バルセロナの中心のカタルーニャ広場から地下鉄に乗ってなんと13駅。
この町外れ辺境の地と言える場所に去年新たに一つ星になったレストランがあります。
まあミシュランの調査員もよくも、こんな所まで探して来たものだと感心するのですが
星が付く前に一度来て、そして今回で2度目の私も人の事を言えません・・(笑
さて殆ど無名のこの店がミシュランの一つ星に選ばれた際は地元のバルセロナの
レストラン関係者やグルメ達をあっと驚かせたのですが・・
その店構たるや、ご覧の様に驚くほどショボイ。
今時場末のバルでも、もう少しまし。
恐らくスペインで一番ショボイ店構えの星付きと言うと失礼でしょうか
さて店内はこんな感じ。
外に比べるとまだ救われると言えなくもありませんが入口のドアがなんだか・・。
テーブルクロスの下が変に床にだらっと垂れていたり・・
星を取った後も、全く以前と変わらず良いも悪いも我が道を行っている点は
潔いと言えなくもありません。
前置きが長くなりましたが、コースメニューは2つ有って短い方が31.50€長い方が48.50€。
最近よく見かける星付きの格安ランチでは無く、これがこの店の夜も出している
ちゃんとしたコース。
なので 値段的にはバルセロナの一つ星にしては格安と言えます。
さて 、まずはメロンをを使ったモヒート、この店のシエフの代表作の一つと言うところです。
他では見かけないオリジナリテイあふれる一品で
指でつまんでそのままパクリ。 食べこだえもあって味もしっかり。
ワインリストは前回と違ってタブレットになっていました。
こう言うのって、はっきりいって使いづらいですよね~。
ドリンクは地ビールがあると言う事でそれを試してみます。
飲んだ感想は日本でも言えますが、どこの地ビールも結局は普通で大したことない。
オリーブの中にはカンパリが入っていました。
これもパクリ。 ほろ苦い大人の味って感じでしょうか
バカラオ(鱈)トマト、玉ねぎ、オリーブオイルがたっぷり のサラダ感覚
パンはセミヤー(種)を選びました。
種と言うだけに種だらけ、当たり前か(笑
グラスワインを1杯。
白赤共に地元カタルーニャ産で、これはペンデス産ブドウは定番のシャレロ。
なんでも有機農法で作ったブドウとの事で味もまずまず。
ポテトのピューレの上に分かり難いですが半熟卵が2つ載っています。
その上に鱒のイクラと周りはサーモンの刺身。
卵とろ~り。
ポテトと卵の組み合わせ、これはなかなか美味しかった。
食べたイクラもこんなにプチプチしたのはスペインで初めてで得点は高い。
赤もやはり地元と言ってもバルセロナから2時間ほど離れたアラゴン州の近く
Coster del Segre産。
鴨肉は食感があって肉の旨味も感じるのですが、ソースが甘ったるくて
肉本来の旨みを味わう邪魔をします。
タテインの中のクリームはローズマリーの味がほんのり。
ただ昔ながらのデザートっぽくしたと言われればそうかも知れませんが
星付きなんですから、もう少し華がないとこれでは寂しい。
総額:68.59€ (ビール、赤、白、カフそれぞれ1杯と水1本含む)
サービスは前回と同じシエフの奥様に加えて若いお兄さんが一人増えました。
やはり星付きになってから、客が増えたと言うことなのでしょうか?
ところで、そのサービスは家庭的で気持ち良い対応を前回も今回もして頂いたのですがそれは別として客観的に見てこの店のサービスが他の一つ星の平均的なレベルに達しているかと言うと大きな疑問が残ります。
あと料理ですがお通しとデザートは予想外。
星が付いて多少の変更があると予想したのですが変わっていなかったのが意外でした。
また前菜のポテトと卵、イクラと言う皿は派手さこそ無いですが食べて美味しい料理で非常に良い印象を持ちました。
ただ、メインの鴨のソースは甘すぎて肉の味を全く殺してしまっています。
それはまるですき焼きの鍋にたまった、あの汁と同じ甘ったるさで鴨好きの私を非常にがっかりさせるものでした。
最後に・・
確かにある程度のレベルにある料理だとは思いますが、ロケーション、店の作りサービス等を総合的に考えると、わざわざ星付きにする理由がこの店にあったか疑問です。
正直言ってミシュランの調査員は、ただ奇をてらってこの店に星を与えたとしか思えません。
この店で良いのならレベル的に全く遜色の無い「Coure」や「Gresca」だって良いはずですしそれより少しマイナーな「Caldeni」を始め極端と言われるかもしれませんが、この不景気で現在 、安売りを強いられている「Somodo」にも十分のその資格があるでしょう。
味わい:3.8 食材:4.1 技術:4.0 個性:4.0
雰囲気:3.5 ボリューム:4.0 コスト:4.3 サービス:3.9
満足度:65点