーニャ・ロマネスクを語るうえで欠かせない存在です。
そのほか、町にはいくつかのモデルニスモ建築も点在しています。大きな観光地のような華やかさはありませんが、ピレネーから流れ込む水、緑、そして静けさの中を歩いていると、バルセロナとはまったく違うカタルーニャの表情を感じることができます。
町を流れる川

リポイの町を歩いていて印象に残るのが、町の中を流れる川です。
日本人旅行者にはあまり意識されませんが、実はバルセロナ市内には、日本人が思い浮かべるような「川らしい川」がありません。郊外の空港から市内へ向かう途中に川はありますが、一年の多くは水量が少なく、乾いた印象を受けます。バルセロナは、海の町でありながら、かなり乾燥した都市でもあります。
それに対してリポイには、ピレネー山脈から流れてくるテル川とフレセル川があります。山からの水が町の中を流れているだけで、空気の感じ方が少し変わります。
バルセロナから来ると、この水と緑のある風景は、ちょっとした清涼剤のように感じられます。大きな観光名所ではありませんが、リポイという町の静けさや、ピレネーの麓にいる感覚を味わえる風景です。
街の一番の見どころ

リポイ最大の見どころは、サンタ・マリア・デ・リポイ修道院です。
9世紀、この地域を治めていたバルセロナ伯ギフレ1世によって創建され、その後、時代ごとに増改築が重ねられてきました。中世には宗教施設としてだけでなく、学問や写本制作の中心地としても重要な役割を果たしました。
特に見逃せないのが、12世紀に造られた正面入口の彫刻です。聖書の場面や人物、動物などが細かく刻まれており、カタルーニャ・ロマネスクを代表する作品として知られています。
また、回廊の柱頭にもロマネスク彫刻が残されており、ひとつひとつ見ていくと、当時の職人たちの表現力や想像力を感じることができます。
リポイを訪れるなら、この修道院を見ずに町を語ることはできません。小さな町ですが、この修道院があることで、リポイはカタルーニャ中世史の中でも特別な場所になっています。
資料館



近年、サンタ・マリア・デ・リポイ修道院の正面入口にあるロマネスク彫刻は、保存のためガラスで覆われるようになりました。
以前は外から自由に見ることができましたが、現在は有料見学となっています。見学する場合は、まず修道院の隣にある資料館でチケットを購入し、そこから順路に沿って見学していきます。
入場料は大人7.50ユーロです。料金は変更されることがあるため、訪問前に現地で確認すると安心です。
小さな資料館では、修道院の歴史やロマネスク彫刻についての説明を見ることができます。その後、修道院本体、正面入口の彫刻、回廊などを見学する流れになります。
| 住所 | Plaza de l’Abat Oliba s/n , 17500 Ripoll, Girona 【地図はこちら】 |
| 電話 | 972 704 203 |
| URL | http://www.monestirderipoll.cat |
| 開館時間 | 10~14時 16~19時 10/1~3/30は以下 月~土曜 10:00~13:30 15:30~18:00 日曜日10:00~14:00 |
| 入場料 | 公式サイトにてご確認ください。 |
| 最寄駅 | Ripoll(リポール)駅から徒歩10分 |
修道院


資料館を一通り見学したら、いよいよ修道院本体へ進みます。
最大の見どころは、12世紀に造られた正面入口のロマネスク彫刻です。ファサード一面に、聖書の場面や人物、動物などがびっしりと刻まれており、その密度と迫力には圧倒されます。
石の表面を細かく見ていくと、単なる装飾ではなく、当時の人々に聖書の世界を伝えるための「石に刻まれた物語」だったことが分かります。
現在は保存のためガラス越しの見学になりますが、それでもカタルーニャ・ロマネスクを代表する作品としての存在感は十分に感じられます。
質素に徹した教会

正面入口の彫刻を見たあとに修道院の中へ入ると、外観とは対照的に、内部はとても質素な空間になっています。
修道士たちの祈りと修行の場らしく、教会内部には過度な装飾はほとんどありません。華やかさを見せるための空間というより、静かに祈り、日々の規律を守るための場所だったことが伝わってきます。
外のファサードに刻まれた濃密なロマネスク彫刻と、内部の簡素な空間。その対比を見ると、この修道院が単なる観光用の建物ではなく、もともとは信仰と修道生活のための場所だったことを実感できます。
中庭の静寂


修道院の中庭も、ぜひゆっくり見ておきたい場所です。
バルセロナの有名観光地のように多くの人で混み合うことは少なく、訪れる人もまばらです。そのため、回廊を歩いていると、修道院本来の静かな空気を感じることができます。
石造りの柱、回廊に差し込む光、足音だけが響くような静けさ。派手な見どころではありませんが、リポイまで来たからこそ味わえる時間だと思います。
観光地を急いで回るというより、少し立ち止まって、修道院の静寂に身を置く場所です。
モデルニスモ建築

リポイの見どころは修道院だけではありません。町の中には、いくつかのモデルニスモ建築も点在しています。
その中で特に印象的なのが、サン・ミゲル・デ・ラ・ロケタ(Sant Miquel de la Roqueta)です。ガウディの弟子として知られる建築家ジョアン・ルビオー・イ・ベイベル(Joan Rubió i Bellver)による小さな礼拝堂で、町の中にひっそりと建っています。
規模は大きくありませんが、その小ささがかえって魅力になっています。大聖堂や大きな修道院とは違い、まるで日本の小さなお堂を見るような親しみやすさがあります。
リポイはロマネスク修道院の町という印象が強いですが、こうした小さなモデルニスモ建築を見つけながら歩くのも、町歩きの楽しみのひとつです。
まとめ
リポイは、ピレネー山脈の麓にある静かな町です。
バルセロナのような大都市の喧騒はなく、町の中にはピレネーから流れてくる川があり、水と緑の気配を感じながら歩くことができます。バルセロナから来ると、その落ち着いた空気だけでも少し気持ちが緩むように感じられます。
町はコンパクトで、見どころも分かりやすいです。サンタ・マリア・デ・リポイ修道院を中心に、回廊、正面入口のロマネスク彫刻、町中に点在するモデルニスモ建築を見て歩けば、半日ほどで無理なく回ることができます。
ただし、リポイは初めてバルセロナを訪れる方が、限られた日程の中で優先して行く町ではありません。バルセロナ市内、モンセラット、ジローナ、タラゴナなどを一通り見たあと、もう少し違うカタルーニャの町を訪ねてみたいリピーター向けの場所です。
また、バルセロナから電車で約2時間かかるため、リポイだけを目的に日帰りするには少し遠く感じるかもしれません。時間を有効に使うなら、帰りに途中駅のビックに立ち寄り、リポイとビックを組み合わせて回るのがおすすめです。
ロマネスク修道院、ピレネーの麓らしい水と緑、静かな町歩き。派手な観光地ではありませんが、バルセロナとは違うカタルーニャの表情を知るには、印象に残る小さな旅先です。
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お勧め度:9点/20点 |
| 住所 | 17500 Ripoll, Gerona, 【地図はこちら】 |
| URL | http://www.ripoll.cat/ (市役所のHP) |
| 最寄駅 | バルセロナからは、サンツ駅もしくはカタルーニャ広場より Rodalies(近郊電車)R3号線に乗っ Ripoll(リポール)駅下車 時刻表はRenfeのHPでお調べ下さい。 |
| 所要時間 | 3~4時間ほどで見れます。 |
| 記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる場合もありますのでご了承ください。間違った情報、また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら情報共有いたしますので、サイト内の「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。 |
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@ | この記事を書いた人:アキモト 日本で社会人を経験後マドリッドへ大人の語学留学。海のあるバルセロナへ移住後、バルセロナウォーカーにて情報を発信しています。最終更新 2026.06.21 |
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