バルセロナで犯罪被害多発のレンタカーについて、具体的な手口と対策をまとめました。
近年、急増しているレンタカー利用者の盗難被害。財布のみならずパスポートなどと共にいわゆる丸ごと盗まれる、更にレンタカー利用者の数の割に被害者が突出しています。ここでは現状の説明と、アドバイスを述べていきます。
被害続出パンク盗
以前からフランス、ドイツなどの外国ナンバー車を狙う車上狙いがありましたが、最近特に多いのがレンタカー利用者の盗難被害。日本人旅行者も被害に遭っていて、在バルセロナ日本領事館には以下のような被害報告が出ています。
バルセロナで日本人が遭う犯罪のトップはスリ置き引きですが、パンク盗と呼ばれるものがレンタカーで盗難被害に遭った事例を指します。日本人旅行者の中でレンタカーを借りるのは極僅かで被害者の数こそ少ないですが、実際に被害に遭う確率て言うとかなりのハイリスク。更に、2019年はなんと昨年の+800%以上と激増していて、状況は悪化の一途をたどっています。
尚、基本的に領事館に届けが出されるのはパスポートを盗難に遭った場合と限定されるので、これまで実際に被害に遭った人は現金カード等の貴重遺品が入った鞄を根こそぎ持って行かれたと言う深刻な状況に陥ったと言うことです。
ここでは盗難被害に遭う代表的な場所並びに手口を解説し、その対策について述べていきます。
2019年 | 合計:444人 |
すり | 137 人 |
置き引き | 176人 |
ケチャップすり | 53人 |
パンク盗・車上狙い | 43人 |
ひったくり | 21人 |
【資料】邦人被害状況(在バルセロナ総領事館届け出ベース)
空港到着時
空港到着後に各レンタカーオフィスでチエックインを済ませると、そこで書類と鍵をくれます。ただ最近は人件費を減らすために、そのあとはセルフサービス化していて自分で車のある駐車場まで行き指示された番号の駐車スペースから車をピックアップ、乗り込むと言うスタイルになっています。
駐車場には係員はいますが基本はほったらかしで、何か用があって呼ばれない限りサポートは一切してくれませ。またそこには警備員がいるわけでもなく、この状況が最近頻発している盗難事件の元凶となっています。
尚、具体的な手口は車に荷物を積み込んでいざ出発と言うところで、レンタカーの係員を装った泥棒が来て書類に不備があったとか、車体の下から水やオイルが漏れているなど(犯人自らがペットボトルに入った水やオイルを車体の下まく)と適当な利用を付け、オフィスに戻ってくれなど言います。
その際に助手席に置かれた貴重品の入った鞄を隙を突き、持ち去ると言うのがよくある手口です。また、駐車場の出口に黄色い作業員の服を着た泥棒まで現れ、出口で書類の不備、車両の不備など様々な理由を付けて車を止められ、突然のことで分からないドライバーが焦っている隙を狙い貴重品の入った鞄を盗んでいきます。
路上で
既に述べた様に最近は空港での被害が最近急増していますが、それ以上に昔から最も被害者の数が多い手口がこれ。具体的には二人乗りバイクが信号待ちしている車の後方から近づき、後輪のタイヤをナイフで刺しパンクさします。
その数分後に走行不能となり路肩に止め、ドライバーがタイヤを確認するために車から降りると、どこからともなく親切を装い近づき助けるふりをしたり、もしくは窓を叩いてパンクしていると言う様なことを言ってドアを開けさせ、隙を狙い助手席や後部席の車内から貴重品入りの鞄を盗みます。
この次にあげる高速道路サービスエリアでの盗難と基本的に手口はほぼ同じで、パンクさすことにより旅行者の動きをまず確実に止め、その後にたとえ盗難に気付かれても追いかけて来ることもできない様に2段構えの手口です。まるで昔あった三億円強盗事件の様なトリック、フェイントをかけて盗んでいきます。
高速サービスエリア
高速道路のサービスエリアも盗難が多く発生します。泥棒達はパーキングで車を待ち受けていてドライバーがレストランや売店、トイレに行っている間に、まずタイヤをパンクさせて動けないようにし、次にパンクしているよとドライバーに教えに親切を装い近づきます。最後に、助けるふりをして隙を狙い助手席や後部席の車内から貴重品入りの鞄を盗み去ります。
上の動画のケースは、パーキング車内で休んでいる時に後輪をパンクされ、タイヤの確認をしに後ろに行った際に貴重品入りの鞄をその仲間に盗まれました。
車上荒らし
車内に荷物は残さないと言うのは、海外で車を借りる際の基本中の基本です。ただ、そうは言っても日本人の中には金目の物は何も入っていないからと、車内に荷物を置いていく人がよくいます。むき出しのペットボトルが1本ならともかく、たとえ何も入っていなくても鞄、ビニール袋でさえ泥棒にすれば中に貴重品があるかを確かめたくなり、窓を躊躇することなく簡単に割ってしまいます。
ちなみに、一度バルセロナのどのレンタカー会社でも良いですが、その駐車場(もし行かれるならサンツ駅の屋上が行きやすい)の端に行くと窓が割れた車が何台も留まっています。夏場の観光シーズンなら、バルセロナでは一日に数十台のレンタカー、8月一ヶ月の間にはなんと数百台の窓が割られています。もちろん日本でも車上荒らしはありますが、それとバルセロナとでは次元が違うと言うことです。
盗難対策
盗難への対策は基本的にはバルセロナ市内の街歩き、もしくは地下鉄利用時と同じで貴重品は例え車の中でも肌身離さずに持つことが一番の対策となります。具体的にはセーフティーポーチを利用することや、鞄は肩からたすき掛けで膝の上に常時持つことですが、鞄の場合は運転の邪魔になり危険です。
そこでアドバイスとしては、脇に挟まる薄手のバッグ(画像下)がAMAZONなどで購入できるのでそれを利用します。嵩張る物は入りませんが要はパスポート、現金、カード、スマホさえ守れれば良いわけですから、この手の薄手のバッグで十分です。ちなみに20年以上住むバルセロナウォーカーのカミムラも、実際に運転の際は実践していてこれなら無敵です。日本から来られる方は何もそこまでと思うかも知れませんが、これ以上被害者を増やさない為にはここまでする必要があります。
動画解説
まとめ&アドバイス
まず、最初にバルセロナでレンタカーを利用するのは非常にリスクが高いと言うことを認識してください。旅行で来られる方は言葉も解らないでしょうし、また分からない国だからこそ盗難被害に遭った時のダメージは大きいものになります。更に世界一親切だと言われる日本の警察ほどのサービスはここでは望めませんので、トラブルに遭った際の手続きなどは精神的にかなりきつくなります。
それでも、どうしてもレンタカーを利用すると言う方は、貴重品は確実に肌身離さずが最重要のポイント。普通の海外旅行でのレンタカー利用なら、下車する時に貴重品の入った鞄を車内に置かないで、一緒に持ち出すと言うことぐらいで事足りるのですが、ここバルセロナでは全く違います。空港駐車場や路上で突然襲って来るパンク盗に冷静に対処するのは非常に難しいのが実際のところです。
繰り返しとなりますが、確実なのは安全ポーチまたは運転中も邪魔にならないたすき掛け出来る薄手のバッグを使い、パスポート、現金、クレジットカード、スマホ、この4つだけは確実に守ることです。尚、同乗者も乗車中は貴重品の入った鞄はたすき掛け、膝の上に持った上でシートベルトをします。決して、後部座席や床に置いたりしないでください。
あと、路上でのパンク盗に遭わない為に有効な手段として早朝8時前には出発し日没後、暗くなってからバルセロナに戻って来る。また、極力サービスエリアやパーキングエリアには入らない。トイレ、水などの買い物、食事は高速から降り下道のガソリンスタンドを利用するようにする。街中では路駐はせず、必ず有料の駐車場を使う。
そして車上泥棒に遭わない為には荷物は、どんなものも一切車内に置きっぱなしにして出ない。また、下車する時にトランクに物を出し入れしたりしない。泥棒は、どこかで見ている可能性があり、観光地の周りの駐車場や、高速のサービスエリアは特に注意が必要です。出発時にトランクから必要な物は必ず出しておき、目的地に着いた際にもトランクに荷物が積まれているのを、悟られない様にすることも重要です。
最後に動画内でも言及していますが、泥棒からパンクさせられることから逃れる手段は基本的にありません。また、一旦パンクさせられると盗難被害に遭わなかったとしても、タイヤ交換などで3,4時間をロスしますのでそれだけで旅程自体が壊れることもあります。通行人や助けてくれる人が他に居ない街外れの路上だと、泥棒と一対一(相手は2人以上)で対峙する事になると言う現実も知っておく必要があります。
尚、レンタカーを借りる際は、運転にどんなに自信があろうとも必ず、フルインシュランスの全免責保険に入ります。それはRetercar.comの様な、旅行者がその場の修理代を一旦立て替えて全額払うものではなく、少々割高でもレンタカー会社の提供する保険へ入ることを強くお勧めします。理由はトラブルに遭った際の係員の対応が、借りたレンタカー会社の保険に入っているといないでは全く違ってきます。また、高速道路上でのパンクなどの場合は、レッカーを呼ぶ必要が起きるので携帯が確実に繋がることも重要です。*その時点でスマホを盗まれていれば、路上の場合は事態は最悪に。
以上、しっかり注意時事項を守って頂ければ、↓こんな事にはならないと言いたいところですが、正直借りないに越したことはありません。読まれている方においてはこんな言葉は大きなお世話、聞きたくないかも知れませんが私からのアドバイスは、悪いことは言いませんやめておきなさい。
荷物全部盗られたー!!!!
手ぶらで帰る!!!
オレの服誰か大切に着ろよ!高いんだから!!鞄も大事に使えよ!!
靴めちゃいいやつや!履き潰せよせめて!!!!
あと、KENZOも洋服とかお土産全部盗られたから誰か保護してあげて!! pic.twitter.com/PRBt8V8A1D— 武井壮 (@sosotakei) January 4, 2020
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「万が一被害に遭ってしまったら」 もしもの時に軽く一読しておいてください。
記事は取材時点のものです。現在とは記事の内容が異なる 場合もありますのでご了承ください。間違った情報、 また有用新情報、分かり難い点や質問等ございましたら 情報共有いたしますのでサイト内の 「バルセロナ観光情報掲示板」に書き込んでください。 |
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@ | この記事を書いた人:カミムラ:生まれ京都府。1989年日本を離れ バックパックをかついで海外へ。アジア、アフリカ、中南米、 ヨーロッパを旅し1997年よりバルセロナに在住。 記事最終更新 2022.09.12 |
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